今日は、10月31日のハロウィン。
アメリカではハロウィンの売上げが、
7割程度に落ち込むという発表がなされた。
今年のクリスマス商戦も、
ハロウィンと同じように、
落ち込むのだろうか。
第3四半期に、国内総生産が3.5%のプラスに転じ、
消費支出が3.4%ととやや持ち直したというのに、
ハロウィンは、まだまだ低調。
ウォルマートのジョン・フレミング副社長の言うように、
「今年末商戦は厳しくて、本格化が遅い」
だから、その前のクリスマス商戦も、
さりげなく、つつましく、
「節約、倹約。もったいない」
このトーンで進むにちがいない。
だから今年注目すべきは、
12月19日からの米国クリスマス直前商戦そのものだ。
日本では、ハロウィンは、
上昇志向のイベントである。
新しい風習に、新しい期待が高まる。
さて昨日、「日本航空再建対策本部」が設置された。
本部長は、前原誠司国土交通大臣。
この判断の基準になったのが、
「JAL再生タスクフォース」の報告。
これは国土交通相直轄の専門家チームで、
リーダーは高木新二郎元産業再生機構の産業再生委員長。
産経新聞の、この内容記事が面白い。
まず、このチームの結論は、
「事業再生計画案に基づいた日航の再生は可能」ということ。
「日航再生については、かなりの規模の公的資金による出融資が必要になる」
「できるだけ早く支援開始すること」
その中で、語られたのが、
「レガシーコスト(負の遺産)」
過去の出来事が財務面、組織面、経営体質において、
レガシーコストとなっている。
「これを断ち切らないと、潜在力を発揮できない」
JALに関する事業戦略には3つの過剰がある。
第一は『機材』。
航空機は、大きく古い機材が多い。
第二は『路線』。
儲からない運営路線が多い。
第三が『組織』。
まさに大企業病。
ダメになった会社や病んだ小売企業にも、
同様のレガシー問題はある。
第一は、「古くて使いにくい店舗」
第二は、「儲からない店舗運営や販売促進手法」
第三は、「中小企業大企業病」
整理すると、
第一は、ハードウェアのレガシー。
第二は、ソフトイウェアのレガシー、
第三は、ヒューマンウェアのレガシー。
この三つが別々の問題ではなく、
三位一体の構造になっている。
特に組織に関しては、深刻だ。
高木リーダーたちはこう語る。
「レガシーコストは目にみえる問題だけでなく、
組織や心の中にもある」
JALのレガシー経営体質は、三つ。
①ある種の“お上”志向
②内向き志向
③先送り体質
「軋轢(あつれき)の起こる部分や、
ややこしい問題についてはふたをする」
だから経営の問題に関しては、
「不連続を作ることが大事だ。
徹底的にやらないといけない」
「限られた時間で、
相当に腹をくくって集中的にやらないと、
病巣を取り残すことになる」
これが、コンサルタント集団としての、
「再生タスクフォース」の決意。
本来、コンサルタントは、
会社がよく運んでいるときには、
まったく必要ない。
会社が病んできたとき、
根本的な問題を解決するのが、
コンサルタントの役割。
むかし昔、以下のように宣ったコンサルタントがいた。
「好調企業だけコンサルするのが、
コンサルタントの極意」
会社の専属医療機関とも言えるコンサルタントは、
会社が病気にかかった時、
あるいは病気にかかりそうな時に、
必要となる。
さて、日航の救いは、次の言葉に表される。
「今回限られた時間で完成度高い計画案ができたのは、
日航の若手中堅の連中が情熱を持って骨格を作り上げてくれたからだ。
そういった現場、若手中堅の力がこの会社の礎だ。
大胆なダウンサイジングは、
若手から絶対やるといって上がってきた中身だ」
日本航空は、今、
最後で最大のチャンスを迎えている。
レガシーコストと決別するための。
そしてこのことは、日航に限らない。
日本中の多くの会社にとって、
レガシーコストとの決別が迫られている。
レガシー問題の三位一体。
三位一体をトータルに、一挙に、断ち切らねば、
最大にして最後のチャンスを逸する。
日本航空はもちろん、
小売企業も、サービス業も、
製造業も、卸売業も、
そして出版社やコンサルティング会社自身も、
同様の課題の前に立っている。
<結城義晴>