カナダ・バンクーバーで、
冬のオリンピックが始まった。
不況や天候異変の中で、
人間が、自分の英知と肉体の限界に挑戦する。
この17日間、世界も日本も、
のびやかな気分になる。
とてもいいことだ。
小売商業・サービス業は、
目いっぱい、オリンピック選手を応援し、
さらに応援する顧客を支援し、
それを仕事として、励みたいものだ。
何でもかんでもきっかけにして、
自分を元気づけ、お客を勇気づける。
それが私たちの仕事。
ある意味で軽いし、
節操もない。
しかし、誰かにそれが、
今、求められている。
だとすればそれを担うのは、
商業・サービス業だ。
一心太助のように、
「あいよっ」と、
元気に引き受けて、
人を喜ばせる仕事に打ち込みたい。
バンクーバーといえば、
カレン・マグヌセンという銀メダリストがいた。
フィギアスケーター。
確か私と同い年で、応援していた。
1972年の札幌オリンピックで、
金メダルはオーストリアのシューバに奪われ、
人気は銅メダルの米国ジャネット・リンに遅れをとったが、
それに屈することなく、
さわやかで懸命な演技を見せた。
人気も実は、ジャネット・リンと二分していた。
もう57歳のおばさんになってしまっているだろうが、
懐かしいものがある。
今日の日経新聞経済コラム「大機小機」。
日本の若者が、自動車離れを起こしていることが書かれている。
「厳しい経済情勢の下で、
若者はリスクを取らない堅実な志向をより強めている」
「クルマを買わない日本の若者は、
デフレの時代を生きていく知恵を身につけている」
「インフレ時代の生活から抜け出せない団塊世代よりも、
よほど賢いといえるかもしれない」
コラムニストの枯山水氏は、
その団塊の世代に違いないが、
「若者の知恵」を評価する姿勢には、
同感したい。
昨年亡くなったロバート・鈴木氏が、
ツアーのバスの中で紹介した「Today」紙のエピソード。
消費大国のアメリカ人も「もったいない」のマインドを持ち始めた。
カッコイイことを「in」といい、
カッコ悪いことを「out」というが、
inとoutに逆転現象が起こり始めた。
新車をもつことはout、
公共交通機関を利用することがin。
ペットボトルで飲むのがout、
水道水を飲むのがin。
ラスベガスでギャンブルするのはoutで、
家でブラックジャックを楽しむのがin。
環境も安全も、健康も命の大切さも、
21世紀的なinであって、
20世紀の消費はout。
私たちの難しさは、
その中から新しい必需の消費を導きだして、
購買を促し、経済を活性化させることにある。
安かろう悪かろうで、
無理やり既存の消費を先取りし、
目先の成績を上げることではない。
「質(たち)の良い売上げ」をつくることだ。
そんなときに、顧客のマインドを知ることは、
極めて大事になる。
それがマーケティングのスタートとなる。
さて昨日は、午後から、東京・芝浦へ。
㈱プラネット本社。
玉生弘昌社長と「知識商人登場」の対談。
CDオーディオセミナーの第19回目。
玉生さんとの会話は、私にとって、
至福の時間。
プラネットは、1985年にVAN運営会社として出発し、
現在は、メーカーと卸売業の間を結ぶ情報インフラの役割を果たす。
さらにメーカー・卸と小売業、小売業と顧客を結ぶ機能を獲得しつつある。
称して「総合インフォメーション・オーガナイザー」。
メーカーと・卸、および小売業間はEDI。
小売業と顧客はPOS、それもFSPが可能なID‐POS。
この両者を連携させて、
サプライチェーン全体で、
顧客との間に情報を還流させる仕組みつくることをECR。
私はそう理解している。
用語の意味は、プラネットホームページの「用語集」から。
まずEDI(イーディーアイ、Electronic Data Interchange)は、
企業間電子データ交換のこと。
受発注や決済などの商取引情報を、標準的書式(標準フォーマット)に統一し、
企業間でコンピュータネットワークを介して電子的に交換する仕組み。
POSは(ポス、Point Of Sales system)は、
店舗で商品を販売するごとに商品の販売情報を記録し、
集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステムのこと。
「販売時点管理」などとも訳される。
ECR(イーシーアール、Effective Consumer Response)は、
効率的な消費者対応のこと。
消費者ニーズへの対応を目的として、メーカー、卸業者、小売業者が連携し、
流通システム全体を効率化しようとする取り組み。
消費者を基点とした製品補充、販売促進、
品揃え、新製品導入の効率化が取り組みの柱である。
プラネットは、ECRを目指して、
日用雑貨・化粧品・ペット用品・OTCの分野で、
圧倒的な業界インフラとなるEDIを構築した会社で、
POSでのフリークエントショッパーズプログラムをも視野に入れる。
玉生さんは、そんなコンセプトやこれまでの経験を、
すらすらと、流れるように語る。
プラネットは、昨年7月末の決算で、
年商24億9000万円、経常利益4億5000万円。
経常利益率はなんと18%。
総資産が24億5300万円だから、
総資本経常利益率ROAが18%。
ジャスダックに上場する超優良企業。
会社は、大きくなくてもよい。
産業界や社会にとって、唯一で、
しかもなくてはならない役割を果たすのがよい。
そのモデルが、プラネットという会社なのだ。
今回のCDオーディオセミナーも、絶品。
是非のお試しをお勧めしたい。
今回、私は、完全に聞き手にまわった。
ときどき合いの手を入れて、
専門的なことに対して質問したり、
私なりの解釈で用語の解説などするだけ。
だからIT分野の話だったが、本当に分かりやすくなったと思う。
商人ねっとのスタッフたちも、
目からウロコで、うなづいてばかり。
とくにバイヤーの人たち、商品に興味のある人たちには、
プラネットの「バイヤーズネット」の活用を勧めたい。
IDとパスワードが必要だが。
対談の最後は、情報システムの「レガシー問題」。
それから「インフレ・ターゲット論」にまで至った。
コンピュータシステムが「残滓的遺産」となっている企業がある。
そんな会社にはCIOの存在が必要だというのが、
玉生さんの持論。
OFCとはチーフ・インフォメーション・オフィサーのこと。
情報システム担当経営者。
経営者が情報システムを勉強してCIOになるか、
情報担当を経営陣に抜擢して経営を勉強させてCIOにするか、
それともスカウトしてくるか。
この三つしかない。
しかしCIOはどの会社にも必要。
インフレ・ターゲット論は、
ポール・クルーグマンが展開する大胆で激辛のデフレスパイラル対策。
玉生さんはそれに独自の見解を加えて、
鳩山政権に提案している。
最後に、玉生さんの座右の銘。
「堅忍不抜」
ひょうひょうとした「堅忍不抜」を、私は堪能した。
対談が終わって、プラネットのオフィスから、
東京湾を望む。
3月初めにこの絶景のオフィスから移転する。
残念。
商人舎と商人ねっとの企画に、
プラネットが乗ってくれた。
しり取りみたいな対談だった。
多謝。
<結城義晴>
追伸。
今週も商人舎ホームページと毎日更新宣言ブログを訪れてくださって、
心から感謝。
本ホームページの五十嵐ゆう子のWeb小説「Thank you~命をありがとう」
ファン激増中。
ご愛読を。
よい週末をお過ごしください。