結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年04月13日(火曜日)

井上ひさしさんの逝去と「知識商人」対談のいちやまマート社長・三科雅嗣さんの「美味安心」

井上ひさしさんが亡くなった。
享年75歳。

1969年までつづいたNHKの『ひょっこりひょうたん島』が、
井上さんの職業作家としてのデビュー作だが、
これは児童文学者の山元護久(やまもと もりひさ)さんとの共作。
山元さんは、早稲田大学童話会出身で、
この童話会は、やがて、早稲田大学少年文学会となった。
少年文学会は、私が属していた童謡研究会と兄弟関係にあり、
学生時代から山元・井上の『ひょっこりひょうたん島』は、
私たちの先輩がつくっていると誇りにしていた。

1970年には『ムーミンのテーマ』で、
第12回日本レコード大賞童謡賞を受賞している。

井上さんの座右の銘。
むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そしてゆかいなことをあくまでゆかいに  

私の文章法の基本は、
ジャーナリストの先輩でもある林廣美先生から教授された考え方。
難しいことを易しく。
易しいことを面白く。
面白いことをより深く。  

深くなると、難しくなる。

だから、繰り返す。

難しいことを易しく。
易しいことを面白く。
面白いことをより深く。  

林先生は、「もとは井上ひさしさん」とコメントされている。

井上さんの座右の銘は、
むずかしい⇒やさしい⇒ふかい⇒おもしろい
⇒まじめに⇒ゆかいに⇒あくまでゆかいに

これは、作家としての井上ひさしの信条を示す。

林先生と私のものは、問題解決的であると思う。
私は、循環するところが気に入っている。

もうひとつ、前職の時に、差別用語の問題が起こった。
私は、井上さんの『差別語のための私家版憲法十一箇条』をよりどころにして、
この問題解決に当たった。

合掌しつつ、ご冥福を祈りたい。

さて、昨日は、午後1時から東京・新宿のホテルの一室を借りて、
CDオーディオセミナー『知識商人登場!』の第21回目の収録。

毎月毎月、対談を重ねてきてもう21回。
ほとんどの対談相手は、私が決めている。
いわば私の先輩、友人、後輩との対談となっていて、
実にアットホームな雰囲気を醸し出している。
しかし、もっともっと、
バトル対談のようなものもあってよいとも思う。

今回のお相手は、
㈱いちやまマート代表取締役社長の三科雅嗣さん。  

昭和27年11月生まれの、私と同級生。
山梨県を中心に11店舗の優良なスーパーマーケットを経営する。

もちろん、私にとって旧知の友人。

旧知の友人といっても、
音声録音は、毎回、緊張する。

だからその緊張をほぐしながら、
少しずつ本題に入る。

三科さんは、父上を55歳で亡くし、
兄上は46歳で早世された。

そこで38歳の時に、社長になった。

その後、12店開設させ、
11店を閉鎖した。

だから600坪くらいが、同社の標準店となっている。

ローカル・スーパーマーケットのひとつのあり方を、
しっかりと示す企業となった。

すなわち「規模」を追いかけることなく、
「質」を追求する企業である。

いちやまマートは「食を通じて幸せをもたらす」というコンセプトを掲げる。
これには二つの考え方がある。
第一は「おいしいものを食べる」
第二は「食を通じて健康をつくる」

三科さんは、この二点に集中し、徹している。

そこで、必然的に生鮮食品を充実させた店舗づくりとなる。
さらにプライベートブランド開発に力を入れることになる。

いちやまマートブランドを開発するにあたって、
三科さんが考えたことがある。

「わが社のブランドはNBより、
おいしくなければいけない」  

NBの方がおいしいのならば、
NBを売ればいい。

自分で開発するならば、
NBとは違う特性をもつこと。
その特性を「おいしいこと」とした。
これは会社が目指すものだからである。

さらに「健康・安心・安全」を標榜し、
まず食品添加物の問題から徹底して改善した。

「わが社のお店から、
合成着色料が入っている商品を見つけたら、
1万円の賞金を差し上げます」
新聞広告にこんなチラシを打ったりした。

合成着色料、添加物、化学調味料。
徐々に、こういった食品添加物が削除され、
いちやまマートの売り場とPBは変わっていった。

しかし、三科さんは言う。
「私は80点主義なんです」  
100点は求めない。

そして3年前に美味安心というブランドが誕生した。
三科さんは、その「味の責任者」である。
プライベートブランドには、一貫した味の統一が必要だ。
これは重要なことだ。
それに、社長が責任をもつ。
しかし社長は開発のプロではない。
あくまで顧客である。

そして「味の最終意思決定者」となる。

「美味安心」は現在、220品目。
いちやまマートの店内で、
独特のポジションを築いている。

さらにこの「美味安心」を販売する仲間の企業が増えてきた。
現在、30社の地方スーパーマーケットに供給されている。

三科さんは、さらに、㈱美味安心を設立し、
東京・中目黒にパイロットショップをオープンさせた。

おしいしさ、健康・安心・安全、リーズナブル価格を、
三つの旗印にして、
美味安心ブランドの開発はつづけられている。

中目黒の店は、東急ストア本部に道路を隔てた路面店。
全品プライベートブランドの店。

三科さんとの対談も、
あっという間に時間が過ぎた。

三科さんも、ブログを書いている。
社長のトレビアン」  

2008年の夏から、ほぼ週一回ペース。
おいしさや健康・安心・安全について、
自らメッセージを発信するためだ。

さらに自分の健康についても、
研究に余念がない。

「食を通じた幸せ」を提供しようという三科さん。
私はじっくり話をして、
三科さん自身が一番幸せなんだろうと、思った。
まさしく三科さん自身が「美味安心」なのだから。

昭和27年同志の対談。
楽しい時間だった。

多謝。

<結城義晴>  

[追伸]
商人ねっと㈱CDオーディオセミナー担当の下山直美さんが、
今週をもって退職することとなった。

昨年5月の當仲寛哲さんとの対談のころ、
商人ねっとに入社し、
このプロジェクトに参加したから、
ちょうど1年になる。
寿退社ということだから、
これはお目出度いことなのだろうが、
せっかく編集技術など高まってきたのに、
まことに残念ではある。

お幸せに。

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.