結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年03月30日(火曜日)

ニトリ対ベッド・バス&ビヨンドの決算比較とメーカー40社の2010商品政策

「花冷え」もひどすぎると、
シャレにならねえ。  

江戸っ子のような口調を飛ばしていると、
やっと、あたたかくなりました。
花見日和です。

今週末あたり、東京・横浜は最高の塩梅(あんばい)。

さて、2月期決算が次々に発表されている。
1年間に4回の値下げで客数増を果たした㈱ニトリは、
売上高2861億8600万円で、前年同期比17.3%プラス、
営業利益464億5600万円で、なんと40.4%のプラス、
経常利益474億3000万円で、こちらも39.6%のプラス。
当期利益238億3800万円で、29.9%プラス。  

この売上げと利益を212店舗でつくりだした。

すごいものだ。

しかし、ニトリがベンチマークするアメリカの同業。
ベッド・バス&ビヨンドの2009年度は、
年商72億0834万ドル(100円換算で7208億円)、
営業利益6億7890万ドル(679億円)
純利益4億2512万ドル(425億円)。  

店舗数は1037店。

店数で4.9倍、売上高で2.5倍。  

しかしニトリは既存店前年比7.4%プラス、
ベッド・バス&ビヨンドは2.4%。  

1店当たり売上高も年商や利益の伸び率も、
ニトリに軍配が上がる。

人口は日本が1億2700万人で、
アメリカが3億人。

ユニクロのファーストリテイリングも、
カジュアル・ファッションチェーン分野では、
世界最大のギャップを射程にとらえたが、
ニトリも負けてはいない。

一方、日経新聞の大手食品・日用品メーカー40社調査。
食品メーカー31社と日用雑貨メーカー9社。  

43%の17社が、小売業から出荷価格の値下げを要求されている。
このうち10社が、2010年度中に応じると回答。
もちろん、コモディティ商品に限るが。

55%の22社が「販促奨励金の積み増し」を求められ、
13社が応じると回答。

早稲田大学商学学術院教授の恩蔵直人さんは、
この販促費を時系列で調べて、
「コモディティ化」を証明した。

ナショナルブランドのコモディティ化は、
2010年も、進行しそうだ。  

しかし、メーカーも考えている。
2009年度に、ほとんどのメーカーは、
「経営資源を売れ筋に集中して、新製品は減らしてきた」

しかし、2010年度には38%の15社が新製品を増やす。
既存売れ筋商品がコモディティ化するならば、
寡占化されるコモディティで計画的薄利多売を成し遂げ、
新製品でノンコモディティを生みだす。

ハウス食品㈱の浦上博史社長は答えている。
「市場活性化には一定量の新商品を、
出し続けることが欠かせない」  

このメーカーの戦略に、小売業はどう応えるか。

ニトリは、ご承知のように、
製造小売業として、独壇場の地位を築いた。
それは、非食品ハードラインを主体とする小売業だから可能だった。

食品・日用品で、それがどこまでできるか。
プライベートブランドも、
メーカーの売れ筋コモディティが、
プライベートブランドとかち合う状況の中で、
いかに自社なりのノンコモディティをつくるか。

ニトリに負けない独自性が求められる。

今朝、枕上で、新聞を読みながら、ひらめいた。

人と同じことをやっていては、
「マス・マーケット」をとらえることはできない。

すなわち、自分がマジョリティに居る限り、
マスは獲得できず、
自分がマイノリティに居ると、
マスを味方につけることができる。

「マイノリティがマスを得る」  

不思議な相関関係だ。

さて、昨日は、
㈱商人舎顧問税理士の宮田昇先生、来訪。
宮田昇税理士事務所の後藤周太郎さんとともに。

商人舎の第二期決算も、無事終了。
「無茶をせず、無理をする」
昨年の標語通りの決算になった。
お客さま、お取引先、商人舎ファミリーの皆さんに、
心から感謝したい。
もちろん宮田先生にも、心から感謝して、
拙著を贈った。

続いて㈱産学社の編集者・新垣宜樹さん来訪。

産学社刊『小売業界大研究』は、
4月上旬から、全国の書店・大学生協の店頭に並ぶ。

もう、ある企業から1000冊の大量お申し込みがあった。
出だし好調、心から感謝。

いわゆる、業界本、就活本。
だから、そのコーナーに並ぶはず。

しかし、そのコーナーに並ぶ他の業界本、他の類書に比べて、
私には、絶対に自信がある。

自分で言うのも恥ずかしいが、
「小売業」に対する愛に満ちた本だ。
静かな愛にあふれた本である。

私は、「商業の現代化」を掲げている。
そのために、元気の良い若者に、
この業界に入って来てもらいたいと考えている。
意志のある若者にも、優秀な若者にも、
この産業に参画してもらいたいと思っている。

そういう気持ちを込めて、書いた。

難しいことを易しく、
易しいことを、面白く、
面白いことをより深く。  

そう思って、書いた。

ご愛読を願いたい。

<結城義晴>  

★追伸

杉山昭次郎先生「流通仙人日記」の「SM競争力強化の視点」もいよいよ、佳境。
スタッフ日記では「第5回USAハードワーク研修会」の報告が。
そして商人舎「商品探偵団」も復活しました。
続々と各ブログの最新記事がアップされています。お楽しみください。

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                <商人舎事務局>

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