結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年03月31日(水曜日)

明日からの改正労基法施行と「Forbes」世界長者番付

横浜駅西口付近を流れる新田間川の桜。

商人舎オフィスに出社する時には、いつも、
この川べりを歩く。

徐々に、桜が開いて、満開直前。
いい季節です。

今日で、3月も終わり。
明日から、4月。

横浜では、今週末あたりが、
最適の花見のころあい。

さて、明日から、労働基準法が一部改定され、
施行される。
それぞれの会社では、総務部門が、
問題解決を果たしているから大丈夫だろうが、
経営者も管理監督者も、労働者も、
その中身を知っておくことは大事だ。

時間外労働には、割増賃金が払われる。
いわゆる「残業」だが、
それには最低、基本給の125%が支払われる。

私が社長を務めていた㈱商業界では、
40年近く前から、残業代は5割増しで支払われた。

「サービス残業」というのは、
この2割5分増し、5割増しどころか、
残業したのに一銭ももらわない、支払わないということで、
これは明確に法律違反。

今回の改定は、つき60時間の法定限度時間を超えると、
㈱商業界並みに5割増しの割増賃金を払うようにという趣旨。

さらに法定割増賃金の割増分を有給休暇に振り替えること、
1年に5日分を限度として時間単位で有給休暇を取得することが可能となる。

ただし、この件に関して、あらかじめ、
労働組合または従業員との労使協約が改定される必要がある。

今回の改定の目的は、
「働きすぎ、働かせすぎ」からの脱却。  

ただしこの場合、「働きすぎ」というのは、
時間単位で論議される。
労働者を長時間労働から解放して、
健康で健全な労働体制を組み上げようとの狙い。

だから、決められた時間内に、
集中的に効果的に生産性をあげて仕事することは、
むしろ奨励されている。

そして残業が発生した場合には、
しっかりと支払うし、
残業分の仕事は、さらに濃密なものとならねばならない。

「だらだら仕事」は撲滅し、
適正な時間内に、適正な仕事をし、
経営者はこの適正な業務とその仕組みを設計し、管理して、
健全なオペレーションを構築する。

そういった目的で、
明日から改正労基法が施行される。

経営は一段と厳しくなるかもしれないが、
従業員満足と顧客満足が合致しない限り、
「商業・サービス業の現代化」は果たせない。

法律違反がつづいている限り、
現代化どころか、近代化にも到達しない。  

ただし、特に経営者に限っては、
この範疇にない。

経営者は、本当に厳しいけれど、
年中無休・24時間無休を、
自己責任において果たす。

世の中の問題で一番厄介なのは、
この経営者のスタンスと従業員・労働者の立場を、
混同させ、混合させ、錯覚させ、ごまかしてしまう輩の存在。

この意味において、
「精神論」は近代経営の敵である。  

間違いのないよう。
「この意味において」である。

さて、米国の雑誌『フォーブス』(Forbes)の特別号。  
「ビリオネアーズ」(10億長者)  
[The World's Richest People]
世界で最も金持ちの人々。

今回は、マイクロソフトのビル・ゲイツを抜いて、
カルロス・スリム・ヘルがトップとなった。
1940年、メキシコシティ生まれのメキシコ人。

2007年に世界1位(総資産約8兆3000億円)の富豪となり、
2008年には2位にさがり、
2010年度の最新版長者番付で、再び首位に返り咲いた。
資産総額535億ドル(100円換算で約5兆3500億円)。
テルメックス、テルセル、アメリカ・モービルを所有し、
中米の通信産業を牛耳っている。

第2位は、ご存知、マイクロソフトのビル・ゲイツで530億ドル。
第3位も、超有名なアメリカ人投資家のウォーレン・バフェットで470億ドル。
世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEO。

第4位ムケッシュ・アンバニ、第5位ラクシュミ・ミタルは、
ともにインド人。

注目すべきはアメリカ合衆国のランキング。
1位ビル・ゲイツ、2位ウォーレン・バフェットにつづいて、
3位オラクルのロウレンス・エリソン280億ドル。
そして4位~7位までの名簿。
4位クリスティ・ウォルトン225億ドル、
5位ジム・ウォルトン207億ドル、
6位アリス・ウォルトン206億ドル、
7位ロブソン・ウォルトン198億ドル。  

そうサム・ウォルトンの遺族たちが、
合わせて836億ドルで、  

これは世界第1位にあること。

一方、アジア・環太平洋地区では、
日本の柳井正さんが76億ドルで15位に入り、
16位には佐治信忠さんが75億ドルで食い込んだ。  


柳井さんは小売業ファーストリテイリング、
佐治さんは食品製造業サントリー。

日本でも重厚長大産業ではなく、
消費産業のトップが国を代表する経済人、億万長者である。
経営者の可能性は、無限に広がる。

ちなみに、アジア・環太平洋地区のベスト20には、
インドが10人、
香港が4人、
日本とマレーシアが2人ずつ、
あとは韓国と中国が1人ずつ。

インドやマレーシアは富の集中は激しい。

私は、こんなことを報告し、評論する立場で、
まったく金に縁がない。
しかし、何とか金に困ることもない。

身の丈の生き方。  
それが、私には、いい。

朝に希望、昼に努力、夕に感謝。  
それが、私には、いい。

明日から4月。
希望の4月。

<結城義晴>  

2010年03月30日(火曜日)

ニトリ対ベッド・バス&ビヨンドの決算比較とメーカー40社の2010商品政策

「花冷え」もひどすぎると、
シャレにならねえ。  

江戸っ子のような口調を飛ばしていると、
やっと、あたたかくなりました。
花見日和です。

今週末あたり、東京・横浜は最高の塩梅(あんばい)。

さて、2月期決算が次々に発表されている。
1年間に4回の値下げで客数増を果たした㈱ニトリは、
売上高2861億8600万円で、前年同期比17.3%プラス、
営業利益464億5600万円で、なんと40.4%のプラス、
経常利益474億3000万円で、こちらも39.6%のプラス。
当期利益238億3800万円で、29.9%プラス。  

この売上げと利益を212店舗でつくりだした。

すごいものだ。

しかし、ニトリがベンチマークするアメリカの同業。
ベッド・バス&ビヨンドの2009年度は、
年商72億0834万ドル(100円換算で7208億円)、
営業利益6億7890万ドル(679億円)
純利益4億2512万ドル(425億円)。  

店舗数は1037店。

店数で4.9倍、売上高で2.5倍。  

しかしニトリは既存店前年比7.4%プラス、
ベッド・バス&ビヨンドは2.4%。  

1店当たり売上高も年商や利益の伸び率も、
ニトリに軍配が上がる。

人口は日本が1億2700万人で、
アメリカが3億人。

ユニクロのファーストリテイリングも、
カジュアル・ファッションチェーン分野では、
世界最大のギャップを射程にとらえたが、
ニトリも負けてはいない。

一方、日経新聞の大手食品・日用品メーカー40社調査。
食品メーカー31社と日用雑貨メーカー9社。  

43%の17社が、小売業から出荷価格の値下げを要求されている。
このうち10社が、2010年度中に応じると回答。
もちろん、コモディティ商品に限るが。

55%の22社が「販促奨励金の積み増し」を求められ、
13社が応じると回答。

早稲田大学商学学術院教授の恩蔵直人さんは、
この販促費を時系列で調べて、
「コモディティ化」を証明した。

ナショナルブランドのコモディティ化は、
2010年も、進行しそうだ。  

しかし、メーカーも考えている。
2009年度に、ほとんどのメーカーは、
「経営資源を売れ筋に集中して、新製品は減らしてきた」

しかし、2010年度には38%の15社が新製品を増やす。
既存売れ筋商品がコモディティ化するならば、
寡占化されるコモディティで計画的薄利多売を成し遂げ、
新製品でノンコモディティを生みだす。

ハウス食品㈱の浦上博史社長は答えている。
「市場活性化には一定量の新商品を、
出し続けることが欠かせない」  

このメーカーの戦略に、小売業はどう応えるか。

ニトリは、ご承知のように、
製造小売業として、独壇場の地位を築いた。
それは、非食品ハードラインを主体とする小売業だから可能だった。

食品・日用品で、それがどこまでできるか。
プライベートブランドも、
メーカーの売れ筋コモディティが、
プライベートブランドとかち合う状況の中で、
いかに自社なりのノンコモディティをつくるか。

ニトリに負けない独自性が求められる。

今朝、枕上で、新聞を読みながら、ひらめいた。

人と同じことをやっていては、
「マス・マーケット」をとらえることはできない。

すなわち、自分がマジョリティに居る限り、
マスは獲得できず、
自分がマイノリティに居ると、
マスを味方につけることができる。

「マイノリティがマスを得る」  

不思議な相関関係だ。

さて、昨日は、
㈱商人舎顧問税理士の宮田昇先生、来訪。
宮田昇税理士事務所の後藤周太郎さんとともに。

商人舎の第二期決算も、無事終了。
「無茶をせず、無理をする」
昨年の標語通りの決算になった。
お客さま、お取引先、商人舎ファミリーの皆さんに、
心から感謝したい。
もちろん宮田先生にも、心から感謝して、
拙著を贈った。

続いて㈱産学社の編集者・新垣宜樹さん来訪。

産学社刊『小売業界大研究』は、
4月上旬から、全国の書店・大学生協の店頭に並ぶ。

もう、ある企業から1000冊の大量お申し込みがあった。
出だし好調、心から感謝。

いわゆる、業界本、就活本。
だから、そのコーナーに並ぶはず。

しかし、そのコーナーに並ぶ他の業界本、他の類書に比べて、
私には、絶対に自信がある。

自分で言うのも恥ずかしいが、
「小売業」に対する愛に満ちた本だ。
静かな愛にあふれた本である。

私は、「商業の現代化」を掲げている。
そのために、元気の良い若者に、
この業界に入って来てもらいたいと考えている。
意志のある若者にも、優秀な若者にも、
この産業に参画してもらいたいと思っている。

そういう気持ちを込めて、書いた。

難しいことを易しく、
易しいことを、面白く、
面白いことをより深く。  

そう思って、書いた。

ご愛読を願いたい。

<結城義晴>  

★追伸

杉山昭次郎先生「流通仙人日記」の「SM競争力強化の視点」もいよいよ、佳境。
スタッフ日記では「第5回USAハードワーク研修会」の報告が。
そして商人舎「商品探偵団」も復活しました。
続々と各ブログの最新記事がアップされています。お楽しみください。

右サイドのTODAY、NEWをクリックしてもご覧いただけます。

                <商人舎事務局>

2010年03月29日(月曜日)

日経MJ「百貨店は規模を見切り、個店優先」とユニ・チャーム高原慶一朗会長の「こまい会社」

Everyone! Good Monday![vol13]

2010年第13週、3月最終週と4月第1週。
それが今週。


今日は朝から、東京・自由が丘。

「春まっ盛り」であるはずなのに、
東京・横浜は、冬に戻ったかのように寒い。

いわゆる「花冷え」  
桜の花が咲く頃の冷え込みを「花冷え」という。
美しい日本語。

桜を楽しむことは、冬から春への移り変わりを喜ぶこと。
この暖かくなることに対する期待を、若干、裏切られたような気分。
それでいて、花の鋭さをも感じさせる。
実際のところは、この時期は陽気が変わりやすいから、
寒さも温かさもあって、
「花冷え」という言葉は、半分は当たる。

「意外だなあ」という気分とともに、
その意外さが、ピタリ当たっている。
不思議な感覚を呼び起こす「花冷え」。

この感覚まで楽しんでしまおうという貪欲な日本語。

ああ、日本に生まれてよかった。

今週から、本格的な春と桜。
顧客と一緒に楽しみたい。

さて、今朝の日経MJ。
「高島屋・H2O MDにズレ」  

「規模拡大がもたらす効果は、
両者にとって魅力を失っていった」

だから「規模見切り、個店優先」となった。

小売業はその名の通り、
「小」さく「売」る「業(なりわい)」。
本来の小売業の考え方に戻れば、
百貨店とても、規模のデメリットに目覚めるはず。

もちろん小売業にも規模のメリットはある。
それを求めたのがチェーンストア方式。
規模に効果を出すためには、
「小売業の工業化」が不可欠だった。

いわゆる「インダストリアリズム」。  
この効果は、華々しいものだった。

だからほとんどの小売業が錯覚した。

「小売業の工業化」こそ、
永遠の、理想の小売業のあり方だと。

しかし私は、
小売業は「森」のようなものだと思う。
あるいは「人体」のようなもの。

だから大木もあれば、雑木もある。
雑草もあれば、綺麗な花もある。

大動脈・大静脈も必要だし、
毛細血管もなければ生きていけない。

従って、小売業には、
工業的小売業もあれば、
農業的小売業もある。
そして情報業的小売業もある。  

第一次産業型小売業、
第二次産業型小売業、
第三次産業型小売業。  

小売業自体が第三次産業に属するから、
話はややこしくなる。
小売業は融通無碍なところをもっていて、
だから時流をとらえなければならないし、
他産業の「映し身」のようなところをもっていて当然。

20世紀は、工業化社会への疾走だった。
だから小売業も、工業化を果たした。
その象徴が3S1Cの概念。

標準化・単純化・専門化と集中化。

しかし高島屋とH2Oリテイリングの統合断念は、
今一度、小売業の本質に戻れと、私たちに語りかけている。

それが日経MJの巻頭特集に、垣間見える。

それにしても日経MJの月曜版は、
いいポジショニングに居る。

月曜日は、日刊紙がつまらない。
日曜日にニュースが少ないからだ。

それに対して、日経MJは月曜・水曜・金曜に発刊される。
必然的に、月曜版は前週のサマリーになる。
この前の週のまとめがとてもよい。

私は「ウィークリー・マネジメント」を標榜し、お勧めするものだが。
日経MJ月曜版には、その「週頭」ガイダンスの意味がある。

日経本誌の「私の履歴書」。
3月はユニ・チャーム会長の高原慶一朗さんだったが、
「我が社は川之江の言葉で言うなら、
まだまだこまい(小さい)会社だ」  

だから、欧米には本格的には出ない。
プロクター&ギャンブルやキンバリークラークが席巻している。
「同じ土俵に立つことは時期尚早だ。兵站が伸び切ってしまう恐れがある」

「身の程を知ると同時に、錐で穴を開けるように、
一点集中・一点突破で得意分野で進まないといけない」

この「こまい会社」の発想は、
小売業に当てはまる。

今朝の朝刊からもう一つ。
朝日新聞の文化欄の作家・船戸与一さんの言葉。
「歴史は小説の奴隷ではない」  
言いかえると、こうなる。

歴史をフィクションとして表現する場合、
受け手は、それをフィクションとしてとらえなければならないし、
送り手も、それがフィクションであることを伝えておかねばならない。  

船戸さんは小説『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』で、
フィクションと史実を、交えつつも、読者にわかるように表現した。

昨夜、NHKで「龍馬伝」を見ていて、
ちょっと違和感を覚えたので、
今朝の船戸さんのコメントに納得。

何らかの説や論が提示されたとき、
盲信してはいけない。

常に、自分の軸をもちつつ、
その論や説を、検証する姿勢をもたねばならない。

それがビジネスの良さであり、面白さ。
検証する時には、当然ながら、
「現場」を通して行う。
特に「こまい会社」を自覚する者には、
これが大切だ。

「神は現場にあり」  

今月も、あと3日。

「すぐやる・かならずやる・できるまでやる」 
この習慣化を果たしたうえで、
新年度の4月に臨みたい。

わが社は2月末決算で、3月が新年度という会社も、
世間は、今、学校では春休み、家庭もそのサイクルであることを再確認して、
今週も、気持ちを新たに臨みたい。

Everyone! Good Monday!  

<結城義晴>  

2010年03月28日(日曜日)

ジジとお父さんの多忙[2010日曜版⑬]

春です。

おハナミのきせつ。

でも、今日はさむい。

ユウキヨシハルのおとうさん、
いそがしかった。

1週間前には、
サンフランシスコ。

いいツアーでした。

そして、キコク。

ボクは、あんしんしました。

かえってきたら、
本ができていた。

これはうれしそうだった。

でも、これは、
いかがだったでしょう。

テレビ。

チョイ役だったといってた。

でも、そのあとも、
やすむ間もなかった。

コーエン会。

ガクイジュヨ式。

これは、うれしかった。

おめでとう。
でも、シゴトは、
つづく。

シオドメのデンツー。

RMLCの研究会。

そのあいだ、ボクは、
ずっと、ねてました。

あいてにしてくれないんだもの。

シュンミン
アカツキヲ
オボエズ。  


このキセツには、
それもいいでしょう。

おとうさんも、
シュンミン。

いかがですか?

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2010年03月27日(土曜日)

「クリック&モルタル」作戦とぱぱす築地店、商業経営問題研究会

「クリック&モルタル」  

ブリック・アンド・モルタルに対する用語。
Brick and mortarは、ブリック(煉瓦)とモルタルによってできている店舗のこと。
つまり店舗販売を意味する。

それに対して、クリック・アンド・モルタルは、
インターネット販売を象徴するパソコン操作の「クリック」と、
店舗の象徴「モルタル」を組み合わせた言葉で、
インターネット&店舗販売を意味する。

今朝の朝日新聞。
インターネットと百貨店のコラボレーション。  
楽天市場が池袋東武百貨店と組んで「クリック&モルタル」を展開すれば、
ヤフー・ショッピングは池袋西武百貨店の売り場を使って「クリック&モルタル」を実施する。

私は、これがいちばん顧客の信頼を確かにする方法だと言い続けている。
なんだかんだとマイナス情報ばかり取り上げられる百貨店だが、
これは、実にいい試み。

インターネット販売も「複占」の様相を呈していて、
こういったインターネットショッピングモールは、
楽天とヤフーの二者に絞り込まれそう。

一方、日経新聞の記事。
東急ハンズが3カ月限定の短期間店舗出店を開始する。  
地方中核都市のショッピングセンターなどに、
200㎡程度の小型店を出店し、
3カ月で切り上げる。
品目数は1000くらいで、東急ハンズの売れ筋中心。
4月の金沢を皮切りに、全国10カ所で、年間に3億円程度の売上げを見込む。

しかし本当の狙いは、その後のインターネットにおける購買。

これも「クリック&モルタル」作戦。

第一に、ブランド認知力とブランド信用力。
第二に、実店舗での実物における購買&消費経験。
第三に、そのうえでインターネット販売。  

時代はどんどん変化している。

さて、昨日は、朝から東京・汐留の電通本社。

36階からのベイエリアの眺めが素晴らしい。

おなじみのストラテジック・プランニング局の土井弘さんと打ち合わせ。

土井さんは、電通内でもっとも流通小売業に精通した人。
「日記調査」という独特の消費者リサーチを展開していて、
多くのメーカーや小売業から活用され、信頼されている。

その土井さんの情報で、
築地のドラッグストア「ぱぱす」築地店へ。  

この日、増床リニューアル・オープン日。

電通の旧社屋への出店で、
高嶋達佳社長からのお祝いの花も店頭に飾られていた。

レジの付近は、混雑していて、
本部からも応援が入って大繁盛。

増床リニューアルの成功を物語っていた。

ゴンドラ40本ほどを増やし、通路を広げて、
買いやすくした。
周辺人口は少ないものの、
ぱぱす127店のなかで、
最大売上げを誇る。

陣中見舞いは、私の役目のひとつ。

頑張ってください。

その後、日本橋の日本スーパーマーケット協会事務所まで歩いた。

その会議室を借りて、
商業経営問題研究会3月月例会。  
飯能の流通仙人こと杉山昭次郎先生の杉山ゼミから、
故磯見精祐先生座長のこの会に趣旨が引き継がれ、
いま、不肖・結城義晴が座長を務める研究会。

今回は、コア・メンバーでの研究会となった。
品川エコ・エコノミー研究所代表の品川昭さんが報告者。
写真左は、㈱たいらや社長の村上篤三郎さん。

品川さんは、元セゾン総合研究所事務局長。

今回のテーマは、「地域コミュニティとSMの役割」

詳細は、商人舎ホームページ内の商業経営問題研究会ブログにて、
近日報告予定。

研究会をしていると、
協会会長の川野幸夫さん登場。
ご存知、㈱ヤオコー会長。

川野さんも加わっていただいて、
私の最新アメリカ報告。

熱心に聞いてくださった。

そして、最後に全員で、写真。

そうそうたるメンバーが揃った。
この研究会はオープンマインド。
皆さんも、どうぞご参加ください。

商人舎アドレスinfo@shoninsha.co.jpで受け付けています。

今日も忙しかった。

皆さんも、よい週末を。
今週も、結城義晴のブログ[毎日更新宣言]をご愛読くださって、
ありがとうございます。

<結城義晴>  

2010年03月26日(金曜日)

高島屋・阪急阪神百貨店統合破談と立教大学大学院学位授与式

高島屋とH2Oリテイリング、
経営統合破談。  

昨日の夕方、発表された。

私は、まず、「困った」と思った。
もう印刷が終わって、配本中の新刊本で、
4大メガデパートのことを論述しているからだ。
本のタイトルは『小売業界大研究』

しかしこの本の中でも、私は、百貨店の統合や規模拡大は、
それほど大きな意味がないことを指摘している。

だから、高島屋と阪急阪神百貨店の交渉決裂は、
両社首脳の冷静な判断と受け止めたい。

などと考えていると、夕方、
『日刊ゲンダイ』の記者から緊急の連絡が、
横浜の商人舎オフィスに入った。

今回の件に対するコメントがほしいという。
最近は、なんだか百貨店評論家になってきた。

ちょうど立教大学大学院の学位授与式に出ていたのだが、
ちょっと抜け出して、研究室で電話インタビューに答えた。

「百貨店には大きく二つの系譜がある。
老舗呉服屋から発達した会社と電鉄系のターミナルデパート。
三越と高島屋は前者の代表で、阪急阪神は後者。
三越と伊勢丹は前者同士、大丸と松坂屋も同じ。
そごうと西武はたすき掛けで、
高島屋と阪急阪神もそれ。
基本的な組織風土や企業体質が異なる」

「高島屋&阪急阪神は、言ってみれば、
三越伊勢丹に対抗する関西連合のような趣があって、
こんな動機で統合しても、問題は起こりやすい」

「さらに百貨店は、
規模の経済が、当てはまらない業態。  

家電やドラッグストアのコモディティ重点型の企業ならば、
統合やM&Aにもメリットが生まれるが、
ノンコモディティ重点型の業態では、
デメリットしか生まれない」
「したがって、両者の首脳の判断は、
冷静なものだったと思う」

おおむねこんなことをコメントした。

三越伊勢丹の時から私は、持論を展開していた。
管理コストの削減、
情報システムの共有化によるメリット、
人的資源の有効活用。
こういった項目以外に、
商品の面、売上金額の面で大きくなっても、
それは役に立たない。

お客様の気分になればよくわかる。
従業員の気持ちになればすぐわかる。  

高島屋と阪急阪神がひとつになると、
お客様からは選択の幅が狭まる。

阪急と阪神の統合ですら、それはもう既成の事実だが、
顧客無視の所業といえる。

従業員も、合併にはストレスが伴う。
いいことはない。

だから十分議論して、統合を思いとどまったことは、
むしろ評価されるべきだ。

どこかの新聞に「統合の失敗の責任をどうとるか」といった質問が出ていたが、
統合を回避したことこそ、責任をもった判断というべきだ。

私が主張してきたことが理解されつつあって、
それは嬉しい。

さて昨日は、朝から全日食チェーン協同組合の講演会。

齋藤充弘全日本食品社長の講演の後、10時過ぎから90分。

テーマは「ボランタリー・ナレッジ・マーチャントのすすめ」

アメリカから帰ったばかりで、
ちょっと疲れ気味だったが、
話始めて30分も経過すると、
いつもの調子になって、
話は脱線気味。

それでも、その脱線もご好評いただいて、
何とか、予定通り、最後まで語りとおした。

ご清聴を感謝したい。

講演が終わって、田中彰会長と齋藤社長。
お二人ともに商人舎発足の会の発起人。
ありがとうございます。

夕方、6時半から、今度は池袋の立教大学で、
「大学院学位授与式」  

結城ゼミのゼミ生諸君。

会場のタッカーホールでは、式典が始まっていた。

理事長先生のご挨拶。

合唱団の讃美歌。

そして学位を授与されたゼミ生諸君と写真。

左から田村直純さん、
柿沼将人さん、
名古屋章さん、
そして星山朋子さん。

心より、おめでとう。

教会に移動して、また写真。

みんなの笑顔がうれしい。

高橋修一郎さんと写真。

写真の後、日刊ゲンダイのインタビューを受けた。

それから、第一食堂で懇親会。

また全員で写真。
一生の付き合いになります。

ほんとうに、おめでとう。

ゼミ生諸君から花束をプレゼントされて、
ほんとうにうれしかった。

いい人生を歩んでください。
いい友を大切にしてください。

<結城義晴>  

2010年03月25日(木曜日)

「集権と分権」と「戦略と戦術」と「重視と蔑視」

昨日の『報道ステーション』。

ほんの15秒くらいの出演で、
ディレクターの大木茂生さんから、
恐縮のメールが入った。
「次回は是非、流通の話で先生に、と思っております」。

有楽町という街に対する朝日新聞記者たちの、
ノスタルジックな番組になっていた。
有楽町は朝日新聞と日劇があった街。
それをテレビ朝日が看板番組で取り上げた。

有楽町マリオンの西武百貨店が、
今年クリスマスの日に閉店する。
そのことへの哀愁。

「一等地からなぜ?」

この一等地発想もないまぜになって、
有楽町への思いが描かれた。

まあ、テレビ番組はあんな感じ。
お騒がせしました。

さて、今日は、
私の最初の本『メッセージ』から、
組織や戦略に関する文章を二つ。

「集権か、分権か」  

中央集権か、地方分権か。
本部集中か、個店対応か。

集めると効率が上がり、
分けると能率が下がる、のか。
いや、ムリに集めるとムダ、ムリが生じ、
分けると、キメ細やかな対応ができる、のか。

機能の集中と役割の分散。
責任の集中と無責任の分散。

続々摘発される一連の不正事件も。
会社の破産・倒産、吸収合併も。
集権と分権の論理破綻の中で起こり、
集中と分散の範囲再整備の中で蘇る。

マキュアベッリの「君主論」によれば、
最も理想的な政治とは最良の独裁者によるもの、となる。
もっとも唾棄すべきは、
衆愚政治と衆愚組織。

権力と機能の集中と分散を
時と状況に応じてスピーディに使い分ける。

そんな絶対的なカリスマの存在こそが、
社会と大衆の求めるものなのかもしれない。
最良の独裁者が、集めて、分ける。
理想のカリスマが、分けて、集める。

社長よ、部長よ、店長よ。
衆愚にまみれた長と名のつく者たちよ。
最良の独裁者たれ。
理想のカリスマたれ。

それがとりもなおさず、
集権と分権との全体最適のあり方を体現することになる。

「戦略と戦術」  

戦略上は すべての敵を蔑視せよ。
戦術上は すべての敵を重視せよ。

蔑視という言葉が、最も似合うのは、政界では小沢一郎。
敵だけでなく、味方までも蔑視してしまう。
蔑視という言葉が、最も似合うのは、流通業界では、鈴木敏文。
彼は、部下たちに他店の視察を禁じた。
戦術上の無視を意味する。
しかし、それ以前にイトーヨーカ堂は、
他社のマネにかけては追随を許さないほどうまく、
それが戦略分野を侵害しはじめていたからこその指令であったに違いない。

業態間バトルロイヤル競争時代の今、このことは極めて重要だ。
従って、店舗コンセプトや出店、店づくりの方針の面では、
例えばスーパーマーケットは、
生鮮カテゴリーキラーや“パワーセンター”、
コンビニエンスストア、そして同業他社を蔑視するくらいでなければならず、
価格や鮮度や販促などでは、
その方法論を重視しながら研究し尽くし、対策を立てねばならない。
ただし、蔑視も重視も、目を閉じてはできない。
逆に、カテゴリーキラーの側は今、
既存の業態やスーパーマーケットにテナント入居しつつ、
目を見開いて蔑視している
だから強い。

ところで、冒頭の言葉が、最も似合う歴史上の人物は誰か。
若き日の毛沢東である。
なぜなら、この言葉を残した、その人だから。
しかし彼は老いて、戦略的にも戦術的にも盲目になった。

本日夕方、
高島屋とH2Oリテイリングの破談が発表された。

「組織は戦略に従う」  
<アルフレッド・チャンドラー・ジュニア>  

まさに名言。

<結城義晴>  

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