今週は、昨年度の統計が続々と発表される。
2009年という年がどんな傾向を持っていたのかがわかる。
まず、日本フランチャイズチェーン協会発表。
コンビニエンスストア統計。
面白いもので、これだけコンビニが進化した日本に、
「日本コンビニエンスストア協会」というものがない。
社団法人日本フランチャイズチェーン協会内には、三つの部会がある。
CVS部会、外食部会、小売・サービス部会。
そのCVS部会の統計が、コンビニエンスストア統計。
これをあらゆるマスコミ、ジャーナリスト、学者が使っている。
ちなみに外食に関しては、
社団法人日本フードサービス協会があって、
外食産業統計が調査・発表されている。
そのコンビニ統計。
年間販売額は、7兆9043億円。
前年対比で、0.6%のプラス。
ただし、7月以降の6カ月間、
前年同月比の数値は落ち続けた。
前半の6カ月がプラスだったのは、
たばこ自動販売機用成人識別カードの「タスポ」が導入され、
タスポを必要としないコンビニ店頭でのたばこ販売が、
爆発的に増加していたから。
その効果が、前年対比で表れなくなった6月から、
急に、売上高が減り始めた。
平均客単価も、12カ月通じて前年同月比がマイナス。
つまり、コンビニのダウントレンドが明確になったのが、
昨2009年ということができる。
昨年12月のコンビニの売上げは、
前年対比でマイナス5.5%。
日本におけるコンビニの進化・成長を鑑みると、
今や、日本の消費トレンドは、
この業態によって表わされるといってよい。
それが昨年であり、今年である。
昨日の日経新聞「やさしい経済学」。
関西大学教授の竹内洋先生の解説。
「日本では『平民主義』や『民衆の時代』などで、
平民や民衆の発見が先行したが、
大正時代末の関東大震災後、
仏教用語で『大勢の僧』を意味する『大衆』が
『マス』の訳語として新たに登場した」
それを当時のマルクス主義者たちが多用し、
さらに昭和初期には「インテリ」という言葉が生まれ、
「大衆の目指すべき存在」がインテリとなった。
すなわち「近代的な庶民」の意味。
竹内先生は、大衆を結論づける。
「衝動的な『群衆』の面を持ちながらも、
考え、討論し、参加する近代的な『公衆』」
これが大衆である。
公衆とは、「主体的市民」。
その大衆の動向は、今、コンビニ消費によって、
推し量ることができる。
それが、ダウントレンドにあることは確か。
私たちは、これをどう考え、どう受け止め、
どう行動するか。
さて、昨日は、午後から新横浜。
参議院議員の蓮舫さんの講演。
民主党政府の事業仕分けで大活躍の蓮舫議員。
新しい時代に、国民も国家も、
「依存から自立へ」と、
変わらねばならない。
そのことを訴えた。
「新しい公共は、自立の下支えをするもの」
それが蓮舫議員の考える民主党政治。
「事業仕分け」のプロセスで、
報道されないエピソードを満載しながら、
一気にまくしたてたが、
60分があっという間に終わった。
蓮舫議員のあとで、
ライフコーポレーションの清水信次さんも登場。
清水さんは、蓮舫さんの父君と一緒に仕事した親しい友人同志。
7月の参議院選に出馬することが決まっているが、
当選すれば、今度は蓮舫議員の後輩となる。
そんなやり取りを、二人は、交わした。
会場は、新横浜国際ホテル。
「2010新春全国セルコグループトップ会」
蓮舫議員の講演は、その第一部だった。
第二部は、懇親会。
協同組合セルコチェーン理事長の佐伯行彦さんの挨拶。
㈱さえき社長。
佐伯さんは、今「プラスの発想」が必要であることを強く主張した。
「セルコグループは教育に力を入れ、地域一番店を目指す」
来賓祝辞の最初は、先の清水信次さん。
ライフコーポレーション会長にして、
日本スーパーマーケット協会名誉会長にして、
日本セルフ・サービス協会名誉会長。
清水さんは、日本の流通業界全体の名誉会長みたいなもの。
「食品スーパーは地域で最後の仕事をしている。
不況になっても、人間はまず食べることが重要。
だから食品産業、食品スーパーは、
人間が生きていく上で第一番に必要な仕事。
勇気を持って、元気を出して、頑張ろうじゃありませんか」
このあたり、私の主張とまったく一緒。
「日本は42年間、アメリカに次ぐ第二の経済大国・消費大国だった。
その中で我々は最後の最後まで生き残る仕事に携わっている。
自信と誇りとを持って、頑張りたい」
清水さん、84歳。
勇気と元気を、清水さんからもらった。
清水さんの次は、
日本スーパーマーケット協会会長の川野幸夫さん。
もちろん、ヤオコー会長。
「スーパーマーケットは、食事の材料を提供する仕事。
日本人の食事の材料は日持ちしないものが中心。
だから買い物頻度が高い。
これは遠くへ買い物に行かないことを意味する。
近くでの買い物で食事のレベルが決まってしまう。
スーパーマーケットは、日本人にとって大切な仕事」
このあたり、川野さんの持論。
1月15日に発売されたCDオーディオセミナーでも強調された内容。
「食事という生活のシーンを担っているという自負を持ちたい」
「昨今は、安売り大会の観がある。
安さの追求とともに、知恵を出し、工夫を凝らし、
付加価値の高いビジネスをしなければならない。
そのためにサプライチェーン全体で、
運命共同体となって、役割分担しながら、
要求の高いお客様の要望に、
応えていかなければならない」
ここで川野さんが言う「お客様」こそ、
「大衆」であり、「公衆」であり、
自立した「主体的市民」だと思う。
自立した「主体的」な「市民」は、
生活の向上を熱望している。
そこに現代社会のビジネスがある。
ここからの祝辞は恒例の食品卸売業のトップの皆さん。
まず、菱食会長の後藤雅治さん。
「明治維新以来の文明史的転換期の、この閉塞感の中で、
世の中が変わるという覚悟のもとに、
仕事に取り組まねばならない」
格調高いスピーチだった。
国分専務の國分晃さん。
「スーパーマーケットは地域商業として、
地域コミュニティの最後の砦。
若手研究会でも一生懸命、勉強していきたい」
はつらつとした決意表明に好感が持てた。
日本アクセス会長の吉野芳夫さん。
「何やかや言っても、やるっきゃない。
商品価値を見極め、適正価格の流通をしていく。
今、必要なことは、製配販三層がそれぞれに、
知恵と工夫で、消費者のために仕掛けをつくっていくこと」
伊藤忠食品社長の濱口泰三さん。
「日本は今、デフレという病気にかかっている。
ある本に書いてあったことだが、治療をしたら、
それは病気より悪かった。
安売り大会は、治療にはなりません」
そして最後に、三井食品社長の水足眞一さん。
「今日は大寒で、オホーツクには、流氷が現れている。
元気を出して、行きましょう」
乾杯の音頭は、平富郎さん。
セルコチェーン理事相談役にして、エコス会長。
セルコは平さん抜きに考えられない。
「お客様の考えていることはすべて正しい。
蓮舫議員は、国家の事業仕分けをした。
我々は毎日、お客様から仕分けを受けている。
中小企業が多い日本は、企業数も多いし、店も多い。
だから、お客様から事業仕分けを受けている。
そのお客様はすべて正しいという考えがなければいけない」
みんないい話を、それも手短にしてくれた。
そして「乾杯」。
そしてみたび登場、清水信次。
平さんと佐伯さんに導かれて登壇し、
7月の参議院選候補に至った経緯を説明。
「日本の流通業の代表として、高齢者の代表として、
社会に貢献したい」
現在、722人の国会議員のうち、
80歳を超える人は一人もいない。
しかし日本は高齢社会になっている。
清水さんの心意気は、貴重だ。
その後、懇親。
まず菱食の後藤さん。
後藤さんは、このブログの熱心な読者。
心から感謝しております。
ヤオコーの川野さん。
先日の「知識商人登場」CDFオーディオセミナーでは、
ほんとうに内容のある対談をありがとうございました。
全日本食品社長の齋藤充弘さん。
全日食チェーンのトップ。
「今、安売りする必要はまったくないが、
高い店と思われてはならない」
いい話です。
そして伊藤園の江島祥仁副社長と本庄周介専務。
ブルーチップ㈱社長の冨山昌史さん、
同第一営業本部副本部長の前田直彦さん。
意外な人と遭遇。
セルコレポートの編集・出版をしている会社をタンクという。
そのタンク社長の石田京さん。
私は、ずっとお世話になっている。
その石田さんの父君が、なんと、まど・みちおさん。
私のもっとも憧れとする詩人。
本当に驚いた。
そして最後に、2020主幹の緒方知行さん。
中締めは、セルコチェーン副理事長の井原實さん。
㈱与野フードセンター会長。
全員の退出を理事の皆さんがお見送り。
その時に、理事長の佐伯さんと固い握手。
エコス会長の平富郎さん、社長の平邦雄さんと、
最後に写真。
意義のある講演会と懇親の会合だった。
平さん、佐伯さん、井原さん、
そしてセルコチェーン事務局の配慮が、
すみずみに行き届いていた。
「意思を持った大衆に応える仕事」
「自立した主体的市民のための政治と産業」
そのためにはまず、自分が自立し、
強い意思と明確な主体性を持たねばならない。
<結城義晴>
[追伸]その1。
商人舎アメリカ視察セミナー。
2010年の第1弾、「Hot」編。
日程は3月16日(火)~3月22日(月)の5泊7日。
フェニックスからサクラメント、最後にサンフランシスコへ。
ホットなエリアの好調企業とその最新店舗を徹底的に視察します!
(締め切り:1月28日)締め切り迫る!!!
[追伸]その2。
3月9日火曜日、東京・お台場の「タイム24」にて、
[商人舎2周年記念・二人のビッグセミナー]を開催します。
大久保恒夫㈱成城石井社長&結城義晴㈱商人舎社長
「2010知識商人の経営の流儀」
大久保社長と結城代表の熱いディスカッションを交えて、
2010年の「経営の流儀」と「仕事の流儀」を鮮明に描き出します。
皆さまの積極的なご参加をお待ちします。
《事務局》