日本中からのため息が聞こえた。
浅田真央の小さな失敗と銀メダル。
キム・ヨナの鉄壁の演技と金メダル。
二人は19歳。
オリンピックだけでも、
23歳、27歳の時の二人の切磋琢磨の成熟を楽しめる。
もしかしたら31歳でも頑張れるかもしれない。
だとしたらまだ3回も、
この世紀のライバルの闘いを見ることができる。
私たちは幸せだ。
小売業やサービス業の競争は、
コンテスト型だ。
これは経営コンサルタントの宮崎文明さんが書いている。
キム・ヨナと浅田真央の競争のようなもの。
だから、顧客は両方を応援する。
コンテスト型の競争に対して、
レース型競争がある。
タイムや距離を競う。
スピードスケートやノルディック、アルペンのスキーは、
レース型だ。
かつての小売業の競争がそれ。
現在は、コンテスト型競争。
日本中の小売店やサービス業店舗が、
キム・ヨナや浅田真央を演じている。
彼女らのようにライバル同志の切磋琢磨の結果として、
レベルの高い競争を、私たちの顧客に提供したいものだ。
つくづくそれを思う。
高い水準のコンテスト型競争。
それが商業・サービス業の現代化を実現させる。
そのためにも、今月の標語。
「質(たち)の良い売上げ・質(しつ)の良い仕事」
もう2月も終わろうとしている。
皆さんの「質」はいかがだったろうか。
振り返りつつ、それにはきっぱりとけじめをつけて、
3月に臨みたい。
さて昨日は、午後から、東京・笹川記念会館・国際会議ホール。
第32回PCSA公開経営勉強会。
700人近くの聴衆が集まった。
第一部は、講演会。
講師は佐藤洋治さん。
㈱ダイナムホールディングス社長。
テーマは「信頼の森と業界改革」
まず経営者に必要な中長期経営戦略。
財務戦略からオープン・ドアの思想、新業態への挑戦。
この講演の中で8社の経営効率が比較された。
三越伊勢丹ホールディングス
セブン&アイ・ホールディングス
イオン
ヤマダ電機
ファーストリテイリング
しまむら
ニトリ
ダイナム・ホールディングス。
その最新決算のROA。
ROAとはリターン・オン・アセット。
総資本営業利益率。
8社の順位が皆さんには想像つくだろうか。
1位、ファーストリテイリング23.9%
2位、ダイナム・ホールディングス22.0%
3位、ニトリ16.3%
4位、しまむら14.6%
そして5位、セブン&アイ7.5%
6位、ヤマダ電機6.2%
7位、イオン3.4%
8位、三越伊勢丹1.4%
私が最も重視する数値の一つがROA。
貸借対照表と損益計算書の両方に関係してくる数値だからだ。
佐藤さんの講演は、「信頼の森」という新業態の話、
業界改革の提案など、
盛りだくさんで、中身も充実していた。
第二部は、パネルディスカッション。
その直前の最後の打ち合わせ。
そして登壇。
コーディネーターは、二人。
㈱ダイナム取締役兼法務部部長の森治彦さん(左)と、
元ジャスダック取締役でコンサルタントの牛島憲明さん(右)。
パネラーは、政治家が二人。
民主党参議院議員の柳沢光美さん。
イトーヨーカ堂出身で、UI全線同盟の活動家から参議院議員になった。
自民党参議院議員の秋元司さん。
38歳の若い政治家で、
私は小林興起さんの秘書時代からの知り合い。
そしてパチンコトラスティボードの有識者懇談会メンバーが三人。
元インドネシア大使で外交の専門家・川上隆朗さん。
広い視野からパチンコホールの健全な産業化と、
そのための単独立法の必要性を訴えた。
そして結城義晴。
弁護士の三堀清さん。
遊技産業全般の法律に詳しい。
新法の骨子について、大胆な提案をしてくれた。
聴衆は、熱心に聞き入ってくれた。
パネルディスカッションのテーマは、
「新政権下における遊技産業の改革と将来」
私、こういうシチュエーションが、
実は、大好きだ。
政治家が二人も入るパネルディスカッション。
燃える。
テンションが高まる。
短い時間にワンコンセプトの主張と象徴的な言葉を、
凝縮してスピーチする。
さらに各パネラーの意見を咀嚼し、集約して、
受け止めつつ、議論を展開する。
私の場合、コーディネーターの役回りが多いが、
パネラーの立場も大好き。
どうぞ、皆さん、お招きください。
「パネラー・ユーキ」
今回のパネルディスカッションは、
パチンコホールが上場優良企業にも負けない経営内容を成し遂げつつあること、
つまり産業化の準備が整っていること、
したがって、風適法から単独立法への軌道は敷かれつつあること、
こんなことが明らかになった。
そして二人の政治家から、そのことへのコメントが得られた。
柳沢参議院議員は、真正面からの立法化を訴え、
秋元議員は、議員立法の手法を提案した。
パネルディスカッションは盛り上がった。
私も、ほんとうに充実した気分だった。
パネルディスカッションも考えてみると、
コンテスト型である。
レース型ではない。
それぞれが自分の主張をして、
総体として何らからの収穫を得る。
何かを訴える。
それができた。
21世紀はコンテスト型競争社会に違いないことを実感した。
<結城義晴>