結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月05日(木曜日)

柳井正本『成功は一日で捨て去れ』と「セブンプレミアム・ワイン」

ファーストリテイリングの柳井正さんから、
二冊の本が送られてきた。
yanai book
『成功は一日で捨て去れ』
『ユニクロ思考術』  

どちらも新潮社刊の話題の本。

同封されていた私への手紙には、
それぞれの解説が書かれてある。

前者は、「2003年に書いた『一勝九敗』以降の、
ユニクロをはじめとするファーストリテイリンググループが、
グローバルブランドになるための悪戦苦闘の日々を描いたもの」

後者は、「ユニクロを取り巻く人々が何を考え、
どのように行動してきたかをわかりやすくまとめたもの」

前者の第5章は「次世代の経営者へ」。
そのなかに「世界最高水準の経営者育成機関をつくる」という節がある。
ファーストリテイリング・マネジメント・イノベーション・センターがそれ。
5年間に200人の経営幹部を育成しようという構想。

この経営幹部とは、
「教えることができる人=経営することができる人」
「200人は、生徒であり、先生にもなりうる人」  

柳井さんの考えの根本がここにある。

私のコーネル・ジャパンへの思いと同じだ。

教えることが一番、学ぶことにつながる。
これは、教えてみて、初めて分かる。

さらに教えたことを、実践する。
これで教える内容に、実践が伴ってくる。

本の最後は、ドラッカーで締められる。
「企業の目的として有効な定義はひとつしかない。
すなわち顧客の創造である」  

柳井さんの好きな言葉。

倉本長治の「店は客のためにある」を、
ドラッカーは「顧客の創造」と表現する。

ドラッカーは続ける。
「企業の目的は、それぞれの企業の外にある」  
これも柳井さんは、重要な言葉だという。

企業の中に目的を見出す状態の蔓延を、
「大企業病」という。

ドラッカーは、したがって企業に必要なことは、
ふたつしかないという。
「マーケティングとイノベーション」である。

柳井さんの、最新本、是非読んでみてください。

この件に関して、編集者として一言。
タイトルは、前著『一勝九敗』が素晴らしかったので、
これに引っ掛けてほしかった。

最近、柳井さんが使っている『一強百弱』などいかが?
(サブタイトル「ユニクロは一人勝ちではない」かな?)。
これは、ご本人があまり気に入らないだろうが、
何か数字の入った四文字熟語が、良かったと思う。
蛇足ながら。

さて、今日の新聞は各紙とも、
セブンプレミアムのワインの話で盛り上がった。
昨11月4日発売。
「ヨセミテ・ロード」というブランド名。  
カリフォルニアのヨセミテでつくられた赤と白。
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赤は、カベルネ・ソーヴィニヨン、白はシャルドネ。
私は、9月26日のこのブログで、
このワイン、大ヒット間違いなしと予言した。

ただし、ラベルは「イマイチ」だと思う。
w2
トップにある「セブンプレミアム」のマークが、
ここにあってはよろしくない。

せいぜい、いちばん下だろう。

もしくは、逆にでかでかと、
「セブンプレミアム・ワイン」だろう。

しかしこのワイン、1本598円。
コルクキャップではなく、
スクリューキャップのコンビニ仕様。

ワイン専門家の内藤邦夫さんの見立てでは、
白はかなり、いける。
赤もまあまあ、いける。

私は「辛口・ミディアムボディ」のカベルネ・ソーヴィニヨン派。

これらを日米1万5000店で販売する。

ちなみにアメリカでは3.99ドル。
アメリカでは「セブンプレミアム」のマークはつけない。
これが正解だと思う。

超有名なトレーダージョーズのチャールズ・ショーが、
カリフォルニアで1.99ドル、
ほかの地域で2.99ドル。
それよりも、1ドル高い。

日米合計で年間300万本の販売予定。
この量は、十分、こなすだろう。

セブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランドは、
今年度3200億円になる。
2012年度は、1.5倍の5000億円の予定。

通常の場合、PBは、
発売当初にいきなりピークを迎える。  

その後は、売上げが落ちるばかり。

だからセブンプレミアムは、
毎年、毎年、リモデルを繰り返すという。

これは、重要な政策だが、
しかし、考えてみると、当たり前のこと。

自社・自グループでしか売らないのだから、
必ず全店で、徹底して売る。
だから最初にピークとなる。

対してメーカーのナショナルブランドは、
少しずつ認知されて行く。
小売店頭に並ぶのに時間がかかる。
だから、ピークがくるのはPBに比べて遅い。

それでも、リモデルを繰り返す。

小売業のPBは、
早熟な子供のようなもの。  

早熟な子供の育て方も、
難しくて厄介なものだ。

ただし、全店で、
ブランドを育てる意気込みで、
徹底して、売り込むこと。
まず、売っている人々が購入し、消費すること。

それがあれば、早熟な子供たちは、
年寄りばかりの現在のマーケットの寵児となる。

「企業の目的は、それぞれの企業の外にある」 

<結城義晴>  

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