アメリカにやって来てから1週間。
ネバダ州ラスベガス。
ホテル・フラミンゴ。
外は快晴のように見えて、
5月末のラスベガスにしては、
驚くほど寒い。
そのころ日本の成田空港。
㈱商人者エグゼクティブ・コーディネーター鈴木敏さんの引率のもと、
第7回商人舎USAベーシック視察研修会一行は、結団式。
そして全員で記念写真。
私はテキサス、ニューヨークからラスベガスに移動し、
一行とともに浅野秀二先生と合流。
すぐさま訪れたのが、ウォルマート。
2009年度年商4056億ドル(100円換算で40兆円)、
世界の店舗数7873店。
その4月リニューアルオープンの最新店。
入口には、このブログではもうおなじみの大パネル。
「Thousands of Rollbacks」
店づくりもさらに洗練された。
店舗中央には天井にダクトが通っている。
食品部門の天井は、やや高く。
非食品部門の天井は、低くて、
まるでライバルのターゲットのよう。
しかし商品は適切にアソートメントされ、
オペレーションは行き届いている。
このラスベガスエリアでのシェアは、
グループ全体で25.4%。
毎年、占拠率が上がって、
現在、第2位。
テキサス州ダラスでは、34.5%で断トツの第1位。
ここ、ラスベガスでは1位を追う者。
ウォルマートは、追うときに強い。
上出来の店に「数千の風」が展開され、
この店も絶好調。
私たちが次に訪れたのは、スミス。
全米第二位の小売業クローガーの傘下で、
ここアリゾナ州での店舗展開はスミスが担当している。
クローガーは、年商760億ドル(7兆6000億円)、
スーパーマーケットの総店舗数2469店。
このエリアでは、マーケットシェア25.9%で、
ウォルマートを抑えて第1位。
すごい企業であることは間違いないが、
このスミスのフード&ドラッグは、かつての主流タイプで、
現在は、どうしようもなく、古い印象。
アメリカの顧客は、手厳しい。
ウォルマートやターゲット、コストコといった低価格路線の店舗と、
ホールフーズ・マーケットに代表されるまったく新しい店との間の、
中途半端なものは許さない。
私の視察研修会では、ほとんど必ず、
地域シェア第1位と第2位の企業の店舗から視察を始める。
それが地域のスタンダードを形成しているからだ。
今回の「Basic編」原理原則講座でも、
この方針は変わらない。
その成果はツアー全体を通じて表れてくる。
ホテルに戻って、夕方6時半から講義。
3時間のところ、30分ほど延長して、
10時近くに終了。
サンプルを持ち込んで、丁寧な解説。
原理原則編というのは、最も難しい講義。
しかしよく聞いてくれてた。
ベーシック編では、5つのチームに分かれて、
調査をし、発表してもらう。
それが一番よいのだと思っている。
今回初めて展開したベーシック編。
はじめの言葉の第一は、
創意を尊びつつ良いことは真似ろ。
ご存知、倉本長治の『商売十訓』
これがアメリカでの根本の姿勢となる。
第二は井上ひさし&林廣美、結城義晴。
「むずかいしいことをやさしく。
やさしいことをおもしろく。
おもしろいことをよりふかく」
商人舎のモットー。
今月5月の標語でもある。
第三はピーター・ドラッカー。
「基本と原則を補助線にせよ」
これもアメリカに臨むときの姿勢。
これまでの原理原則を補助線として、
アメリカ小売業をポスト・モダンの視点からとらえる。
そして第4は、「虫の目」「鳥の目」「魚の目」
「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。
「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。
「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。
そして、「四つ目の目」は、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。
これらが成果となって表れるにちがいない。
明日、明後日は、怒涛の視察コース。
そして調査のまとめ、討議。
最後に発表。
この発表の成果を全員で共有して、
このセミナーは目的を達成する。
本当に楽しみだ。
乞う、ご期待。
(明日につづきます)
<結城義晴>