朝日新聞と日経新聞。
その経済欄のコラム。
「経済気象台」と「大機小機」。
どちらも私の好きな、よい観点の記事が多い。
その本日版。
経済気象台のコラムニスト深呼吸氏は言う。
「景気回復なんて訪れない、
今後も不況が続く」という視点。
だから経済対策だけでなく、
「不況を前提とした現実的で抜本的な取り組み」が必要。
例えば、ワークシェアリングの一般化など。
一方、大機小機のコラムニスト三角氏。
「このまま緩慢な衰退を続けるか、
再成長へカジを切るか、勝負どころだ」
そのために「新成長戦略の行動計画がポイント」と力説。
これは民主党が7月の参議院選前に策定するもの。
「参院選の最大の焦点は成長戦略」とコラムニストは、
民主党にプレッシャーをかける。
果たして、
どちらが正しいのか、
どちらが必要なのか。
昨日、カンブリア宮殿というテレビ番組に、
小沢一郎民主党幹事長が出ていた。
「田中角栄、竹下登、金丸信の三人の先輩を、
尊敬はしているが、パラダイムが変わった」
そんなことを、最後に言った。
司会の村上龍は、まとめた。
「口下手、演説下手、シャイな政治家。
しかし論理的で、筋を通し、頭のよい『最後の政治家』」
私もこの評価に賛成だし、
小沢流のモノの見方にも賛同する。
先の経済気象台と大機小機の立脚点と理論の対立は認めよう。
しかし二者択一で、コトが済む時代は終焉した。
トレードオフも必要な局面がある。
しかしオクシモロンの問題解決こそ、
ここぞという時には要求される。
絡み合った糸を、
丁寧に、丹念に、機敏に、
常に優先順位を入れかえながら、
小さなイノベーションの連続展開を図りつつ、
解きほぐす。
それが、2010年の現在である。
この時に必要なのは全体最適である。
そのための「無私」である。
小沢一郎は最後の最後に言った。
「政治家は、みんなのために仕組みを作る仕事」
私は小沢一郎のファンではないし、
特別の政党の支持者でもない。
念のために。
さて、昨日のこのブログでも登場していただいた松崎靖さん。
群馬県大間々の足利屋洋品店社長。
その松崎さんは、毎月一回、地域新聞を発行している。
名称は「虹の架橋」、発行部数1万部超。
折り込みチラシのように新聞にはさんで届けられる。
元旦の上毛新聞、読売新聞にも虹の架橋は挟まっていた。
元旦の松崎さんのメールにある。
「どちらの新聞もチラシの1番前面に虹の架橋がありました。
お願いしているわけではないのですが朝日、日経も含めて、
ここ数年、虹の架橋がいつも1番前です」
ありがたいことに、多くのチラシが挟まってくる元旦の新聞の、
一番上に、足利屋の「虹の架橋」が挟まっていた。
「折込業者経由ではなく、
私が現金を持って新聞店に毎月届けているお陰だと思っています。
新聞店のご夫婦やパートの人たちも大切なお客様であり、友人です。
小さなことでも続けていると感動をいただくことばかりです」
松崎さんのコメントは、感謝と感動に終始する。
その2010年1月版に「虹の架橋」の中の、
「小耳にはさんだいい話」というコラム。
松崎さん自身で執筆している。
鍵山秀三郎先生の著書「人生の作法」からの引用。
「賞味期限の短い商品から買う」という話。
そのまま再度、引用させていただく。
「例えば食料品を買う場合、大抵の人が賞味期限の長いほうを選びます。
今晩口にする食べ物であるにもかかわらず、です。
その結果、賞味期限の短い商品は売れ残り、廃棄されます」
「果たして自宅の冷蔵庫を開けた時、
賞味期限が長いほうから手にする人はいるでしょうか。
だれもが例外なく賞味期限の短いほうを選んで食べるはずです」
「ところが一歩『自分』を離れると、
不必要なまでに賞味期限の長いほうを選ぶのは、
私たち人間の身勝手な行動だと思います」
「せめて自宅の冷蔵庫から取り出すときのように、
お店でもできるだけ賞味期限の短いほうを選ぶ。
そういう買い方をする人が一人でも多くなれば、
どんなに食料の無駄がなくなるでしょう」
私も、この鍵山先生の言葉に感動した。
「自分の行動に、自分をはさまない」
混迷の時代に必須なのは、
「あちらを立ててこちらも立てる」オクシモロンの問題対応と、
そのために両者から信頼を得る「無私と利他」である。
<結城義晴>