今日から2009年最後の月。
12月、師走。
私も走り続けます。
大晦日の12月31日まで。
今月の商人舎標語。
「厳しさに学べ」
この12月商戦は、厳しい。
アメリカのウォルマート副社長ジョン・フレミングの言葉。
「今12月商戦は厳しくて、本格化が遅い」
それは日本も変わらない。
厳しい消費。
厳しい経済。
厳しい商売。
厳しい経営。
誰でも分かっている。
しかし、だからこそ、
その「厳しさ」に「学びたい」
その意味で、2009年12月には、
絶好の学びの機会が溢れている。
なぜ、厳しいのか。
世界の経済が回らないから。
なぜ、厳しいのか。
顧客の生活が苦しいから。
なぜ、厳しいのか。
自己変革ができないから。
「不況は商人を鍛える」
昭和40年の「ミクロもマクロも不況」といわれた時、
商業界創始者の故倉本長治先生は言った。
その後、昭和47年、
新興勢力のダイエーが、
百貨店の王者・三越を追い抜いて、
小売業ナンバー1となった。
不況に学んだ者が、
まさに「自己革新」を遂げ、
成長を果たす。
大きな成長でもいいし、
小さな成長でもいい。
必死になって、厳しさに学んで、
そして、年が明ける。
私はそのすがすがしさを、一緒に味わいたい。
すべての知識商人の12月の課題にしてもらいたい。
さて今年の12月商戦の特徴。
第1週、第2週は、少ないとはいえボーナスが支給されるとき。
5日6日の土日、12日13日の土日。
この辺りまで、これも少なくなったとはいえ、
お歳暮商戦・ギフト商戦最盛期。
中だるみして23日の水曜日が天皇誕生日。
今年は、土日曜につながらない。
しかし23日の天皇誕生日、
次の24日木曜日はクリスマスイブ、
次の25日金曜日はクリスマス。
妙な組み合わせだが、
この3日間は、
バースデーがらみ。
そして25日のクリスマスの夜から長期の「おやすみ」。
私は、23日からもう、
長期休暇ムード一色になると思う。
それをどうとらえるか。
『食品商業』11月号は創刊以来、年末商戦を大特集する。
今回は、「巣ごもりニーズ獲得のシナリオ」と題して展開。
山本恭広編集長自ら、
「“より安く”⇒値頃、
“より少なく”⇒適量 に加え、
“よりおいしく”」と訴えた。
この「巣ごもり」とは。
12月26日土曜日から1月3日日曜日までの9日間、
官公庁から民間企業まで冬の長期休暇に入る。
多くの消費者が、家庭に巣ごもりする。
それを捉えようとのマーケティング提案。
それもある。
おおいに。
だから「巣ごもり」対策は、
周到に打たれねばならない。
しかし、消費はさまざま。
高速道路を利用して、短いドライブに出る人もいるだろう。
依然として、お得な海外旅行に出掛ける人もいるだろう。
家庭で映画やテレビ、スポーツ観戦を楽しむ人もいるだろう。
各々のイベントに参加する人もいるだろう。
ヤオコー会長の川野幸夫さんのいうライフスタイルの変化。
かつて高度成長のころは、
「十人一色」の生活だった。
その後、バブルを経験して、
「十人十色」の志向となった。
さらに21世紀に入って、
「一人十色」のライフスタイルとなった。
この「一人十色」が、
「自由に使える時間」が増えた今回、
不況とはいえ、大展開される。
いや、不況だから、知恵を絞って、
他人と違う行動をしたい。
差異性を楽しみたい。
違いのある生活に、
カネはかからない。
時間はかかるけれど。
これが年末年始の日本人の生活の仕方だと思う。
私自身が、そうしたいと思っている。
さてイトーヨーカ堂は、今日から3日間、
「円高還元セール」を展開する。
豚肉、果実をはじめ輸入食料品20品目を、
20%から50%、通常価格から値引き販売する。
いつもながら素早い対策。
円高になったからとて、
それがすぐに仕入れ原価に反映されることはないけれど、
顧客は納得して買ってくれる。
その顧客への説得力、顧客の納得性を、
イトーヨーカ堂はよく知っている。
一方、日本マクドナルドの原田泳幸さん。
2009年も6年連続全店売上高増収企業の社長兼会長。
日経新聞のコラムで発言。
「デフレだからといって、
企業側が焦っている印象だ」
「商品価値が変わっていないのに値下げをするのは、
逆に消費者の不信感をあおる」
好調企業トップの時代の見方。
「メニューや利便性など有形無形の価値を高め、
消費者の支持を集めた」
有形財を商品という。
無形財をサービスという。
その両方の価値を高めたことが、
マクドナルドの不況対策だった。
これは率直に学びたい。
昨日の、アイダスグループ代表の鈴木國朗先生の言葉。
鈴木さんは、特に商品と販促戦略において、
スーパーマーケット経営指導の第一人者。
「経営者に『これだ』という戦略がない。
みな、粗利を上げろとか、ロスを減らせとか、
同じような基本ばかり言っている。
自分の会社はこれだという戦略が必要だ」
マクドナルドの原田さんの発言は、
戦略をもった経営者の、それだ。
昨日も書いた。
激動の12月。
現場にデンと居続けよう。
浮かれることなく、
現場に根を下ろした仕事をしよう。
「厳しさに学べ」
この姿勢が、私たちに、
充実した31日間をもたらしてくれるに違いない。
最後に「厳しさ」に立ち向かう時の心構え。
「元気を出そう」
[結城義晴著『メッセージ』(商業界刊)より]
元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気をふりまこうよ。
それがあなたの役目です。
冷夏・残暑で売れなかった。
それはお客さんの元気がなかったからか。
暖冬でまたまた売れなかった。
お客さんたちが買うことに疲れたからか。
いいえ、そうではありません。
お客さんには欲しいものが見出せなかった。
買いたい気分が生まれなかった。
商品やサービスにがっかりした。
あなたの元気は商品に乗り移る。
あなたの元気は店を活気づかせる。
あなたの元気はお客さんを励ます。
仲間を、取引先を勇気づける。
元気とは心の躍動です。
元気とは強いコミュニケーションです。
天気は人間の力ではどうにもならない。
景気も組織の力で動かせない。
しかし元気だけはあなたの力で生み出せる。
そう、元気は自分で何とかなる。
だから、元気を出そうよ。
それが今、あなたの仕事です。
元気をふりまこうよ。
それがあなたの役目です。
<結城義晴>