結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年02月04日(木曜日)

「良く噛んで食べる」とコーネル・ジャパンのマーチャンダイジング編

精読、通読、乱読、斜め読み。
本の読み方にもさまざまある。

まず何を読むか。
これが大切であることは間違いない。

食事をするときに、
何を食べるか。
これと同じ。

食事にも、食べ方がある。

一口一口味わって食べる。
よく噛んで食べる。
あるいは、がつがつとかき込む。
いろいろなものをつまみ食いする。
間食する。

本の読み方は、食事と同じ。

しかし最近はどうも、
「精読」が少なすぎる気がする。

本自体、簡単に読めるもの、
短くてわかりやすいものが、
多くつくられ、流通し、
店頭に並ぶようになった。

私も、そんな本を書いたり、
読んだりしているから、
そんな風潮を批判すると、
天に唾することになるが、
それでも「精読」する本はたくさんあるし、
「精読」が必要だと思う。

そのうえで、
よく考える必要がある。

よく噛んで食べること。
一口一口味わって食べること。
それが必要だと思う。

 
 
さて、昨日から、
コーネル大学RMPジャパン。
第二期の5回目の講義。

あっという間に、
もう半分が終わろうとしている。
コーネル・ジャパンは、読書でいえば、
膨大なる体系の大全集を、
1年かけて「精読」するようなもの。

今回は、そのマーケティングとマーチャンダイジング編。

12時15分から第一講座。
テーマは、「脱コモディティ化・マーケティング戦略」
講師は、早稲田大学商学学術院教授の恩蔵直人さん。

この10年、コモディティ化は進んでいる。
その研究成果を実証してくれた。
そのうえで、「脱コモディティ」の4つの戦略が提示された。
①独自価値戦略
②品質価値戦略
③カテゴリー価値戦略
④経験価値戦略

最後にリーン消費対応の考え方を恩蔵さんは語ったが、
これが小売業、流通業における購買プロセスの革新へとつながる。

私は、コモディティ市場の有益性を主張するものだ。
コモディティ・マーケット抜きには、
消費生活は営めない。
そのうえで、脱コモディティのマーケティング戦略も求められる。

第二講座は、「マーチャンダイジングの基本」。
講師は、大塚明先生。

日本スーパーマーケット協会専務理事。
元㈱ヤオコー常務。
スーパーマーケットの実務に関しては、
マーチャンダイジングから店舗運営、人事、
ロジスティックス、情報システムと、
ほとんどすべてを経験した。
ご本人によると、「店舗開発と社長職以外は、
全部やらせていただきました」となる。
しかし「フレッシュ・ヤオコー」という宅配事業では、
社長業も十二分にこなしたため、
スーパーマーケットの全実務を体験したといってもいい。
私はそう思っている。
その経験をもとに、
「マーチャンダイジングの基本」を語ってくれた。

第三講座は、「青果部門のマーチャンダイジング」
講師は、藤井俊雄先生。

ダイエーで、青果部門のバイヤーを務め、
この道40年の大ベテラン。
現場からの青果物マーチャンダイジング改革を語ってくれた。

第四講座のタイトルは、「変革から進化へ――水産は?」
講師は、日本水産㈱代表取締役社長の垣添直也さん。

日本はもちろん世界中を見渡しても、
垣添さんほど、水産物に対する高い見識を持つ人は見当たらない。

豊富な資料をもとに、
水産物の生産と流通・小売りに、
鋭い問題提起をしていただいた。

詳細は、コーネル大学ジャパンのホームページを、
参照していただきたい。
来週頭から、順次アップされる予定。

コーネルは大全集を精読するがごとき勉強であると言った。
まさにそれが、実感された一日だった。

最後に、『メッセージ』より。
「良く噛んで食べる」  

人間ドックに入って出てきたら、
金属疲労のごとく、
いっせいにチェックが入れられた。
全身疲労の四十九歳。
要は、体重を減らせ、痩せろ、節制せよ。

そこで、考えた。
「良く噛んで食べる」
これだけに徹しよう。
そうすればすべて上手くいく。

まず消化がよくなる。
胃腸の負担が軽くなる。
歯が丈夫になる。
顎も発達する。

食べ物の味が分かるようになる。
食べる時間は長くなるが、総体的に量が減る。
量が減れば、少しだけお金もかからなくなる。
その分、美味しいものを食べようと努力する。

うん、すべてよくなる。
健康になるはずだ。
しかし困った。
「良く噛んで食べる」とは、
いったいどうすることなのか。

そこで再び、考えた。
「心の中で数えながら噛む」
最低四〇回、あるいは四十八回。
この習慣をつける。

「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「に、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「さん、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「し、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」…………

このくらいで、たいていのものは、
心地よく口の中から消えていく。
きちんと噛むために、適当なかたまりを、
順序よく口の中に入れるようになる。
食物の堅さにも関心を払うようになる。
すべてよくなる。
ときどき、舌や唇を噛んでしまうこともあるが。

しかしみたび、考えた。
この私の「食べるマニュアル」は、
果たして、
食事時だけのものなのか。
実は、これが何にでも使える。
事実も、問題も、「良く噛んで食べる」
苦情も、報告も、「心の中で数えながら噛む」
目がさめている限り、何でも。

今年の標語。
Practice comes first!

これも、よく噛んで食べる実践でなければならない。

<結城義晴>

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