昨2009年の外食産業の売上高は、
前年比1.5%減。
「外食よ、お前もか」の観あり。
いや「外食は、意外に痛手が少ない」の方か。
日本の外食産業は、
約50万店あるといわれている。
おおざっぱにいえば、1年に、
そのうちの5万軒がつぶれ、
5万軒が新設される。
すなわち1割減り、1割増える。
しかし09年の店舗数は0.1%減で、
全店ベースの店舗減少は1994年の調査開始以来初めてだった。
新陳代謝の激しいこの業界でも、出店意欲は若干薄れた。
そして、マイナス1.5%の売上げ高。
これは2003年以来の6年ぶりのダウン。
日本フードサービス協会によると、
「節約志向を反映して低価格化が進み、
客単価が1.7%減と4年ぶりに落ち込んだ」
さらに、「内食回帰の影響」もある。
フードサービス協会加盟企業に関しては、
全体の客数は0.2%増加したが、客単価が落ち込んだ。
これは、価格引き下げやキャンペーンの効果と反動。
自分でそうしたということもあるかもしれない。
業態別にはファミリーレストランがマイナス4.7%、
パブ・居酒屋がマイナス5.8%。
ファストフードはプラスの2.5%。
一方、カメラのさくらやは、
会社清算される。
さくらやは現在、ベスト電器の完全子会社。
そのベスト電器の15%の筆頭株主がビックカメラ。
さくらや15店の中で、立地の良い4店舗をビックカメラが継承し、
あとの11店を閉鎖、会社清算となる。
残されるのは新宿東口駅前店、聖蹟桜ケ丘店(東京都多摩市)、
相模大野店(神奈川県相模原市)と船橋店(千葉県船橋市)。
ヨドバシカメラ、ビックカメラの二強に絡んで、
家電チェーンとの垣根を越えた競争。
だから、コモディティの規模を追いかけようとしたカメラチェーンは、
容赦なく、市場競争の洗礼を浴びる。
それでも、栃木県宇都宮市を中心に、
「一点突破面展開」を図るサトカメこと佐藤カメラなど、
元気いっぱい。
全体の売上高よりも、1店1店が重要だ。
さくらやも、ビックカメラに引き継がれる店舗だけならば、
会社清算もない。
外食産業もカメラ販売専門店も、これは同じ。
日経新聞の「経済観測」コラム。
トミー・クルバーグさんがインタビューに答える。
欧州ビジネス協会会長にして、
イケア日本法人・前社長。
日本のイケアは、ニトリと並んで、
絶好調。
1970年代に、ダイエーでもジャスコでも、
提携して、日本イケアをつくっておけば、
今頃、ずいぶん変わっていたはず。
そのトミーさん、日本に蔓延する悲観論を一蹴する。
「デフレと呼ばれるマクロの現象をミクロの視点で観察すると、
必ずしも悲観しなくともよいのではないか」
たとえ話は、ファーストリテイリング。
「ユニクロで安い服を買えば、
少数の人が高級ブランドを買うより
消費は大きくなる」
「高品質=高価格から、高品質=低価格へと、
消費トレンドの変化が劇的に起きている」
消費論と消費者論。
「消費者とは買い物の現場で、
発想を膨らませるものだ」
「低価格で買い物を楽しむことで、
人々の間にモノを買う行為への抵抗感が薄れ、
消費をめぐる楽観論が広がる」
ここからが日本の消費者分析。
「主婦を対象に市場調査したところ、
日々の生活についての暗い発言が多くて驚いた」
「人生を楽しむ感覚を忘れ、
常に何かを心配したがっているようにも思えた」
私が気に入ったコメント。
「幸せな気分こそが消費の土台となる」
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
「日本経済を元気にするには、
まず日本人が笑顔を取り戻さなければ」
日本に対する彼のイメージ。
「個人が社会から切り離されて孤立している印象だ」
だからこんな政策を提案する。
「競争を恐れず、未来に投資すべき局面だ」
「外資を交えた企業競争が消費者に利益をもたらし、
内需を拡大する」
これが本音だろうが、
トミーさんの消費者論とビジネス観は、
今、私たちにも必要なもの。
とくに、これ。
「幸せな気分こそが消費の土台となる」
外食産業も小売業も、サービス業も、
「幸せな気分」を醸し出し、創り出す。
それがあなたの仕事です。
<結城義晴>
[追伸とお詫び]
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