結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年04月08日(木曜日)

コーネル・ジャパン、まるごとサミットで作業システムを学ぶ

コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン。
日本の食品産業と食品小売業の産業内大学を標榜して、
第二期の7回目の講義に入った。

第7回目は、オペレーションシステム編。

「組織は戦略に従う」  
(アルフレッド・チャンドラー・ジュニア)  

まったく同様の思考法で、
「作業システムは戦略に従う」  

横浜・伊勢佐木モールのはずれにあるセミナー会場。
まず、副学長の挨拶と今回の趣旨説明。

第二期生に第一期生からの参加もあって、
盛況の講座となった。

先月のロジスティックス&情報システム編は、
ヤオコーとロヂャースの視察実習が中心だった。

今回は、荒井伸也首席講師と高野保男講師、
そしてサミットでの視察、サミットからの解説で、
トータルに学ぶ。
荒井先生、高野講師もサミットご出身だから、
「まるごとサミットに学ぶ」の体。

まず、第1講座、第2講座は、
高野講師の「作業システムの概要」。

高野さんは、サミット取締役を退任して、
現在、超多忙のトップコンサルタント。
サミット時代に、
同社のレイバー・スケジューリング・プログラムをつくった。

その根本的な考え方と具体的なシステム構築の方法論が、
わかりやすく展開された。

サミットも高野さんの理論も、
1日のオペレーションを5つに区分する。

①朝一作業
②朝二作業


そして③午後一作業
④午後二作業
⑤閉店作業  

作業の基準を決め、作業の区分をつくり、
作業量と作業時間を科学的に算出する。
そのうえで、調整時間を入れ、
作業と作業者と作業時間を合理的に割り当てる。

したがって、作業改善や生産性の向上が、
逐次、可能となる。

何よりも、売り場が安定する。

私は、もう30年ほど前に、
アメリカのロサンゼルスで、
「ラルフの24時間」という取材をした。

その時にも、時間区分を重視した。
①ミッドナイトオペレーション1
②ミッドナイトオペレーション2
③開店前オペレーション
④開店後オペレーション
⑤デイタイムオペレーション

ラルフは、午前7時までに100%の品揃えを終えると、
あとはほとんど売場に手をつけない。
商品がどんどん売れていく。
だからデイタイムオペレーションは、
年商70億円の店にも限らず生鮮部門ごとに、
一人ずつのパートタイマーで遂行されていた。
グロサリーは、アシスタントマネジャーが、
売場の維持管理を兼ねて監督し、
パートタイマーが売れた後の段ボールケースを、
片づける作業に専念していた。

そんな区分だったと思うが、
サミットも高野さんも、基本は同じ。
それを日本のスーパーマーケットとして、
完成の域に導いた。

高野さんのレイバー・スケジューリングは、
トヨタのカンバン方式と全く同一の思想である。

高野さんの講義が、3時間(180分)。
次は、荒井伸也首席講師の「ストアマネジメントシステム」。

「スーパーマーケット原論」の一つの章として、
「ストアマネジメント」が位置づけられている。

スーパーマーケットの構造、
店長の役割、
部門チーフの役割、
部門間の応援、
レイバー・スケジューリングの考え方が、
荒井先生の整理で、見事に描きだされた。

私がとりわけ印象に残ったのは、
「店長は管理者、部門チーフは監督者」という表現。
チーフは作業の監督者であって、
その作業が組み合わされて売り場がつくられる。
店長は、人と作業と売場の管理者である。

だから「店長は効率を求め、チーフは能率を求める」

ストアオペレーションのカギを握るのは店長である。
「店長は、チーフからみると本部の代弁者、
本部からみると店の代弁者」

荒井先生の講義が終わると、
サミット権太坂スクエア店に移動。  

私、2008年1月18日、21日と、
このブログで、この店のレポートを書いている。
⇒  
(比較して読んでいただくと理解は深まる)  

バックヤードの休憩室で、
サミットの皆さんを紹介。

注意点など確認して、
夕方のピークタイムの店舗をチェックする。

バックヤードも整理整頓が行き届いている。

青果部門のフロントに筍の島陳列。

サミットは全店で青果が強いし、
この店も同様。
11.4%の売上高構成比。

果物の立体陳列も見事だ。

この売場が、
レイバースケジューリングプログラムによって、
実現され、監督・管理されている。

島陳列の売り場。
下段は新玉ねぎの箱売り。

夕方、6時ごろ、青果部門は補充陳列作業を続けている。

レタスの補充陳列。

ミニキャリアに載せた商品を取り出して並べる。

作業基準ができていて、
それを習得した作業者が、
淡々と作業する。
これによって、サービス残業もなく、
異常なことも起こらず、
顧客にとっては、
安心して買いやすい売場が出来上がる。

ニラの補充陳列。

売り場を適正の状態に維持するために、
青果部門はこの時間帯にも、
補充作業が組み入れられている。

ジャスト・イン・タイムでの補充が、
サミットの考えるスーパーマーケットの生命線である。

全店で「63円セール」が展開されている。

サミット創業の1963年にちなんだ創業祭。

鮮魚部門も品揃えは、ピークになっている。

鮮魚部門は9.3%の売上高構成比。

刺身3点盛り、598円。
「毎日が超特価!」

ほぼ正方形の店舗奥主通路沿いには精肉部門。
この部門が店全体の回遊性と買いやすさを左右させる。

精肉部門の売上高構成比は11.6%。

精肉は用途別と畜種別のミックスで組み立てられている。

その焼き鳥売り場。

店舗中央をオープン冷凍ケースが走る。
その冷凍食品売り場への補充陳列。

半額セールで、インパクトを与えている。

デイリー部門は20.6%と高い構成比。
加工食品が27.9%ともっとも高いが、
この2部門で48.5%。

生産性の高い部門。

この店舗の特徴だが、
カートで買い物する顧客が実に多い。

店にとっても、顧客にとっても、
非常にいいこと。

店全体の設計や陳列が、
カートショッピングに適しているから、
必然的にカートを使用する顧客が増える。

店舗右翼には惣菜部門が設けられている。
その筆頭が寿司。

惣菜は7.5%の構成比。
そしてこの時間帯の主役売り場でもある。

左翼の青果と右翼の惣菜。

両極が魅力的だから、
顧客はカートで全店を回遊する。

弁当も充実。

惣菜売り場にも焼き鳥がある。
焼き鳥は夕食のおかず。

最後に、ベーカリー。
売上構成比1.9%。
この時間帯に焼き立てのパンを提供。
これが重要。

権太坂スクエア店は、売り場面積754坪。
バックヤード面積368坪。
年商30億9000万円。
社員24名、パートタイマー70.5人。
アイテム数1万1929SKU。

そして冷蔵冷凍ケース数174台(6尺換算)、
ゴンドラ411.5台(こちらは3尺換算)。

いい店だ。
こんな店が近くにあればいいと、
素直に思う。

ここで、明日、
レイバースケジューリングの神髄が解明される。

バックヤードで、
お世話になった皆さんと写真。
右から常務執行役広報室・営業企画部担当の工藤静夫さん、
店長の寺田敏行さん、
第10ブロックマネジャーの福永智さん、
広報室マネジャーの清水則久さん。

そして高野講師と私。

今回も日本の食品小売業産業内大学に対して、
サミット㈱から大きな貢献をいただいた。

心より感謝するとともに、
この功績は後世まで確かに伝えられるし、
さらにサミットの発展にコーネル・ジャパンも、
貢献させていただかねばならないと考えている。

<明日につづきます。結城義晴>  

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.