今日も全国的に雨。
野菜の値段は高止まり。
ゴールデンウィーク明けまでは、
この状態が続くという予想がある。
一般顧客は、困っている。
外食産業も、深刻になってきた。
小売業は、その分、いい商売だ。
今、書店に並んでいる私の本。
『小売業界大研究』
「小売業は、いい仕事」
「小売業は、素晴らしいビジネス」
こんなことを根本の主張にするだけでなく、
できる限り、各章に散りばめた。
小売業に若い人が入ってきてほしいし、
小売業に入ってきた若い人を励ましたかったから。
さて、その小売り各社。
規格外野菜を積極的に売り始めた。
農林水産省の緊急調査。
4月12日~4月16日の主要野菜の小売価格。
都道府県別に10店舗の総合スーパー、スーパーマーケット、
都合470店舗において、7品目の定番店頭価格を調べた。
だから、特売品、規格外品は除かれている。
1キロ換算の価格。
キャベツ232円(平年比20%高)、
ネギ737円(21%高)、
レタス569円(44%高)、
キュウリ519円(17%高)、
ナス649円(22%高)、
トマト725円(15%高)、
馬鈴薯348円(20%高)。
平均2割は高い。
レタスなど4割以上の高騰。
だから規格外を積極的に集荷し、
販売合戦が繰り広げられる。
しかし、テレビや一般紙には、
イオンやセブン&アイばかり取り上げられる。
今朝のテレビでも、赤松農林水産大臣が、
イオンのジャスコ品川シーサイド店を訪問している映像を流した。
岡田元也社長もしっかりと映っていた。
かつてこんな報道のときは、
決まってダイエー碑文谷店だった。
一番であること、
そして国会やテレビ局から近いこと。
その条件を満たしている総合スーパーが、
現在は、品川のジャスコということになる。
しかし、イオンやセブン&アイばかりが、
野菜の低価格販売をしているのではない。
全国のスーパーマーケットや生協でも、
地域ごとの協力態勢で、「規格外」を提供している。
それが、もっと注目されてよい。
それをもっともっと発信すべきだ。
各団体・各協会の仕事だと思う。
さらに日常的に、規格外ではあっても、
鮮度・品質に問題のない野菜の流通は、
考えられてしかるべきだろう。
さて、百貨店とコンビニの3月実績。
日本百貨店協会の発表では、
86社・268店舗の売上総額は前年同月比3.5%減。
約5436億円。25カ月連続マイナス。
「店頭には活気が出てきた」という評価がある。
だから伸びた分野もある。
商品券が前年同月比で11.4%プラス。
家庭用品は3.2%プラス、
家電は3.5%プラス。
逆にずっと伸びていた「サービス」がマイナス10.5%。
衣料品はマイナス5.0%で、食品も2.1%のマイナス。
まだまだ本格的な回復には至っていない。
一方、日本フランチャイズチェーン協会の発表。
コンビニエンスストア10社。
既存店ベースの売上高は前年同月比4.9%マイナス。
これは10カ月連続。
全店売上高は前年同月比2.6%マイナス。
9カ月連続。
総売上高は6453億5000万円。
店舗数は4万2815店と1.9%増えたが、
客数は0.4%プラス。
日本のコンビニ10社に来店する1カ月の顧客は、
11億2555万人。
凄いことです。
商品構成別の売上げで伸びているのはなぜか、
非食品で1.2%のプラス。
百貨店でもコンビニでも、
伸びる商品カテゴリーが、
少しずつ変わってきている。
小さな変化が大きな変貌の予兆となる。
そんな予感がする。
この後、日本チェーンストア協会の3月実績が発表されるが、
来月からは、日本の食品スーパーマーケットの3協会合同で、
その月次実績数値が集計され、発表される。
大いに期待したいものだ。
野菜高騰に対応する小売業のニュース。
月間の実績数値。
1社2社で実施されることよりも、
全体で実行されることのほうが、
社会的な影響は大きい。
その全体でのアクションをまとめて、
世論に訴える。
それが「産業」としての地位を向上させることになる。
ヘンリー・ミンツバーグの『マネジャーの仕事』という本の中に、
マネジャーの役割が10、出てくる。
そのひとつが、
「スポークスマンとしてのマネジャー」。
ミンツバーグは、マネジャーの中に、
社長やトップマネジメントを含めて論じているが、
自社のスポークスマンであると同時に、
業界のスポークスマンであり、産業全体のスポークスマンである人。
そんな人々がどんどん登場してもらいたいものだと思う。
コーネル大学ジャパンの卒業生は、
そんなトップマネジメントになってほしいものだ。
「沈黙は金、雄弁は銀」などといわれたが、
現代の知識商人は「雄弁は金」でなければならない。
協会も団体も、
その長もその事務方も、
「雄弁は金」の時代が来たことを、
強く自覚しなければならない。
<結城義晴>