小沢一郎も、危なくなってきた。
民主党の小沢一郎幹事長。
公設第1秘書の大久保隆規容疑者が逮捕されたうえ、
さらに元秘書の石川知裕衆院議員まで逮捕となった。
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反容疑。
しかし小沢幹事長、
「与えられた職責を全力で果たしていく」と発し、
幹事長職続投の意向を示した。
辞めようが、続けようが、
民主党にとって「小沢抜き」は考えられない。
ジョーカーを抜いて「婆抜き」をやるようなものだ。
だとすれば、続投で権力を握っていたほうが、
検察との闘いもやりやすい。
そんな論法だろう。
一方、日本航空は、京セラの稲盛和夫さんが、
CEOに就任して再建に臨むが、
来週火曜日の19日に会社更生法の適用を申請する。
株価はとうとう7円になった。
この日航の再生のお手本は、
ゼネラル・モーターズ。
日経新聞の記事がわかりやすい。
アメリカ合衆国政府は、
ゼネラル・モーターズのためにシナリオを書いた。
「秩序ある破綻」と「再出発」である。
ここでいう「秩序ある破綻」は、
まさに「オクシモロン」。
オクシモロンとは、“oxymoron”と綴る。
ギリシャ語でoxyは鋭い、賢いという意味。
moronは鈍い、愚かだという意味。
両方合わせた造語がオクシモロン。
「対立する語句を並べて新しい深い意味を主張する語法」のこと。
有名なシュンペーターの「創造的破壊」がその代表例。
「秩序ある破綻」も典型的なオクシモロン。
米国政府によるGMの「秩序ある破綻」は、
連邦破産法11条適用による法的整理によって抜本再建を図る。
その一方で、政府が肩代わりして、
周辺関連企業群への破産の影響を極力抑え、最小限にする。
日航も「秩序ある破綻」を目指す。
発想は、まったく同じ。
日経新聞は、両者の違いを指摘しつつ、これを正す。
「日航に与えられた法的整理への準備期間はGMの6分の1」
「あまりにも短く、余波は読みにくい」と。
日航再建に当たって、
会社更生法の活用方針が固められたのが、
この8日で、申請は19日に行われる。
申請までに、11日間。
一方、アメリカのGMでは、
昨2009年6月にチャプター11適用を申請。
オバマ大統領が「秩序ある破綻」のための破産法適用を示唆したのは、
昨年3月末。
その直後に政権幹部が、
地元自治体や影響を受けそうな機関に説明をして回っている。
破産させるけれども、優良関連企業を残して、
こんな「新生GM」をつくるという構想があった。
それから60日後の6月に「秩序ある破綻」を始めた。
すなわち、オクシモロンには、
時間が必要だということ。
日本の日航には、これに比べて、
驚くほど時間がない。
11日間。
だから「準備が万全とは言い難い」と指摘される。
「秩序ある破綻」
きっと流行り言葉になるに違いない。
しかしそれには「時間」と「綿密な計画」がなければならない。
そのうえで、「説得と納得」が必要。
「説得と納得」の達人・稲盛さんとても、
「時間」と「計画」なしには、
「説得」も「納得」も引き出せまい。
小沢一郎にもそれは、当てはまる。
また、騒々しい、週末がやってきそうだ。
しかし皆さんは、
「秩序ある破綻」のことでも考えながら、
Good Weekendを。
<結城義晴>