【巻頭のお知らせ】
本ホームページ、本日4本の新着記事が
あがっています!
是非、ご覧ください。
日経新聞が煽っている。
今日20日の一面トップ記事。
「食品・日用品の6割値下げ」の見出しが踊る。
「日経POSデータ」を活用した主要60品目の7月~10月の調査。
6割弱の34品目が値下がりし、22品目が値上がり。
値下がりは、
ティッシュペーパー4.4%、
ラップ5%、
バター3.6%、
サラダ油3.3%など。
日経は「特売の常態化、集客の目玉」と表現しているが、
これらは典型的な工業型商品のコモディティ・グッズ。
22品目の値上がり品は、
食パン2.5%、
シャンプー1.6%、
牛乳0.5%。
コモディティの値下がりが続き、
農業型・情報型のノンコモディティは下がらない。
メーカーが脱コモディティ化に邁進し、
情報型商品化によって、値下がりを食い止める。
それらは下がらない。
これから年末にかけて、重要なポイントだ。
私は、「何でもディスカウント」はないと思う。
反対に「何でもわけあり、何でも適正価格」もあり得ない。
商品市場と顧客市場の関係性の中で、
さらに地域における競争関係の中で、
価格は決定され、自分の顧客に受け入れられる。
このことを忘れてはならない。
一方、東京株式市場も続落。
日経平均株価は前場で前日比119円88銭(1.26%)安、
9429円59銭と、9500円を割った。
「東京市場一人負け」と朝日新聞が報じたが、
19日にはアメリカのニューヨーク株式相場が続落。
それが東京の9500円割れに影響を与えた。
私は、株はやらない主義だ。
ジャーナリストとしての矜持。
しかし株価の動きは、
回り回って商品相場にダメージを与える。
「デフレ」が叫ばれるが、
そのなかに価格を維持している商品がある。
価格が維持されるということは、
供給量よりも需要量が多い商品ということ。
つまり、買い手市場と見られている中に、
売り手市場の商品があるということ。
売り手市場の商品は、顧客が買いたがっている。
そんな商品は多くはないけれど、存在する。
売り方次第で「売り手市場の商品」になることもある。
昨日は、午前中、兵庫県神戸市東灘区へ。
阪神本線御影駅前の阪急オアシス御影店。
8月にテレビ番組のワールドビジネスサテライトで紹介されて、有名な店。
阪神百貨店の食品売り場を、㈱阪食が担当する。
だから番組では「百貨店の低価格化」特集の事例として取り上げられた。
1階奥に、阪急オアシスのスーパーマーケットが入っていて、
ベーカリーのポンパドウルがショップを展開している。
ポンパドウルの向かいは、阪急オアシスの惣菜売り場。
これがいい。
お昼時になると、フルメンバーで、活気をつくる。
惣菜とともに強いのが青果部門。
アイランド方式の売場の真ん中に作業場がある。
「スーパーマーケットは、
売れれば売れるほど易しくなる商売」
それがこの青果部門にも表れている。
バラ売りのコーナーは、人気が高い。
阪急オアシス御影店自慢のトマト売場。
これだけの品質、鮮度、品揃えのトマト売場となると、
それだけで客がつく。
バナナも島陳列で、単品大量販売。
ひとつの品種を掘り下げて、大量に陳列する。
それが、顧客にアピールする。
「売り方」によって、需要をつくり出すことができる。
しかし、精肉部門はウィークデーはつらい。
鮮魚売場も、いい商品が並んでいるが、
惣菜・青果ほどではない。
平日の展開をどうするかが、目下の課題。
売場をぐるっと回ると、
ケーキコーナーが目に付いた。
「シュークリーム・バイキング」
加工食品は絞り込まれ、「これ」というアイテムを品ぞろえしている。
売場の中ほどに「キッチン・ステージ」がある。
料理提案のコーナー。
私鉄沿線の特急が止まる駅の百貨店。
その食品売り場。
「ライフスタイル提案」は必需の要素だ。
駆け足で、視察し、
神戸ブロック長の金子栄治さん、御影店店長の高田清司さんと写真。
売場面積1700㎡で年間売上目標は26億円。
「デフレ基調」の昨今だが、
まずは25億円を確保して、
ブレークすれば30億円を視野に入れることができる。
顧客は百貨店の食品売場ととらえている。
だからそのイメージを大切にしながら、
「今日はこんなに安いものがある」と、
小さな喜び、小さな発見を、丁寧に、顧客に提供し続けること。
それが、30億円への道を拓くに違いない。
売場の左に料理教室があって、
バリラ・ジャパン豊田安男社長が、
自らクッキングスクールを開催中だった。
旧知の豊田さんの講義を、私もちょっとだけ聞いて、
ちょっとだけ試食させてもらった。
10人ほどの女性客が集まってのパスタ料理の講習会だが、
みんな満足そうだった。
豊田さんは毎月1回、このセミナーの講師となって、
大人気。
贅沢な講師選定だが、
それはこの店の戦略にぴたり当てはまっている。
世の中、「デフレ、デフレ」の大合唱。
しかし、日本人全員が貧しくなったわけではない。
お金のいる世代、必要な世帯に、回らなくなってはいるが、
逆に、金を使おうにも使い道がない世代、世帯がある。
そこに、いかにターゲットを絞って、
いかにアピールするか。
ただし豊かな世代も、
超のつく合理主義者ばかり。
理屈に合った楽しみ方、合理的な価格。
それが求められる時代に入ったということ。
まさに「知識商人」出番の時だ。
阪急オアシス御影店を訪れて、
そんなことを感じた。
阪食社長・千野和利さんは、
前夜、早朝と、携帯電話で自らアポイントをとってくださった。
心から感謝したい。
<結城義晴>
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