「来なかった大津波に学ぶ」
朝日新聞の社説。
「心配なのは人々が警報を過小評価してしまうこと」
いわゆる、オオカミ少年のたとえ話。
今回は「150万人近い人々に避難指示・勧告が出された」。
それに対して、「大津波警報が出た東北3県」でさえ、
「避難所などに移った人は数%」。
テレビでもうるさいくらい日本列島の図が映されたが、
「第1波の後に警戒心を解いて、
一度避難所に行った住民が自宅に帰ったり、
沖合に出た船が戻って来たりした」。
「いざという時は警報を待たず、
一刻も早く海岸や河口近くから逃げることが命を守る基本」。
朝日は「来なかった大津波から学べ」と諭す。
店を展開し、
顧客の安全に責任をもつ立場として、
肝に銘じたい。
日本経済新聞の記事。
「賃金改善要求見送り ヨーカ堂労組」
「労組の4507円の賃金改善要求に対して、
経営側が108円の引き上げを回答して妥結」
ちなみに上部団体のUIゼンセン同盟は、
今春闘では統一の賃金改善要求を見送る方針。
今日のニュースの最後は、百貨店の話。
毎月恒例の日経の調査。
2月の既存店売上高速報。
昨日、大丸と松坂屋が合併して大丸松坂屋百貨店が誕生。
その最後の月の大丸は、
2008年3月以来となる前年同月比2.3%プラス。
第一の効果は、増床。大阪心斎橋店の大型増床。
第二は、値ごろ感のある販促策。
しかし、伊勢丹はマイナス0.2%、
三越がマイナス8.6%。
高島屋はマイナス6.1%、
松坂屋がマイナス3.1%。
私は、物理的な「増床」のような政策を、
計画的に展開しなければ、
効果は出にくいと考える。
その意味で百貨店の場合、
今、経営者・トップの判断こそが、
売上げをつくっている。
現場に売上げの責任を押し付けてはいけない。
朝日の社説がもう一つ。
「百貨店の再生――心つかむ売り方で活路を」
記事は、こう始まる。
「慣れ親しんだ百貨店が消えるのは、寂しい」。
書き手は、ノスタルジックな気分。
有楽町マリオンの西武有楽町店、
丸井今井室蘭店、松坂屋岡崎店、四条河原町阪急など。
閉鎖の予定や既に閉鎖。
昨年は三越池袋店や、そごう心斎橋本店。
「百貨店の閉店ラッシュがいよいよ本格化」。
この記事は、ボン・マルシェの原点に学べという。
150年前にパリで創業した世界初の百貨店。
「豊富な品ぞろえ、商品値札、派手なショーウインドー、
季節セールなど新しい売り方に挑み、客の心をつかんだ」とある。
「高級ファッション中心の商法にこだわらず、
もっと新しい商品構成や売り方に挑戦しながら、
百貨店の強みを生かす道は必ずあるはず」と訴える。
「好立地の百貨店がモノを売る力はまだまだ大きい」。
私もこの点だけは賛成。
好立地でそのエリアで最大の売り場をもつ百貨店には、
いくらでも手はある。
そこで店を運営する人、
売場をつくる人、
つまり人が躍動しさえすれば、
物理的な一番店には、
確実な再生が待っている。
高級どころか、超高級ファッションを狙うもよし。
値ごろ感のある販促を考案するもよし、
なんでもありの政策が許される。
「何でもあり」ができることが、
百貨店の存在価値だと、私は思う。
「何でもあり」ができない百貨店は、
もう百貨店ではないと考えた方がいい。
当然ながら、すべての百貨店に、
それが許されるはずはない。
人口100万人に1店の百貨店。
今のところ、それが目安だ。
さて昨日は、一日、
横浜の商人舎オフィス。
午後、来客。
田中彰さんと伊藤真一さん。
田中さん(中央)は全日食チェーン商業協同組合連合会会長。
伊藤さんは、その専務理事兼事務局長。
田中さんは、商人舎発足の会の発起人のおひとり。
お世話になります。
全日食チェーンはミニスーパーのボランタリーチェーン。
田中さんはその総帥。
現在は、事業会社の全日本食品は、
齋藤充弘さんに社長の座を譲って、
チェーン加盟店の代表の役回り。
「ボランタリーチェーンとは何か」を、
説き続ける毎日。
その田中さんの商業観。
小売流通業は、人間の体のようなもので、
地域の中小商業は、
毛細血管のようなもの。
セブン&アイ・ホールディングスやイオンに代表される大企業は、
たとえると大動脈、大静脈。
大動脈だけでは、人間の体も成り立たない。
その地域商業が団結したボランタリーチェーンには、
「6原則」がある。
田中さんが先輩から受け継ぎ、
さらに自ら創り出した6つの原則。
第一は「出る」。
同志的共同体だから、
まず第一に会合に「出る」のが原則。
第二は、「買う」。
本部から商品を「買う」。
その意味でボランタリーチェーン本部は事業会社であり、
全品供給の問屋機能を持っている。
だから第三に、「払う」。
買ったら、「払う」。
それがボランタリーチェーンの原則。
全日食チェーンは、メーカーや問屋に本部が「代払い」する。
本部が差金決済をして、保証する。
その本部に加盟店は「払う」。
第四の原則は「話す」。
互いに徹底的に話合う。
第五は、「乗る」。
みんなで話し合い、決めたことには、
無条件に「乗る」。
それがボランタリーチェーンの原則。
「オール・オープン、
オール・イーブン、
オール・フォア・ワン」
“All open, all even, all for one”
すべては公開され、
すべてが公平で、
すべては一人のためにある。
だから、「乗る」。
そして田中さんが昨年付け加えたのが第六。
「増やす」
かつて田中さんが、ある人から言われたことがある。
「チェーンストアはマルチ商法だ」
驚いたが、そう見る人もいるし、
そういう側面も確かにある。
増やさなければ倒れる。
逆に、増やしすぎると倒れる。
増やすことを考えながら増やす。
バランスを考えながら増やす。
だから第六の原則は「増やす」。
何を増やすか。
加盟店ももちろんだが、
それよりも人材を増やす。
加盟店の資産を増やす。
チェーンとしての根幹、インフラがなくては、
資産が増えない。
全日食チェーンでは「和の経済」を唱える。
チェーンの活動で生み出した利益は、
その年次の中で還元する。
そんな六原則を、田中さんは熱心に語った。
この六つの原則は、組織の原則に通じる。
どんな組織でも、この6原則が重要になる。
さらに田中さんが先代の父上から、いつも言われたこと。
「商人は店を締めるな」
「商人は一喜一憂するな」
「銀行から借りるな」
「分相応を、目いっぱいやれ」
身の丈に合った経営を精いっぱいやる。
次々に、いい話が出た。
春から秋まで、田中さんと一緒に、若い人たちに講義をする。
若い人たちが、学びたがっている。
田中さんのボランタリーチェーンの哲学を。
私はそれをサポートし、
私なりのボランタリーチェーン論と「知識商人論」を、
提起することになる。
いまから、楽しみだ。
その後、夕方、町内の㈱成城石井本部へ。
大久保恒夫社長と面談。
来週火曜日3月9日の「二人のビッグセミナー」の最終打ち合わせ。
タイトルは「2010知識商人の経営の流儀」
お申し込みは、こちら。
火曜日の午後いっぱいのセミナー。
まだまだ募集中。
近隣の皆さま、どうぞおいでください。
Japan Shopやフランチャイズチェーンショーにお出かけの皆さま、
お立ち寄りください。
会場は、お台場「タイム24」です。<商人舎事務局>
大久保さんの考え方は、ずっと変わっていない。
それが現在の小売業にとって、もっとも重要なことになる。
成城石井はスーパーマーケットだが、
そして大久保さんはそのスーパーマーケットの経営改革を、
見事、果たしたが、
その考え方は、スーパーマーケットに役立つだけではない。
すべての小売業、すべてのビジネスに有益となる。
私の考え方も、商業・サービス業全般にわたる。
2010年、どのように考え、どのように行動し、
どのように結果を出したらよいか。
それを鮮明に提示することになる。
決算が終わり、ちょうど予算が決まったばかりの会社、
決算をまとめつつ、予算づくり渦中の会社。
そんな会社の人々に、
きっと、ほんとうに、役に立つ。
目からウロコの「ふたりのビッグセミナー」になる。
今年の予算は、この気合いで進める。
今月の商人舎標語。
「すぐやる・かならずやる・できるまでやる」
すぐに実行、からなず実践、できるまでPractice。
大久保恒夫&結城義晴。
コラボレーションは、互いに切磋琢磨しつつ、
オール・フォア・ワンとなる。
乞う、ご期待。
<結城義晴>