日本経団連会長の御手洗冨士夫さんの発言。
タイ、シンガポール、ベトナムを訪問中、
随行記者団の取材に対して日本の国内景気を展望。
日経新聞に掲載されているが、
ここに少しだけ夢が感じられる。
「日本の国内景気も来春以降、緩やかに回復する」
「アジアをまわると回復の足取りが力強い」
「日本も密接な関係があるため、
V字回復ではないが来春から段々とあがる」
御手洗さんはご存知、キャノン会長。
だから輸出に展望を見出す。
日本の景気も、まず輸出が伸びて、
国内経済が活性化し、
それがやがて雇用や賃金に反映され、
内需につながる。
「来春以降、緩やかな回復」
そんな希望を持って、仕事に臨みたい。
もちろん景気が少し回復したからといって、
すべての店にその恩恵がもたらされるわけではない。
「厳しさに学べ」を貫いてきた企業や店に、
好況はより多くのご利益を提供する。
さて、イオンが米国の子会社タルボットを売却する。
岡田元也社長は、かつて、
タルボット社長からトップマネジメントのキャリアを始めたから、
忸怩たるものがあるだろうが、
最後の決断をした。
この意思決定は、正しい。
ピーター・ドラッカーが、初対面の時に
ゼネラルエレクトリック社長のジャック・ウェルチに言った言葉。
「あなたにとってドキドキワクワクする仕事はありますか。
あなたにとってドキドキワクワクする仕事はどれですか。
ドキドキワクワクする仕事だけしなさい。
それ以外は他人に任せなさい」
これがジャック・ウェルチの「選択と集中」戦略になった。
一方、西友が「円高還元セール」を始めた。
合計約150品目の輸入商品を最大50%の値下げ。
この商人舎ホームページのトップに流れている流通ニュースの最新記事。
今日12月9日から1月3日まで。
ご存知、世界最大の小売業ウォルマート傘下で、
収益性の抜本改革に取り組む西友。
しかしウォルマート西友の「円高還元セール」には、
ウォルマートのグローバル調達網活用によって、
パワーとリアリティがある。
昨日から、コーネル大学RMPジャパンの12月講義。
冬晴れの東京・市ヶ谷、法政大学ボアソナードタワー。
その25階が、私たちの教室。
12月の最初の講義は結城義晴。
「チェーンストア経営概論」
ゴドフリー・レブハーの『チェーンストア』(商業界刊)と、
渥美俊一先生の『商業経営の精神と技術』(同)、
さらに『21世紀のチェーンストア』(実務教育出版)などから、
チェーンストアの本質と社会的任務などをレクチャー。
1940年、JCペニー社長のアール・C・サムズが、
「買物街の解放」という報告書を書いた。
ここにチェーンストアの社会的機能19項目が上げられている。
(1)チェーンストアは、生活水準を向上させる。
(2)チェーンストアは、小さな町々の事業並びに購買力を保全する。
(3)チェーンストアは、地方的企業の所産である。
(4)チェーンストアの株式の所有は、広く分散されている。
(5)チェーンストアの本社事務所は、国内至る所に配置されている。
(6)チェーンストアには、兼任経営が存在しない。
(7)チェーンストアの賃金給与は、割高である。
(8)チェーンストアは、社員が定着する。
(9)チェーンストアは、町に資本を持ち込むものである。
(10)チェーンストアの支払う賃貸料は割高である。
(11)チェーンストアは、市場を拡大し、また、農民所得を増大させる。
(12)チェーンストアは、市や町の繁栄に寄与する。
(13)チェーンストアは、すべての小売業に対し、高い標準を設ける。
(14)チェーンストアは、災害救助の要請に応じる。
(15)チェーンストアは、一層多額の税を納めている。
(16)チェーンストアは、小売業の廃業率の高いことに関しては、大きな要因とはならない。
(17)チェーンストアは、少年たちによい機会を与える。
(18)チェーンストアは、競争相手のためにも機会を大きくする。
(19)チェーンストアは、消費者に対する機会均等をもたらす。
ちょっと古いが、この中に、
チェーンストアのあり方が網羅されている。
私の考え方は、チェーンストア経営においても、
「原理原則を補助線として使う」
そう、ドラッカー先生のご指摘通り。
熱心に聴いてくださって、
ここらから感謝。
第二講義は、荒井伸也首席講師。
「スーパーマーケット原論その2」
荒井先生は、
サミット㈱時代の改革の経験をもとに、
顧客行動から見た業態論、
そして秀逸のスーパーマーケット経営論を展開。
この講義は、コーネル・ジャパンの目玉商品。
荒井先生の講義は、スーパーマーケット経営を、
他産業でも通用する理論の積み重ねで解き明かす。
これがその秀逸さの理由。
だから誰にでも理解できる。
第3講義、第4講義は矢作敏行法政大学教授。
コーネル大学RMPジャパン主任講師。
テーマは「小売イノベーション論1と2」
矢作先生は、小売業における学者として日本第一。
そしてご自分のテーマ、「小売業のイノベーション」
エッセンスを180分通しで語っていただく。
コーネル流に学生への質疑応答を加えて、
参加型の講義を展開してくださった。
矢作先生の持論が展開された。
「持続的な競争優位性」をつくり出すために、
「模倣できない中核的な組織能力の保有」が不可欠となる。
後半はコンビニエンスストアとスーパーマーケットの比較事例研究。
セブン-イレブンとヨークベニマルの分析。
深くて狭いイノベーションと広くて浅いイノベーションと、
矢作先生は整理する。
前者の典型がセブン-イレブンやユニクロ、
そしてヨークベニマルやヤオコー。
後者が百貨店や総合スーパー。
当然ながら深くて狭いイノベーションこそ、
模倣できないコアコンピタンスをつくりだす。
最後に矢作先生は、
クリステンセンの「イノベーション・ジレンマ」を紹介。
「イノベーションを起こした優秀な企業ほど、
自らの顧客に深く適応し、高度な企業モデルを構築する結果、
自己の顧客欲求以外の新しい顧客欲求に対応できなくなる」
(矢作敏行テキストより)
以って自戒とすべし。
今日までの講義が理論編。
明日から具体的経営技術論。
お疲れ様。
講義終了の午後7時には、
外は暗くなっていた。
その後全員で銀座へ。
忘年会会場は「リストランテ・ヒロ」
最初に副学長の乾杯のスピーチ。
とびきり旨いイタリアン・フルコースと、
シャンパン、ワインを堪能。
最後は、荒井首席講師の締め。
お疲れ様でした。
解散はもう11時に近かった。
コーネル・ジャパン第二期生、
どんどん団結力がでてきた。
忘年会の交流だけでも、
その真摯さが伝わってくる。
楽しみなコーネル・ジャパン第二期ではある。
<結城義晴>