気象庁が発表した5・6・7月の天気予報。
5月は北海道・東北を除いて「ほぼ平年並み」というから、一安心。
しかし、北日本は5月も例年より寒い。
冷夏を迎える可能性もある。
気象庁は「農作物の管理に注意」を喚起している。
梅雨は、沖縄・奄美地方が6月から、
西日本と東日本は、7月から。
先月から寒暖の差が大きい。
寒気と暖気が日本列島のうえでぶつかっている。
だから雨が降り、日照が少なくなる。
昨日から、ゴールデンウィークまで、
全国的に気温が低くなってくる。
昔から、漁師や猟師、農民の中に、
天候の変化を読み取ることに長けた人がいた。
今年は商人も、
天候の読みに長けた人が活躍するに違いない。
空模様や気温の変化を読み取る能力、
自然・天然の変化を感じ取る感性が、
小売業・サービス業に従事する人に必要な能力となる。
さて、日本チェーンストア協会の加盟企業の実績発表。
二つある。
第一は昨2009年度の1年間の実績。
既存店ベースで、前年度比4.4%マイナスだった。
これは13年連続ダウン。
年商12兆6959億円で、
売上高13兆円割れは1988年度以来というから、
バブル崩壊前までさかのぼる21年ぶりのこと。
商品別に見ると、予想通り衣料品が9.5%マイナス。
住居関連商品も4.5%マイナス。
食料品まで、3.4%マイナスで、
これも3年ぶりに減少。
第二の発表は、3月の実績。
既存店ベース売上高は前年同月比6.6%マイナス。
16カ月連続ダウン。
小笠原荘一日本チェーンストア協会常務理事の発言。
「消費者の生活防衛意識は強く、厳しい状況が続く」
同協会は主に総合スーパーを中心としている。
この業態そのものの盛衰が、この数字に表れている。
商業統計を時系列にたどると、
平成3年 7,033,787(百万円)
平成6年 8,069,330
平成9年 8,986,997
平成11年 8,264,234
平成14年 8,061,796
平成16年 7,949,605
平成19年 6,959,181
総合スーパーはすでに、平成9年(1997年)にピークを迎えていた。
それが根本の問題だと思う。
その象徴として、ダイエーが苦境にある。
2009年度の年商はとうとう1兆円を切った。
昭和54年に「1兆吉兆」と日本初の一兆円を超えたあの時から、
30年超。
私も、西宮のフォルクスで一兆円達成の瞬間を同時体験したが、
感慨深いものがある。
「中内功さんが生きていたら、泣くね」
飯能の流通仙人・杉山昭次郎先生が、
いま、後ろの席でつぶやいた。
ダイエーの2009年度連結決算は、
売上高が9768億円で前期比6%マイナス。
営業損益は11億円の赤字、
経常損益も47億円の赤字。
最終損益は、なんと118億円の赤字。
これは不採算店の減損損失による。
既存店の売上高は5%のマイナス。
粗利益率も0.4%ダウン。
桑原道夫次期社長は前丸紅副社長だが、
そのもとで「将来ビジョンを考えるタスクフォース」が発足したというが、
総合スーパーからの完全脱皮が最大の課題となる。
ただし、総合スーパの投資は巨大なものがあって、
そうそう簡単に転換できない。
それが最大の悩みの種となっている。
倉本長治の言葉。
「不況は商人をきたえる」
「売れないことを不況のせいにするのは、
よく売れる時代を自分の成果にする権利を放棄したことになる」
「不況期にこそ、消費者に得をさせ、
この店こそ私たちの店と信じられるようにする好機である」
「悩まなければ人間の魂は成長しない。
不況に遭わない店には、永遠に大成はない」
「艱難が人を磨くように、不況は商人をきたえる」
(倉本長治『商業界20年』より)
こちらは『新約聖書・ローマ人への手紙5章』
「艱難が忍耐を生み出し、
忍耐が練達(練られた品性)を生み出し、
練達が希望を生み出す。
この希望は失望に終わることがない」
[注]「練達」とは練られた品性のこと。
「この希望は失望に変わることはない」
私は、ここ大が好きだ。
ダイエーにもお恵みがありますように。
<結城義晴>