結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年10月31日(土曜日)

「JAL再生タスクフォース」の指摘するレガシーコスト問題の処方箋

今日は、10月31日のハロウィン。  

アメリカではハロウィンの売上げが、
7割程度に落ち込むという発表がなされた。

今年のクリスマス商戦も、
ハロウィンと同じように、
落ち込むのだろうか。

第3四半期に、国内総生産が3.5%のプラスに転じ、
消費支出が3.4%ととやや持ち直したというのに、
ハロウィンは、まだまだ低調。

ウォルマートのジョン・フレミング副社長の言うように、
「今年末商戦は厳しくて、本格化が遅い」  
だから、その前のクリスマス商戦も、
さりげなく、つつましく、
「節約、倹約。もったいない」  
このトーンで進むにちがいない。

だから今年注目すべきは、
12月19日からの米国クリスマス直前商戦そのものだ。

日本では、ハロウィンは、
上昇志向のイベントである。

新しい風習に、新しい期待が高まる。

さて昨日、「日本航空再建対策本部」が設置された。
本部長は、前原誠司国土交通大臣。

この判断の基準になったのが、
「JAL再生タスクフォース」の報告。  
これは国土交通相直轄の専門家チームで、
リーダーは高木新二郎元産業再生機構の産業再生委員長。

産経新聞の、この内容記事が面白い。

まず、このチームの結論は、
「事業再生計画案に基づいた日航の再生は可能」ということ。

「日航再生については、かなりの規模の公的資金による出融資が必要になる」
「できるだけ早く支援開始すること」

その中で、語られたのが、
「レガシーコスト(負の遺産)」  

過去の出来事が財務面、組織面、経営体質において、
レガシーコストとなっている。
「これを断ち切らないと、潜在力を発揮できない」

JALに関する事業戦略には3つの過剰がある。
第一は『機材』。  
航空機は、大きく古い機材が多い。
第二は『路線』。  
儲からない運営路線が多い。
第三が『組織』。 
まさに大企業病。

ダメになった会社や病んだ小売企業にも、
同様のレガシー問題はある。
第一は、「古くて使いにくい店舗」
第二は、「儲からない店舗運営や販売促進手法」
第三は、「中小企業大企業病」  

整理すると、
第一は、ハードウェアのレガシー。
第二は、ソフトイウェアのレガシー、
第三は、ヒューマンウェアのレガシー。  

この三つが別々の問題ではなく、
三位一体の構造になっている。  

特に組織に関しては、深刻だ。

高木リーダーたちはこう語る。
「レガシーコストは目にみえる問題だけでなく、
組織や心の中にもある」

JALのレガシー経営体質は、三つ。
①ある種の“お上”志向
②内向き志向
③先送り体質  

「軋轢(あつれき)の起こる部分や、
ややこしい問題についてはふたをする」

だから経営の問題に関しては、
「不連続を作ることが大事だ。  
徹底的にやらないといけない」

「限られた時間で、
相当に腹をくくって集中的にやらないと、
病巣を取り残すことになる」

これが、コンサルタント集団としての、
「再生タスクフォース」の決意。

本来、コンサルタントは、
会社がよく運んでいるときには、
まったく必要ない。

会社が病んできたとき、
根本的な問題を解決するのが、
コンサルタントの役割。

むかし昔、以下のように宣ったコンサルタントがいた。
「好調企業だけコンサルするのが、
コンサルタントの極意」

会社の専属医療機関とも言えるコンサルタントは、
会社が病気にかかった時、
あるいは病気にかかりそうな時に、
必要となる。

さて、日航の救いは、次の言葉に表される。
「今回限られた時間で完成度高い計画案ができたのは、
日航の若手中堅の連中が情熱を持って骨格を作り上げてくれたからだ。
そういった現場、若手中堅の力がこの会社の礎だ。
大胆なダウンサイジングは、
若手から絶対やるといって上がってきた中身だ」

日本航空は、今、
最後で最大のチャンスを迎えている。
レガシーコストと決別するための。

そしてこのことは、日航に限らない。

日本中の多くの会社にとって、
レガシーコストとの決別が迫られている。  

レガシー問題の三位一体。

三位一体をトータルに、一挙に、断ち切らねば、
最大にして最後のチャンスを逸する。

日本航空はもちろん、
小売企業も、サービス業も、
製造業も、卸売業も、
そして出版社やコンサルティング会社自身も、
同様の課題の前に立っている。

<結城義晴>  

2009年10月30日(金曜日)

アメリカGDP急速回復を支える小売業・サービス業に学べ

今年7・8・9月期のアメリカの国内総生産。
その米国GDP実質成長率が、
年率換算で前期比3.5%プラスとなった。  

前期比とは、4・5・6月の第2四半期との比較のこと。
その第2四半期は、第1四半期比マイナス0.7%だったから、
米国は急速に経済が回復していることになる。  

これは2007年第3四半期の7・8・9月期以来の高い伸びで、
2008年第2四半期以来のプラス成長。

米国の「戦後最長の不況からの脱出」が論議を呼びそう。

アメリカ経済は2007年12月から、景気後退が続いていた。
それが、2年たたずして、復調したことになる。

アメリカでは、
GDPの約7割を個人消費が占める。  

すなわち小売業、サービス業が占める消費支出の比率が高い。
それがアメリカ経済の特徴。
いわゆる内需の貢献度が高い。

その消費支出が3.4%のプラスとなった。  

このうち耐久財は22.3%増、非耐久財も2.0%増。
民間住宅投資も23.4%の増加。

もちろん、米国の9月の失業率は9.8%で、
予断を許さない状況。

雇用不安が解消されない中での、
内需と消費の回復。

アメリカ人の楽天的消費スタイルが根底にあるとはいうものの、
彼の地の小売業・サービス業の奮闘が、
この経済回復の兆候をもたらした。

リーマン・ショックは昨年9月のことだった。
米国のGDPは、その9月を含む第2四半期に、
マイナス2.7%と落ち込んで以来、
今年第1四半期の1・2・3月期には、
マイナス6.4%の大きな下落を見せていた。

消費大国アメリカの消費産業。

彼らの自覚とプライドを、
私たち日本の消費産業を担う者も、
見習いたいものだ。

いつまでも、
「不況だ、不振だ」とは言っていられない。
「低価格競争だ、いや価格競争はだめだ」といった、
不毛の論議を続けてもいられない。

「私はこれだ」と信じたことを、
それぞれが貫く。

他力本願でなく、自力で顧客に訴え続ける。
それが自分のカスタマーに響く。

そしてそれが全体として、
国内総生産の7割を占める個人消費を押し上げる。

さて昨日から熱海。
そのニューフジヤホテル。
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アイダスグループの研修会。
通称「AG研修会」。
4年ぶりの開催。

ニューフジヤホテルは、もう10年前になるだろうか、
商業界ゼミナールを開催したホテル。
私には、懐かしさいっぱいの地。

到着してすぐに、原稿書き。
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いつも慌ただしくて、恐縮。
写真左に写っているのは、小森勝先生。
コンビニエンスストアの専門家。

2時30分、全員揃って、いよいよ開始。
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アイダスグループ鈴木國朗代表の開催の挨拶。
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そして私のレクチャー。
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「変わる潮目の中の経営戦略」  
私の持論の全面展開。
4年ぶりのAG研修会。
だから2時間近くの講義となってしまって、
再び恐縮。

私が強調したかったのは、
「廃藩置県以前の藩単位のマーケティング」。  
それが日本の場合、ローカルチェーンのサイズにぴたり合致する。

とりわけ食品スーパーマーケットは、
地域食文化との強い絆をもつビジネスだ。

それが「藩の単位のマーケティング」の重要性を示唆している。

だから藩の単位で、
ナンバー1、ナンバー2に入ること。
もしくは藩の単位の中で、
ユニークな食文化を提供し続けること。  

その後、全員が10分くらいずつスピーチ。
これがこの研修会の特徴。

そして夕食、入浴。
さらに部屋での懇親会。
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ここのところ毎日、このブログに登場する二人。
松井康彦さんと『食品商業』編集長の山本恭広さん。
鈴木先生と荒木祐一郎さん。
荒木さんは、熊本県山鹿市のスーパーマーケット荒木屋の社長。

そして浴衣姿の三人。
左から桑原孝正さんと松浦克幸さん。
桑原さんは㈱セルバ社長。
セルバは山梨県富士吉田に本部をおくスーパーマーケット。
松浦さんはブルーチップ㈱常務取締役。
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今年8月の富士登山の話題で盛り上がった。
そう、㈱エコス会長の平富郎さんと私の富士登山の話。

来年は、みんなで登るのか?

たいへんなことになりそう。

それでもこの夜の懇親は、
懐かしさと親密さが、
いっぱいに溢れていた。

私は、小売業の役割の重さを、実感していた。

<結城義晴>  

2009年10月29日(木曜日)

「散弾銃の価格競争」から「ライフル銃の競争」へ

大企業の冬の賞与は、
前年比15.91%のマイナス。  

日本経団連の調査と発表。
従業員500人以上の東証一部上場企業、
14業種99社の平均。

マイナス幅が16%に近づき、
1959年の調査開始以来最大。
しかし平均妥結額は74万7282円。

大幅減少しても、75万円は、でる。

これが中小企業となると、
軒並みボーナス無しレベルの会社となる。

だから今年の年末商戦、
「厳しくて、遅い」  
ぎりぎりまで消費は動かない。

「節約、倹約。もったいない」のマインドが、
ぎりぎりまで続く。

その自分の顧客の気持ちに、
いかに同期できるか。

私は、ここにかかっていると思う。

さて先日の世界経営者会議の柳井正さんの発言。
ファーストリテイリング会長兼社長。
「経営をするなら、
いつも危機と思わなければいけない。
逆に本当の危機の時、
経営トップは『危機だ」などと言ってはいけない。
悠然と構えて、
『いや、自分たちの未来はこうするんだ』と社員に語り、
高い目標を掲げなければいけない」  

そのとおりだと思う。

「商品を売る前に、
店を売り、企業を売る。  

ブランド、イコール信用を、
つくっておくことが大事だ」

これにも、大賛成。
「企業ロイヤルティやストアロイヤルティは、
ブランドロイヤルティに優先される」
これは、結城義晴の持論。

さて、昨日は、東京・お台場。
ホテルグランパシフィック。
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「全日食躍進チェーン大会」  
地下1階のパレロワイヤルに3000人からの人々が集まった。
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第1部は記念講演。
早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授が講演者。
テーマは「経済危機を克服する」
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現在の経済危機の実態を明らかにし、
危機克服のヒントを歴史に学ぶ。
こういう構成。
ここでいう歴史とは、1929年の世界恐慌。
そこからの学習成果は、「金融緩和」。
だから若田部さんは、今、
金融大緩和が危機克服策だと主張する。
財政政策だけの片肺飛行は最悪だという。

私は、その先が聞きたかった。
その先どうするのか。
残念ながら、
それは皆さんが考えること、
皆さんがやること。
そんな風に聞えた。
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講演会の次は、第2部・チェーン大会。
大会会長挨拶は、
全日本食品㈱代表取締役社長の齋藤充弘さん。
全日食チェーンのリーダー。
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齋藤さんの話が面白かった。
現在の価格競争をたとえて、
「誰かが勝つ競争ではなくて、
誰も勝たない競争」という。
だからそこから脱しなくてはならない。
しかし、「価格競争に負けてはいけない」

そのとおり。

価格で勝つことは、できない。
たとえ価格で顧客を捕まえても、
価格でその顧客をとられる。
しかし価格競争で負けては、
「高売りの店」の烙印を押されてしまう。

齋藤さんは、どうすればいいといったか。
「現在は散弾銃の価格競争。
私たちは、ライフル銃の競争をする」  

すなわちZFSPと呼ばれる技術の開発である。

FSPはフリークエント・ショッパーズ・プログラム。
その全日食チェーン版が、ZFSP。
新規顧客を上位顧客にする。
その上位顧客がスーパーマーケットの50%の売上げを占める。
上位顧客をライフル銃で狙う競争。
それが全日食チェーンの「新・商品政策」の次にくるもの。
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いい話だった。

メーカーや卸売り業の人々にもよくわかるはず。

1時間の休憩の後は、祝賀会。
冒頭に、江刺公夫さんの挨拶。
全日食チェーン商業協同組合連合会副理事長。
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そして衆議院議員・小泉進次郎さんの来賓祝辞。
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こんなに人が集まって、写真。
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人気は高い。
自民党代議士のなかで、恐らく人気だけはナンバーワン。

その後、経済産業省商務流通審議官の瀬戸比呂志さんの祝辞。
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続いて、農林水産省からは、関東農政局長・皆川芳嗣さん。
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そして乾杯。
乾杯の音頭とショートスピーチは、澤田浩さん。
日本製粉㈱代表取締役会長兼社長。
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懇親会は、大盛況。
たくさんの人にお会いしたが、
ダイジェストで写真紹介。

まず、廣田正さん。
㈱菱食特別顧問。
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コーネル大学RMPジャパンの11月に講師として、
ご出講いただく。

さらに㈱菱食会長の後藤雅治さん。
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このブログのご愛読者。心から感謝。

国分㈱会長兼社長の國分勘兵衛さん。
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デジカメについて、情報交換。

そして明治屋相談役の磯野計一さん。
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磯野さんもお元気で、私、うれしい。

今週はよく会う伊藤園の本庄大介社長と本庄周介専務。
それに商人舎エグゼクティブ・プロデューサーの松井康彦。
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ハウス食品㈱社長の浦上博史さんと会長の小瀬昉さん。
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㈱ロッテ取締役副会長の重光宏之さん
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寺岡精工㈱社長の寺岡和治さん。
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その寺岡専務で、㈱テラオカ社長の高野公幸さん。
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そして日本食糧新聞社社長の今野正義さん。
ジャーナリストの大先輩。
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最後に、田中彰さん。
全日食チェーン商業協同組合連合会理事長。
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田中さんは、現在、全日食チェーンの精神的支柱。
日本のボランタリーチェーンの精神的な柱といってもいい。

最後の最後はこの人、
全日本食品社長の齋藤充弘さん。
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中締の挨拶と万歳三唱の音頭は、寺岡さん。
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元気の良い万歳三唱だった。

番外で、内輪の紹介。
まず、コーネル・ジャパン第二期生から。
三井食品㈱執行役員量販営業本部本部長の稲田雄司さん。
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もう一人、コーネル第二期生。
国分GMS事業部副部長の山崎佳介さん。
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そして今週、何度も会っている㈱商業界の仲間。
山本恭広『食品商業』編集長と中嶋正樹取締役営業統括。
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長い付き合いの仲間と歓談し、飲酒していると、
時間はすぐに過ぎる。
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そしてこんな感じになる。

齋藤充弘さんの話と柳井正さんの言葉が、
頭に残った。

小売業にとって、
店のブランド化は、第一の条件。  

Zチェーンもユニクロも。

これは間違いない。

人間にとっても、
自分のブランド化は,
もしかしたら第一の条件かもしれない。

<結城義晴>  

2009年10月28日(水曜日)

商業販売統計と外食産業統計の「鳥の目」に学ぶこと

ロバート・鈴木さんが、急逝された。  
享年59歳。私より二つ上。

アメリカ在住コーディネーターでジャーナリスト。
昨年5月に日本セルフ・サービス協会の米国視察で、
お世話になった。
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私は一度、一緒に酒を飲むと、
よほどのことがない限り、
友人づきあいをすることができる。

ロバート・鈴木さんとも、
これから長い付き合いになると思っていた。

米国小売業の情報をきちんと取材し、
整理し、報告してくれた。

心からの感謝とともに、
ご冥福を祈りたい。

さて9月の商業販売統計速報。  
経済産業省の発表。
物事は、「鳥の目、虫の目」で見なければならない。
「鳥の目」もきわめて大切だ。
その一つがこれ。

小売業販売額は前年同月比1.4%減。
総額10兆5440億円。
13カ月連続の減少。
ただし、減少の幅は縮小。
これは3カ月連続。

気温が低くて、秋物衣料は比較的好調で、前年同月比1.7%増加。
新型インフルエンザ対策用品も好調。

一方、外食産業市場動向調査では、
売上状況は全業態で前年同月比1.5%減。  

これは4カ月連続実績割れ。

客数が1.8%増ながら、客単価は3.2%減。  
シルバーウィークの関係で、前年比で休日日数が1日多く、
好天も味方して、全体として客数増。

ただし、外食産業では低価格帯の業態が増加し、
それが全体の売上げを押し下げた。
外食の店舗数は0.5%減。

業態別には、四者四様。  
ファーストフード業態のみ、売上高は3.3%増。
ファストフードの客単価は2.2%減、客数は5.6%増。
良い企業、良い業態の現在の特徴がこれ。

ファミリーレストラン業態は、
客単価2.4%減、客数2.8%減で売上高5.4減。

パブ・居酒屋業態は、客数は5.9%減、客単価1.2%減、
売上高は7.0%減。

ディナーレストラン業態は、
客単価1.1%増、客数は5.7%減、しかし売上高4.6%減。
喫茶業態も、客単価0.4%増、客数は6.0%減、売上高5.7%減。

それぞれの政策が、客数、客単価に反映され、
結果としての売上高が出てくる。

何度も言うが、現在は、客数主義を貫くこと。
その意味で外食ではファストフードの政策が現時点での時流。

ディナーレストランや喫茶は、客単価主義で、
これは、顧客からのしっぺ返しを注意しなければいけない。

ファミリーレストラン、パブ・居酒屋は、
客数主義に徹して、現状を抜け出さねばならない。

外食産業は、食品小売業の水先案内人である。
外食の動向が、内食に先行する。  

これは、忘れてはならないし、
いつも注目しておかねばならない。

さて、昨日も一日、忙しい。
朝から東京・大門。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱へ。  
月に一回の取締役会。
私は、このマーケティング・リサーチの会社の非常勤役員。
顧客情報とPOSデータをぶつけあって、
より詳細で、綿密な情報を獲得し、
それを分析・加工し、サービスする仕事。

私のフィールドワークの一つになってくれたらいいと考えている。

アメリカでも、ショッパーズ・マーケティングと称して、
現在、盛んに研究が進められている。
将来性のある分野の将来性のある会社。

午後は、東京タワーの向かいの機械振興会館。
商業経営問題研究会。  
リテール・マネジメント・ラーニング・サークル。
通称、RMLC。

私が、亡き磯見精祐さんのあとをついで、
現在の第三代目座長。
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今回は、㈱ケノス代表取締役社長の小林清泰先生の講義。
小林先生は、商人舎のコーポレート・デザインを担当してくださった。

その小林流「店舗の考察と実践」。

まず、店舗の機能を考える。
そうすると、まず店とは「人を育てる場」であることが分かる。
当然ながら店は、「事業のツール」である。
さらに店舗を構成する要素を考察すると、
「エコという物差し」が登場する。

この物差しが何より大切だ。
経営者にも、経営幹部にも、
商品部にも、店舗にも、
デザイナーにも。

そこから小林先生は、
店舗デザインの実践を重ねてきた。

コンビニのローソン。
ファミリーマート。
そしてホームセンターのカインズなどなどなど。

ピーター・ドラッカー教授は書き残している。
「サービスの生産性」を向上させる鍵は、
アウトソーシングに尽きる、と。

小林先生の仕事を見ていて、
私は、このドラッカーの言葉を思い出した。

アメリカのチェーンストア業界では、
小売業実務へのサービス機能が発達している。

それがチェーン化のスピードを加速させる。

日本の小売業は、何でも、自分でやりたがる。
それが日本のチェーンストアのスピードのなさの原因。

小林先生の講義への質問などのあと、
山本恭広『食品商業』編集長から、
8月のRMLC店舗クリニックの内容報告。

そして最後に、私のアメリカ最新報告。
2009年秋の三番勝負のエッセンスだけ、
簡単にレクチャー。

これは、まだまだ丁寧にお話しするし、
さまざまな記事にも書いていく。

RMLCは楽しい。

最後に、西武百貨店食品売り場改革について問題提起。
皆で研究対象にしようと思う。

帰りに、西川清明さんと一緒になった。
元ヤオハン、ユニーの幹部として活躍され、
現在は、実に熱心な流通研究家。
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出店に関して、西川さんの情報網に入らないことはない。
私も多くの勉強をさせてもらった。

多謝。

<結城義晴>  

2009年10月27日(火曜日)

鳩山由紀夫の「人間のための経済」と柳井正の「良い会社・商品・社員」

台風20号一過。
カラリと晴れた秋らしい日。

昨日の話題は、鳩山由紀夫首相の所信表明演説一色。
「無血の平成維新」
「コンクリートから人へ」
「友愛政治」
たくさんのキーワードが盛り込まれたが、
私がいちばん気に入ったのは、
「人間のための経済」  
そして全体を貫いていた主張。

読売新聞も日経新聞も、
「抽象的」「具体性に欠ける」との評。

私は、所信表明は、
抽象的でいい、と思う。

抽象化、普遍化こそが、
全体像を描き出す唯一の方法である。
抽象と事例、抽象と事例。
これがコミュニケーションの原則。
その抽象の中身をこそ、
論じるべきだ。

その意味で「人間のための経済」は、
まことに全うで、いい。

逆に、「具体策を出してくれ」という要求からは、
どこか「グライダー化」が連想されてしまう。

日本のマスコミも経済界も、
グライダー化してしまっては、困る。

現在、世界経営者会議2009が開催中。
そこで柳井正さんが語っている。
ご存知、ファーストリテイリング会長兼社長。
「国内の一強百弱から、
世界の一強百弱に様変わりしなければ、
成長はできない」  

「良い会社、良い商品、良い社員をつくる」  
柳井さんは、こうも言う。

この考え方の徹底と貫徹が、
「一強百弱の、一強」を作り上げ、磨きあげる。

さて、昨日は、朝から東京・清水橋。
伊藤園本社で、大陳コンテスト審査委員会。
伊藤園の社是。
故・本庄正則会長の書。
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「お客様を第一とし、
誠実を売り、
努力を怠らず、
信頼を得るを、
旨とする」  

私の育った商業界の思想、
そして私たちの商人舎の考え方と、
全く変わらない。

その社是の額の前で、
「伊藤園夏の大陳コンテスト」審査。
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審査委員は、右から本庄大介社長、
山本恭広『食品商業』編集長、
この企画のプロデューサー松井康彦さん。
前商業界取締役営業統括。
審査委員長の私と江島祥仁副社長、
そして本庄周介専務。

全員揃って、真剣な審査。
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そして決まった。
大陳賞、陳列賞のそれぞれの大賞。
そして企業賞の大賞。

今回は、イトーヨーカ堂、イオンも参加して、
1万店を超えるスケールの参加数。

満足そうな顔で、
全員で写真。
私の隣はアルヌー・ティエリさん。
ダノンウォーターオブジャパン㈱オペレーションズ部部長。
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審査委員会後、恒例となった江島副社長の部屋での懇親。
まず、抹茶を頂く。
これがいい。
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そして、最近の流通業界事情、アメリカの話題、
伊藤園レディス・ゴルフのことなど、
勉強になると同時に楽しい話題。
その伊藤園レディスのポスターの前で、
三人で写真。
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江島さんの部屋にかかっていた額。
これも故・本庄正則会長の書。
素晴らしいので写真に撮らせてもらった。
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長生十徳  
少酒多茶 少肉多菜
少糖多果 少塩多酢
少食多嚼 少煩多眠
少怒多笑 少欲多施
少衣多浴 少車多歩  

素晴らしい。
「少酒多茶」は、極めて上手な宣伝でもある。
「少煩多眠 少怒多笑 少欲多施」は、
人間としての生き方。
「少衣多浴 少車多歩」は生活の仕方。

本当に素晴らしい。

午後は、神田の日本セルフ・サービス協会。
コーネル大学RMPジャパンの事務局会議。
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太田美和子さん、中間徳子さん、
村尾芳久さんと私。
第一回の反省すべきところは反省し、
次の展開への抜かりない対応を。
よろしく。

夕方、急いで、帰浜し、
商人舎オフィス。
㈱八社会の松島良三常務と田島英雄総務部長。
お待たせしてしまって、本当に申し訳ない。
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来年1月の講演会の打ち合わせ。

製配販コラボレーション、
プライベートブランド、
アメリカ情勢、日本の動向。
話したいことは山ほどある。

その中から2010年に、
是非とも必要とされるテーマを講義する。

人間のための経済、
良い会社、良い商品、良い社員。
長生十徳。  

もしかしたら、いい時代が、
すぐそこで、待っているのかもしれない。

<結城義晴>  

2009年10月26日(月曜日)

「今年末は厳しくて、遅い」大潮流の始まりと「それぞれの壽里茂」

Everybody! Good Monday!!  

2009年10月最終週。
今日、月曜日は雨模様。
だんだん寒くなる秋真っ最中。
今週末、土曜日の31日がハロウィン。  

アメリカ、カナダの風習だが、
ヨーロッパや日本にも伝染して、
広く楽しまれるようになった。

お客様が楽しみにしていることは、
どんどん提供する。
その面では、商業・小売業には、
野放図なところが必要だ。

「顧客が望むものは、何でも用意する」  

さて、このブログは、
朝9時、10時の段階で新規記事をアップし、
その日の仕事の活力にしてもらいたいと考えている。
しかし、私自身の忙しさから、
ずるずると午後に、
記事アップが伸びてしまうことがある。

今日がそれだ。

本当に申し訳ないと思う。

月曜日は、前日の日曜日にスケジュールが空くことが多いので、
特に「Good Monday」は、朝一番の記事アップを果たしてきた。

しかし昨日は、昼過ぎから始めて、
夜まで、飲み過ぎた。
そして今日は朝一番に仕事が入っていた。

そこで、昨夜、寝るときに、決めた。
「明日の朝は、ブログをアップしないことにしよう」
「午後、ブログアップしよう」

そうすると、不思議。
ぐっすりと眠ることができた。

こんなにも[結城義晴の毎日更新宣言]は、
結城義晴を苦しめていたのか。
それがわかった。

しかし、朝一番のアップは、
これからも、できる限り、実現させたい。

読者の期待に応えるのが、
㈱商業界時代から私の主義。
㈱商人舎になっても、
この主義を曲げるわけにはいかない。

しかし、時々でいいから、
お許しいただきたい。

午後や夕方の記事アップも。

さて、アメリカの年末商戦。  
10月の頭から、はじまっている。
三段階のプロモーションではあるが、
年末を見据えていることは、日米ともに変わらない。

そのアメリカのクリスマス商戦向けプロモーションへの、
客足が、ひどく鈍い。

ウォルマートが、
10月に入って仕掛けた売れ筋玩具一律10ドルセール。

日経新聞の記事だが、
ウォルマート上級副社長のジョン・フレミングは、
「年末商戦は厳しく、本格化するのも遅い」とコメント。

フレミング氏は、
ライバルのターゲットからスカウトされて、
ウォルマートの衣料品を改革した人物。
現在、マーチャンダイジング統括副社長。

経験も実績も申し分ない。

だからというわけではないが、
フレミングの言うことは、
聞くに値する。

日本でも、
「今年末商戦は、厳しくて、遅い」  
ぎりぎりまで、消費は動かない。

これが、10月から12月までの基本潮流。

心してかからねばならない。

さて昨日は、朝一番に、
参議院神奈川県選出議員補欠選挙の投票に。
私の中学・高校の10年後輩が当選した。
10年の後輩だから、直接の知り合いではないが、
以前から注目していた人物。
金子洋一という。

頑張ってほしいものだ。

その後、東京・早稲田へ。
大隈ガーデンハウス。
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「壽里茂ゼミ稲門会」総会。  
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大学時代のゼミは「産業社会学研究」。
指導教授は、壽里茂先生。
早稲田大学名誉教授。
先生には、ゼミの教え子が525名、いる。

その3年ぶりの総会。
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冒頭の挨拶は、第4代幹事長の私。
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今年83歳になられる大正15年生まれの壽里先生。
そのご意志を受け継ぐのが私たちの役目。
「先生の志を受け継ごう」と、私は挨拶した。
「志定まれば、気盛んなり」
吉田松陰のこの言葉、
「志」が固まれば、自然に、
「気」力が横溢としてくるというもの。
だから「志」を先生にいただけば、
私たち弟子の「気」は盛んになる。
本当に助かる。

私は特に、先生と同じ道を歩み始めた。
だから「気盛んなり」である。

私の挨拶の最後は、
「それぞれの壽里茂」  
先生に対する思いは、弟子たちそれぞれにある。
そのそれぞれを大切にしようというメッセージ。

これは、上田惇生先生の「それぞれのドラッカー」から、
発想を頂戴した。

私の挨拶のあとは、壽里茂先生。
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83歳としては、驚くべき確かさで、
講話をしてくださった。

自分の人生は三段階に分かれる。
戦前の自分。
戦後の自分。
そしてこれからの自分。
「今、成長段階」  
それが、壽里茂の真骨頂。

先生は、現在のこと、将来のことを、
考えていらっしゃる。

私は、とても嬉しかった。

写真の左手に写っているのは、
内藤邦夫事務局長。
彼抜きに壽里ゼミ稲門会は、あり得ない。
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先生の講話のあとは、長い長い懇親。

それぞれの年代ごとに集まっては、
現状報告やゼミ時代の思い出話に花が咲く。

世代間の交流も盛んになったころ、
今総会たった一つの余興。

早稲田大学応援団の出番。

8本ある団旗。
「進取の団旗」という由緒ある旗。
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それを、掛け声とともに、立てる。
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その後、旗手はこの団旗を掲げ続ける。
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見事に立った団旗。
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その前で、応援歌斉唱「紺碧の空」。
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「早稲田の栄光」は、
いつ聴いても、
いつ歌っても、
いつも泣ける。

そして、校歌。
あの「ワセダ、ワセダ、ワセダ」という歌。
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全員で、手を振り上げて、
声を限りに、歌う、怒鳴る。

壽里先生も、体が心配になるくらい。
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最後に、先生と娘さんの珠子さんに花束。
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珠子さんの挨拶は良かった。
「父は、今でも、書斎で勉強しています。
小さい頃から、勉強している父しか見たことがない」

学ぶことの喜び、
学ぶことの確かさ、
学ぶことの楽しさ。
壽里先生からは、こんなことを、
学んだ。

心から、感謝。

最後に、大隈公堂の前で、
全員で写真。
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かくて、無事、壽里茂ゼミ稲門会総会は終了。
私も、第4代幹事長の任を解かれた。

ご協力くださった皆さん、ありがとう。

「それぞれの壽里茂」  
忘れずに。

皆さんにも、あるはず。
「それぞれの先生」  
忘れずに。

Everybody! Good Monday!  

<結城義晴>  

2009年10月25日(日曜日)

ジジとホールインワン[日曜版]

今日は、すごいお知らせです。
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スポーツの秋といいますが、
アライ・シンヤ先生が、
すごいことを、
してしまいました。
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ホールインワンです。
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ゴルフのショートホールで、
一回で、いれてしまうこと。

今年の8月だったそうです。
場所は、ホームコースの戸塚カントリークラブ。

ユウキヨシハルのおとうさんは、
25年まえに、
アライ先生が、ホールインワンするときに、
たちあっていたそうですが、
それ以来の2回目のホールインワン。

おとうさんは、
もちろん、
ホールインワン、
やったことがありません。
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でも、最近は、
いっしょうけんめいに、
ゴルフ、やっています。

これがおとうさんのクラブ・セット。
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デトロイトの空港で、
衝動買いしたキャディバッグ。

ウッド・カバーは、
コーネル大学の専用。
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シゴトもいそがしいけれど、
時間をつくって、
熱心に、はげんでいます。

ひそかに、だいそれたことを、
かんがえているようです。
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今年の7月には、
ニューヨークのイサカで、
ゴルフ、してきました。

コーネル大学のゴルフ場で。
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ジーン・ジャーマン名誉教授のスウィング。
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コーネルでは、とても、
たのしんだ。
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ボクは、おとうさんのゴルフ、
とても、いいとおもいます。

昨年、目を手術して、
だいすきなスポーツが、
あまりできなくなった。

野球も、テニスも、
バトミントンも、卓球も。

目がわるいから、できない。
うごくものを、打つことができない。

そのかわり、
うごかないものを打つ。

それがゴルフ。

おとうさんのスウィング。
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成果も、ずいぶん、
あがってきた。

「努力すれば、
かならず、むくわれる」
そう言ってる。

でも、アライ先生のように、
ホールインワンは、やっていない。
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ホールインワンは、
努力とは、べつのもののようです。

でも、ボクは、
おとうさんのゴルフ、
おうえんしています。

何か、とても熱心なところが、
いいとおもうんです。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

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