結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月25日(水曜日)

谷川俊太郎の「詩情」を商売に持ち込め!

最初に、お知らせ。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第1回]  
この商人舎ホームページは、
商業・サービス業のための総合サイトを目指しています。
従って、[結城義晴の毎日更新宣言]は、
一応の看板ではありますが、
さまざまなブログの集積を図っています。

いわば、ブログのショッピングセンターのようなもの。

そこに、先週末から、新しいブログが登場しました。
このページをずっとスクロールして、
一番最後にボタンが並んでいます。
そこから選んでください。

新しいブログのタイトルは、
「中山政男が叱る!間違いだらけのPOP!!」 

日本商業のPOPに関する指導では最高権威の中山政男先生。
その渾身の「POP講座」
中山先生の持論は、
「POPは物言わぬセールスマン」  
中山先生は語ります。
「近頃、POPを見ていて胸やけのような症状が続く」  
「ふと思いだしたのは、以前、月刊『食品商業』(商業界刊)で、
結城社長が書いた「POPが危ない!チラシがやばい!」と
題した企画ページの内容だった」

中山先生のブログ。
役に立つし、考えさせられる。
是非のご愛読を。

もうひとつ、お勧めブログ。
82歳の飯能の仙人・杉山昭次郎先生のブログ。
杉山昭次郎の「流通仙人日記」
(正式には「ときどきエッセイ」というが私は勝手にこう言っている)

SMの競争力強化の視点第30回「トライ&エラー」  

「目標も手段も特定化することのできない条件のもとで、
手探りで問題解決を図ろうとするアプローチの方法を、
トライ・アンド・エラー(試行錯誤)という」  

「スーパーマーケットはもともと、
トライ・アンド・エラーを続ける社会機関なのである」

さて、日本チェーンストア協会の10月の発表。
朝日新聞も日経新聞も、
「スーパー売上高」と見出しで表現するから、
日本中の「スーパー」と勘違いされてしまうが、
これは「主に総合スーパーの売上高」と考えた方がいい。

その「総合スーパー」を中心とした10月の動向は、
既存店前年同月比マイナス5.2%。
2009年の売上高推測は、13年連続減少。
これは、極度の衣料品不振の「総合スーパー」のこと。

商業統計で分類される「食料品スーパー」ではないし、
もちろん「衣料スーパー」「住関連スーパー」ではない。

2010年初めから食品スーパーマーケットの統計が、
集計され発表されることになっている。

総合スーパーの売上げが減じている一方、
株価は、日経平均5日連続の「続落」で9401円。
7月17日以来4か月ぶりの安値を付けた。

米国市場ではダウ平均が130ドル超の値上がりで、
年初来、最高値をつけた。
「日本の一人負け」の様相。

さらにアメリカの7月・8月・9月の第3四半期GDPは、
2.8%のプラスだった。

「厳しさ」を覚悟しておかねばならない。

今年6月の商人舎標語を覚えていらっしゃるだろうか。
「最悪を覚悟して、最善を尽くす」  

さて、今日の日経MJの面白いコラム。
読まれた方も多いと思う。
オラクルひと・しくみ研究所の小阪裕司さんの「招客招福の法則」
小阪さんが、食品スーパーマーケットの店主から聞いた話。
その店では、賞味期限が近づいた商品を1カ所に集めて、
見切りコーナーを設けて、見切り販売をしていた。
そのコーナーのPOP広告に書いた文句。
「あと少しの命です。お助け下さい」  

このPOPをつけた後、顧客の行動に変化が表れた。
「笑顔でちゅうちょなく買ってくれるようになった」

見切り品を1カ所に集めてコーナーをつくることには、
賛成しかねるが、このPOPの文句は、
「顧客の気恥ずかしさ無くす言葉」と、
このコラムのタイトルになって、
評価され紹介されている。

一方、今日の朝日新聞のオピニオンのページには、
谷川俊太郎さんが出ている。
私の尊敬する詩人。
「詩はどこへ行ったのか」  

「詩は、ミニマルな、微小なエネルギーで、
個人に影響を与えていくものです」
「権力や財力のようにマスを相手にするものじゃない」

商売にも、「詩」の要素がある。
特に現場には。

見切りのPOPが「詩」であるとは言わないが、
「詩」のようなものであると思う。

一粒の砂に 世界を見
一輪の花に 天国を見る  

谷川さんは、ウィリアム・ブレイクを出発点にしている。

「人間を宇宙的存在と社会的存在が、
重なっていると考えるとわかりやすい」

「生まれるとき、人は自然の一部。
宇宙的存在として生まれてきます。
成長するにつれ、言葉を獲得し、教育を受け、
社会的存在として生きていかざるをえない」  

「散文は、その社会内存在の中で機能するのに対して、
詩は、宇宙的存在としてのあり方に触れようとする。
言葉に被われる以前の存在そのものをとらえようとする」

「秩序を守ろうと働く散文と違い、
詩はことばを使っているのに、
ことばを超えた混沌にかかわる」

「あと少しの命です」が「詩」かどうかは、
意見の分かれるところだが、
現場にも谷川さんの語る「ポエジー」が必要なことは確かだ。

ポエジーとは、「詩情」のこと。

それは、さまざまなところにある。
絵画にも音楽にも舞踊にも。
そして「コミックスの中だったり、テレビドラマ、コスプレだったり」

だからスーパーマーケットのPOPの中にも、
詩情があってよい。
いや、ポエジーこそ、
そこに求められているのだ。

店には散文と詩とが同居していなければならない。

詩情、ポエジーのあるPOP。
詩情、ポエジーのある売り場。
詩情とポエジーのある店。

そんなところでは、
中山先生の「胸やけのような症状」は、
起こらないに違いない。

<結城義晴>  

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