「業界から産業へ」の発展のプロセスは、
どんな軌道が描かれるのだろう。
小売業全体、卸売業全体、それぞれの製造業。
百貨店業、チェーンストア業、
スーパーマーケット業etc.etc。
昨年6月に薬事法が改正された。
その医薬品業界、およびドラッグストア業界に、
ヒントがあると私は考えている。
薬事法は、様々な利害が絡んだ法律である。
それが、50年ぶりに改正された。
なぜ可能となったのか。
自民党から民主党に、
政権交代がなったからではない。
もう10数年前から、このグランドデザインが描かれていたからだ。
第10回JAPANドラッグストアショーが開催されている。
昨日3月12日(金)が初日で、今日13日(土)、明日14日(日)まで。
ところは、千葉県の京葉線海浜幕張駅の幕張メッセ。
主催は、日本チェーンドラッグストア協会。
現在の会長は、㈱キリン堂の寺西忠幸会長兼社長。
協賛は、この業界の2大共同仕入れ機構。
オールジャパンドラッグ㈱と㈱ニッド・日本ドラッグチェーン。
後援は、厚生労働省・経済産業省・千葉県・千葉市、米国大使館。
全米チェーンドラッグストア協会と中国チェーンドラッグストア協会。
日本OTC医薬品協会・日本貿易振興機構と台湾貿易センター、
それに㈱プラネット。
初日の12日(金)と13日(土)が 商談日。
業界関係者が訪れる日。
食品分野のスーパーマーケットトレードショーは、
日本セルフ・サービス協会が展開するものだが、
こちらは一般公開されていない。
だから3日間の来場者数は7万人超。
ドラッグストアショーは、
13日(土)と、14日(日)が一般公開日。
エキジビターは、新製品サンプルなど、
どんどん配って、プロモーションを展開する。
つまりドラッグストアショーでは、
土曜日は商談日であり、一般公開日となっている。
一般公開するため、
3日間の延べ来場者数は約12万人になる。
ドラッグストアは、10年以上も前から、
「セルフメディケーション」の実現を標榜している。
これは、消費者をはじめ、産業レベルで推進される社会的コンセプトだ。
だからドラッグストアショーは、
一般消費者にまで公開され、入場無料。
昨年の第9回は出展社317社、1,173小間。
今年の規模は400社、1,200小間。
ブースコンテストのグランプリを受賞した花王のブース。
資生堂のブース。
こちらも派手なプレゼンテーション。
岡村製作所のブース。
オカムラは、主催者ブースをはじめ、
ショー全体のブース設立に大活躍。
㈱プラネットのブース。
このブログに頻繁にご登場いただくプラネットの玉生弘昌社長と懇談。
自らパソコンを操って、
「バイヤーズネット」の内容を紹介してくれた。
日本チェーンドラッグストア協会の主催者ゾーンが充実している。
ここでは10兆円産業化への7つの課題が掲げられている。
課題1 面分業の推進。
課題2 セルフメディケーションの推進。
課題3 人材の育成。
課題4 インフラの整備。
課題5 需要創造、マーケット拡大の研究と実践。
課題6 店舗の効果・効率向上の研究と実践。
課題7 狭小圏型新フォーマット開発の研究と実践。
食品産業・食品流通業や消費産業のサイドから学ぶことが、
ドラッグストアショーにはある。
その最大の要素は、
「セルフメディケーション」というコンセプトの推進である。
産業レベルのコンセプトが、
顧客を巻き込んでいる。
顧客や患者が「自ら薬事治療する」。
産業はそれをサポートする。
それがセルフメディケーションである。
どうしたら、顧客を巻き込んで、
業界が一体となれるコンセプトが生み出せるのか。
それは、どんなコンセプトなのか。
どんな方法なのか。
その先行ケーススタディは、
この地球上にないのか。
日本のドラッグストア産業は、
それを探し出し、
それを創造し、
それを推進している。
見事なまでに「産業化のビジョン」が描かれたからだ。
ここで、引用。
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「ビジョンとマネジメント」
『メッセージ』より(結城義晴著・㈱商業界刊)
組織にはすべからく、ビジョンがなければならない。
個人にも、無頼派を気取る者を除けば、ビジョンはあったほうが良かろう。
会社にビジョンがなければ、ゴーイング・コンサーンにならないし、
個人は、ビジョンを持たねば幸せにはなれまい。
ビジョンは、自らの未来像である。
心に描く姿である。
しかしビジョンは単なる「目標」ではない。
ビジョンは淡い「希望」ではないし、強いだけの「願望」でもない。
企業にとっての「目標」は、長期経営計画の到達点、ひとつのゴールといえよう。
これはほとんどの場合、数値的に固められていなければならない。
従って、ゴールに到達するための方法の大部分は、
あらかじめ用意されている必要がある。
だがビジョンはもっと柔軟だ。
ビジョンとは、ゴールへのプロセスをあとから決めるものだ。
ビジョンに基づいて、根強い「希望や願望」が保たれれば、方法は後付けでよろしい。
ただしビジョン無き希望・願望は、行動や活動につながらない。
ビジョンは、今日の行動、今月の活動、今年の政策を決定づける。
優れたビジョンによって日々、経営と運営、政策と対策の是非が判断される。
毎日の意思決定の基準となるとき、
願望はビジョンに姿を変える。
ビジョンは、「いくつかの数値」と「たくさんの言葉」で表現される。
ビジョンは組織の人々に理解され、繰り返し繰り返し、活用される。
従ってビジョンは、決定的にゴールを規定する。
ビジョンのもとに、ゴールに至る能力を「マネジメント」と呼ぶ。
組織にはまず、ビジョンと、そしてマネジメントが不可欠である。
個人にもまた、人生のビジョンと人生のマネジメントが必要である。
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会社にはビジョンが必要だ。
個人にもビジョンが必須である。
そして産業にも共通のビジョンがいると、
私は思う。
そのために求められること。
それが、「いくつかの数値」と「たくさんの言葉」で表現されるビジョン。
ドラッグストア産業では二つ。
たくさんの言葉が収斂された「セルフメディケーション」。
そして「10兆円産業」。
私たちは、ここから学ばねばならないと思う。
<結城義晴>