「JR東日本、紀ノ國屋を買収」
昨日、このニュースが流通業界を駆け抜けた。
しかし、私は、紀ノ国屋が、
21世紀の次のステップに入ったと理解している。
東日本旅客鉄道(JR東日本)は、
別会社となっている紀ノ國屋グループ各社を、
現株主のもとで合併したうえで、
4月1日、合併新会社の発行済株式のすべてを、
主要株主から取得する。
紀ノ国屋グループは、現在、年商206億円。
創業は1919年で、1953年、
日本最初のスーパーマーケットをオープンさせた老舗。
何よりも、「紀ノ国屋」ブランドがある。
そして商品力がある。
一方、JR東日本は、
傘下に㈱JR東日本ステーションリテイリングを設立し、
2001年12月、「駅の価値を上げるプロジェクト」を発足させている。
鎌田由美子社長による「ecute」の発足。
「ecute」は新しい商業スペースを生み出そうとする試み。
2005年3月5日、大宮駅、
2005年10月1日、品川駅、
2007年10月5日、立川駅、
2008年3月30日、日暮里駅、
と次々にオープンさせている。
紀ノ國屋グループが有するブランド力と商品力を活用すれば、
駅ナカビジネスの今一段のテコ入れが可能となる。
従って、私は、この組み合わせは、
大いに期待が持てると思う。
JR東日本が流通小売業ではないことが、まず、よい。
アメリカ・ロサンゼルスのゲルソンは、
もう30年も前からアーデン・グループの資本のもとで、
ゲルソンのコンセプトを活かした展開を進めている。
私はこれを「ゲルソンの幸せ」と呼んでいる。
ロサンゼルスでは、
ゲルソンよりももっと大きなスーパーマーケット企業が、
皆、大手の傘下に入ってしまった。
ラルフはクローガー傘下、
ボンズはセーフウェイ傘下、
ラッキーはアルバートソンズに買収され、
さらに3等分されて後方もない。
それに引き換えゲルソンは、
早くから他人資本のもとに入ったが、
ゲルソンの店名は残り、店は増え、
30年も働いているアソシエーツは残った。
それが「ゲルソンの幸せ」。
一昨年の5月、当時の紀ノ国屋社長・増井徳太郎さんと、
ゲルソンを訪れた時、私は、増井さんにその話をした。
現在、紀ノ国屋相談役の増井さんは、40年ほど前に、
ゲルソンで実習を受けことがあるそうだ。
私は28年前に、
ゲルソンのCEOアラン・シャーンの単独インタビューをして、
「ゲルソンの幸せ」を実感した。
そしてそれを増井さんに話した。
その時には、紀ノ国屋が、
こうなるとは夢にも思っていなかったが。
しかし今回の資本関係の変更は、
「紀ノ国屋の幸せ」につながってほしいものだと思う。
もちろん、JR東日本には、
紀ノ国屋のブランド力と商品力を的確に理解し、
それを活かした発展を可能にする人物がいるし、
人材が揃っている。
そのことにも期待が持てる。
考えてみると、成城石井も、資本売却によって、
そして大久保恒夫という専門経営者によって、
現在、絶好調の企業として蘇った。
紀ノ国屋には、大いに可能性が広がったとみるべきだろう。
さて、今日はアメリカHot情報の予告をしておいたが、
再び、お詫びしなければならない。
明日に延期。申し訳ない。
昨日のつれづれ日記を報告しなければならないからだ。
朝から、東京・大門で、
カスタマーコミュニケーションズ㈱の定例取締役会。
私、この会社の非常勤取締役を務めている。
会議の後、相談役の玉生弘昌さんと、昼食。
玉生さんは㈱プラネット社長。
玉生さんは「インフレ・ターゲット論」を持論としている。
2月12日に、私、対談を予定しているので、
また、玉生デフレ克服論を紹介する機会があると思う。
その後、池袋の立教大学へ。
さらにホテル・メトロポリタンで、
イオン㈱SM最高責任者の坂野邦雄さんと面談。
新年のご挨拶と情報交換。
さらに夕方、東京駅の日本工業倶楽部会館で、
財団法人有機質資源再生センターの賀詞交歓会。
理事長の平富郎さんのご挨拶。
東京工業大総合研究院大学院教授・柏木孝夫先生の来賓あいさつ。
ドイツの環境対策について、最新の状況をご報告くださった。
乾杯のご発声は、
産業総合技術研究所主任研究員の小寺洋一さん。
日本の食料生産量は9000万トン。廃棄量は1900万トン。
そのうち可食廃棄量は900万トン。
なんと食べられる食品の1割が廃棄されるというご報告。
そして、乾杯。
平理事長、エコスの平邦雄社長と、富士登山の懇談。
平社長には「階段型成長論」の一節を。
続いて、永田町・日本町村会館へ。
一般社団法人パチンコ・チェーンストア協会新年賀詞交換・懇親会。
まず、代表幹事の谷口晶貴さん。
㈱ニラク会長。
乾杯の音頭は、民主党・石井一参議院議員。
私、いろいろなところで、石井さんに会う。
いつものように簡潔明瞭、自民党に牽制球を投げつつ、音頭取り。
そしてこちらでも、乾杯。
自民党からは、元幹事長の中川秀直衆議院議員。
そして、この会は全員がスピーチをする。
㈱ダイナムホールディングス社長の佐藤洋治さん。
協会経営分野アドバイザーでもある。
佐藤さんの提案は、日本経済活性化の特効薬。
与野党の国会議員の耳にどう響いたか。
そして私も、一言。
「脱グライダー人間」を提案する私だが、
脱グライダー業界にならねばならない。
それを訴えた。
最後の締めは、いつもこの人。
㈱大商会長の国澤良幸さん。
このたび、社是を改められたが、
その中に「尊徳より先に善悪を考えよう」を、
入れてくださったそうだ。
「結城先生から教えていただいた」と言ってくださったが、
心より感謝。
倉本長治先生にも感謝。
今日は、いろいろなことを考えさせられた。
「ゲルソンの幸せ」は「紀ノ国屋の幸せ」につながる。
そのためには、どんな資本の中でも、
脱グライダーでなければならない。
そしてその資本内には、
脱グライダーの志を評価する風土がなければならない。
<結城義晴>