今朝の日経新聞の社説。
「総合スーパーは“売り物”探せ」
社説に、業態への提言が載ることも珍しい。
「総合スーパーのビジネスモデルそのものが、
ここへきて壁に突き当たっている」
そこで、社説は提案する。
「商品調達から店舗の再配置まで、
抜本的に経営を転換しないと再生は難しい」
社説の具体的な提案。
その一、「商品を絞り込み、独自商品を拡充する」
その二、「店舗の見直し」と「“売り物”」を探す。
その三、「小商圏型の生活スーパーへの転換」
その四、「出店場所も町なかが高齢者や子育て中の親らに喜ばれる」
その五、「アジア新興国にも目を向けたい」
抜本的な経営転換は、私も不可欠だと思う。
しかし、ここで提案されている具体的な政策は、
抜本的ではない。
経済産業省の定める日本の「総合スーパー」は、国際的には、
「ハイパーマーケット」というフォーマットに分類される。
米国ウォルマートのスーパーセンターがその典型だし、
仏国カルフールのハイパーマーケットもこの分類の代表。
日本のセブン&アイの「イトーヨーカドー」やイオンの「ジャスコ」も、
国際的にみると「ハイパーマーケット」に属する。
アメリカやヨーロッパでは、
ハイパーマーケットは最強のフォーマットの一つ。
しかし日本では、百貨店と並んで、
最弱の業態となりつつある。
その根本原因を、突き詰めねばならない。
ウォルマートとイトーヨーカドーやジャスコとの決定的な違い。
アメリカ市場におけるウォルマート・スーパーセンターと、
日本市場におけるイトーヨーカドーやジャスコとの、
社会的役割や競争状況の違い。
そんな分析が必要だと思う。
そして、分析結果によっては、
「業態の盛衰」の観点から、
このフォーマットの立地を限定して整理し、
限定された立地以外の店舗は、
閉鎖することも、決断しなければならない。
小売業は、立地産業だ。
相対的な競争産業でもある。
だから「売り物を探す」だとか、
「プライベートブランドを拡充する」だとか、
専門スーパーやコンビニの要素を取り入れることでは、
抜本的な転換にはならない。
日経新聞の社説で取り上げられたこと自体、
異例の措置ではあるが、
び縫策では、この業態の革新とはならないことをこそ、
訴えてもらいたいものだ。
さて、総合スーパーとともに、
「業態の盛衰」の「衰」に入った観のある百貨店。
その9月の売上高統計が、日本百貨店協会から発表された。
前年同月比は、マイナス7.8%。
前年割れは19カ月続く。
1年と7カ月。
紳士服・紳士用品 マイナス11.6%。
婦人服・婦人用品 マイナス10.3%。
その他衣料品 マイナス10.0%。
身の回り品 マイナス9.2%。
雑貨 マイナス9.0%。
家庭用品 マイナス7.6%。
食料品 マイナス2.5%。
サービス マイナス2.3%。
もう前年対比の売上高分析では、
にっちもさっちもいかないところにきている。
日本の百貨店として、社会的に必要な立地に限定して、
自らを戒めて、顧客満足を追求するしかない。
百貨店こそ、量を追いかけるビジネスモデルではないことを、
知らねばならない。
イギリス最高の百貨店ハロッズは、
ナイツブリッジのたった一店だからこそ価値があるし、
社会的機能を果たしているのだ。
さて、昨日は久しぶりに一日、
横浜市西区北幸の商人舎オフィス。
朝から、来客5件。
出版社の㈱産学社の編集者・新垣宜樹さんは、
単行本の打ち合わせ。
社団法人日本印刷技術協会常務理事の小笠原治さんは、
印刷業界の「蛻変」に関して。
そして、㈱POP研究所代表取締役の中山政男先生。
もう、30年近いお付き合い。
小売業界の手書きPOP指導の草分けで、
現在も全国を飛び回って活躍中。
現在の店舗現場で、
POPの原則が著しく逸脱していることをご指摘くださった。
その上で、新しい手書きPOPのご提案。
黒いボードに、手書きの試演。
見事なプロの腕前に、
商人舎スタッフ一同からため息が漏れた。
現在のPOPの氾濫、POPマシンによる乱造、
そして無感覚のコストアップ。
中山先生の指摘は、鋭い。
中山先生には、商人舎ホームページに、
連載をお願いした。
皆さん楽しみにして、待っていてください。
11月スタートの予定。
その後、㈱トッパントラベルの鈴木敏さん、来社。
商人舎チーフ・コーディネーター。
来年3月には、商人舎第6回USA視察研修会開催予定。
これもお楽しみに。
最後に、松井康彦さん、登場。
ご存知、㈱商業界取締役営業企画統括。
この8月まで。
目出度く商業界を卒業し、
すぐに㈱レイニー・ウッド取締役営業統括に着任。
同時に商人舎エグゼクティブ・ディレクターにも就任。
「男は無印」
心意気を込めて、無印良品の前で写真。
また、松井さんとコラボレーションができる。
私は本当に、嬉しかった。
皆さん、よろしく。
最後に固い握手。
社会に貢献できる人間には、
極端なことを言えば、肩書きはいらない。
無印で仕事できる人間こそ、
脱グライダー・ビジネスマンなのだ。
<結城義晴>