きょうはバレンタインデーです。
チョコレートをもらったり、
あげたりする日らしい。
ボクには、カンケイないけれど。
でも、ボクがねているときに、
ボクのすきなものが、
ころがされてきた。
毛糸だま。
ボク、はじめは、
気がつきませんでした。
だから、ねていた。
ボクが毛糸だまをすきなのは、
毛糸であそぶことができるからです。
いつも、毛糸が目のまえにくる。
ボクは、これがだいすき。
じっとみる。
右手を、だしてみる。
そして、ぺロリ。
毛糸は、あじはしないけれど、
とにかくすきなんです。
だから、ハナを、
ぺロリ。
ん~、マンゾク。
だからユウキヨシハルのおとうさん、
バレンタインデーの日に、
ボクに毛糸だまをくれた。
でも、ボクは、
ねています。
べつに、どうしても、
ねむいわけではないけれど、
ねています。
でも、ちょっと。
毛糸だまのミリョクには、
勝てそうもありません。
バレンタインデーのチョコレートって、
そんなものなのかもしれません。
<『ジジの気分』(未刊)より>