Everybody! Good Monday! [vol21]
2010年第21週、5月の第5週です。
5月は6つの週にまたがっていて、
だから今週は5月第5週で、しかし最終週ではない。
大相撲の大関・魁皇が通算1000勝。
私、最近「1000」という数字に敏感だ。
これで魁皇は、史上2番目の記録達成者。
元横綱・千代の富 士の1045勝に次ぐ4ケタ勝利者。
双葉山も大鵬も、ここまでは来ていない。
そして一番まで、あと45勝。
毎場所10勝ずつ稼いだとして、5場所でトップ達成。
現在は年間6場所制だから、1年以内に実現する可能性が出てきた。
こういった記録において、本当に大変なのは、
これから最後の詰めの段階。
富士登山でも8合目からが一番大変。
魁皇にとっては、敵は己の怪我のみ。
魁皇の初土俵は昭和63年春場所。
出身は福岡県直方市、私の同郷。
同期には貴乃花・若乃花、曙などそうそうたる顔触れが揃っていて、
「花の63組」といわれた。
横綱にはならなかったが、
通算勝利数で同期のスターたちを抜いた喜びは、
ひとしおのものだと思う。
怪我をしても、病気をしても、負けが込んでも、
一つひとつ階段を上るように、毎日毎日、努力する。
仕事でも事業でも、
これが一番。
私のブログも。
一足飛びの飛躍は、
そうそうあるものではない。
「破壊的イノベーション」は起こりにくく、他力本願の要素も大。
「継続的イノベーション」は自ら生み出せる自力本願。
今週も、自力本願で、仕事に励みたい。
さて私は、フラミンゴ・ラスベガス。
久しぶりのひとり旅を満喫。
今日の午後、商人舎Basic視察研修会の面々が到着する。
総勢49名の大所帯。
このラスベガスに居座って、
ストア・ウォッチングとストア・コンパリゾンを繰り広げる。
私の講義時間は、3時間を2回。
さらにバスの中でも浅野秀二先生と交互に語りつづける。
「虫の目」「鳥の目」「魚の目」。
Basicコースでは、「虫の目」の考え方、使い方も研修する。
それが原理原則コースの趣旨の一つ。
さてこれまでの1週間のアメリカ小売業・消費産業動向のおさらい。
まず、ウォルマートが中心にいることは間違いない。
世界最大の消費大国のメリーゴーランドの軸は、
ウォルマート。
そのウォルマートが「Thousands of Rollbacks」を展開。
3月末から始めて、もう2カ月になろうとしている。
結果として、2月1日から始まった2011年度の第1四半期決算は、
売上高が前年同期比6.0%増の935億ドル、純利益33億ドル。
きっちり3カ月で9兆3500億円の売上高(1ドル100円換算)、
日本でいう営業利益が1カ月平均1100億円で、第1四半期3300億円。
売上高、利益過去最高のクォーター記録。
マイク・デュークCEOは「プロジェクト・インパクト戦略」の成果を強調。
その中心的な政策が「Thousands of Rollbacks」。
「何千もの値下げ」
『千の風になって』という歌があるが、
原詩には “I am a thousand winds that blow” とある。
それをウォルマートは、「Thousands」とした。
数千のロールバックの風が今、
数千のウォルマート店頭から発信され、
アメリカ中を吹き荒れている。
この数千の風に立ち向かう者は、吹き飛ばされる。
「レッド・オーシャン」だからである。
チャン・キムとレネ・モボリュニュがいう「ブルー・オーシャン」を行く者には、
数千の風の影響が少ない。
あるいは、影響が全くない。
むしろこの風を追い風としている。
コストコ、
アルディは、
ユニット価格がウォルマート以上に低価だから、
ものすごい追い風となる。
トレーダー・ジョーは「良いものが安い」から、
これまたすごい追い風。
ちなみにトレーダー・ジョーこそ、
現代のエブリデー・ロープライス実現者。
こうみると基本的にエブリデー・ロープライス政策をとる者に、
追い風が吹いていることになる。
一方、ホールフーズは、「価値の高いものを値下げした」。
ハイ&ローでは、特別の価値を有する者が、
顧客マインドに合わせて営業政策を変えることで、
この「数千の風」を追い風としている。
Walmartの「Thousands of Rollbacks」。
ウォルマート流「「千の風となって」。
ただしここでいう「エブリデー・ロープライス」は、
単なる安売りではない。
バッタ仕入れのその場だけの廉価販売ではない。
仕組みに よって、低価格を出し続け、
サプライヤー、リテイラー、カスタマー、
三者にご利益をもたらすことである。
千でなくともよい。
百でも、十でも、
たとえ一でもいい。
エブリデー・ロープライスである必要はない。
オーガニックであることもない。
サプライヤー、リテイラー、カスタマー。
三者ともにご利益のあずかれる価値を生み出す風。
ウォルマートはそれを、
自身のアイデンティティそのもので生み出しているのだ。
あなたは、
「風になれるか?」
「風にのれるか?」
では、今週も。
Everybody! Good Monday!
(明日につづきます)
<結城義晴>