結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年05月24日(月曜日)

ウォルマートの「数千の値下げ」の風に影響されぬ者たち

Everybody! Good Monday! [vol21]

2010年第21週、5月の第5週です。
5月は6つの週にまたがっていて、
だから今週は5月第5週で、しかし最終週ではない。

大相撲の大関・魁皇が通算1000勝。
私、最近「1000」という数字に敏感だ。

これで魁皇は、史上2番目の記録達成者。
元横綱・千代の富 士の1045勝に次ぐ4ケタ勝利者。
双葉山も大鵬も、ここまでは来ていない。
そして一番まで、あと45勝。

毎場所10勝ずつ稼いだとして、5場所でトップ達成。
現在は年間6場所制だから、1年以内に実現する可能性が出てきた。

こういった記録において、本当に大変なのは、
これから最後の詰めの段階。
富士登山でも8合目からが一番大変。
魁皇にとっては、敵は己の怪我のみ。

魁皇の初土俵は昭和63年春場所。
出身は福岡県直方市、私の同郷。

同期には貴乃花・若乃花、曙などそうそうたる顔触れが揃っていて、
「花の63組」といわれた。
横綱にはならなかったが、
通算勝利数で同期のスターたちを抜いた喜びは、
ひとしおのものだと思う。

怪我をしても、病気をしても、負けが込んでも、
一つひとつ階段を上るように、毎日毎日、努力する。

仕事でも事業でも、
これが一番。

私のブログも。

一足飛びの飛躍は、
そうそうあるものではない。

「破壊的イノベーション」は起こりにくく、他力本願の要素も大。
「継続的イノベーション」は自ら生み出せる自力本願。

今週も、自力本願で、仕事に励みたい。

さて私は、フラミンゴ・ラスベガス。
久しぶりのひとり旅を満喫。

今日の午後、商人舎Basic視察研修会の面々が到着する。
総勢49名の大所帯。

このラスベガスに居座って、
ストア・ウォッチングとストア・コンパリゾンを繰り広げる。
私の講義時間は、3時間を2回。
さらにバスの中でも浅野秀二先生と交互に語りつづける。

「虫の目」「鳥の目」「魚の目」。
Basicコースでは、「虫の目」の考え方、使い方も研修する。
それが原理原則コースの趣旨の一つ。
さてこれまでの1週間のアメリカ小売業・消費産業動向のおさらい。

まず、ウォルマートが中心にいることは間違いない。
世界最大の消費大国のメリーゴーランドの軸は、
ウォルマート。

そのウォルマートが「Thousands of Rollbacks」を展開。

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3月末から始めて、もう2カ月になろうとしている。

結果として、2月1日から始まった2011年度の第1四半期決算は、
売上高が前年同期比6.0%増の935億ドル、純利益33億ドル。
きっちり3カ月で9兆3500億円の売上高(1ドル100円換算)、
日本でいう営業利益が1カ月平均1100億円で、第1四半期3300億円。
売上高、利益過去最高のクォーター記録。

マイク・デュークCEOは「プロジェクト・インパクト戦略」の成果を強調。

その中心的な政策が「Thousands of Rollbacks」。
「何千もの値下げ」

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千の風になってという歌があるが、
原詩には “I am a thousand winds that blow” とある。
それをウォルマートは、「Thousands」とした。

数千のロールバックの風が今、
数千のウォルマート店頭から発信され、
アメリカ中を吹き荒れている。

この数千の風に立ち向かう者は、吹き飛ばされる。
「レッド・オーシャン」だからである。

チャン・キムとレネ・モボリュニュがいう「ブルー・オーシャン」を行く者には、
数千の風の影響が少ない。
あるいは、影響が全くない。

むしろこの風を追い風としている。

コストコ、
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アルディは、
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ユニット価格がウォルマート以上に低価だから、
ものすごい追い風となる。

トレーダー・ジョーは「良いものが安い」から、
これまたすごい追い風。
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ちなみにトレーダー・ジョーこそ、
現代のエブリデー・ロープライス実現者。

こうみると基本的にエブリデー・ロープライス政策をとる者に、
追い風が吹いていることになる。

一方、ホールフーズは、「価値の高いものを値下げした」。

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ハイ&ローでは、特別の価値を有する者が、
顧客マインドに合わせて営業政策を変えることで、
この「数千の風」を追い風としている。

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Walmartの「Thousands of Rollbacks」。
ウォルマート流「「千の風となって」。

ただしここでいう「エブリデー・ロープライス」は、
単なる安売りではない。
バッタ仕入れのその場だけの廉価販売ではない。

仕組みに よって、低価格を出し続け、
サプライヤー、リテイラー、カスタマー、
三者にご利益をもたらすことである。

千でなくともよい。
百でも、十でも、
たとえ一でもいい。

エブリデー・ロープライスである必要はない。
オーガニックであることもない。
サプライヤー、リテイラー、カスタマー。
三者ともにご利益のあずかれる価値を生み出す風。

ウォルマートはそれを、
自身のアイデンティティそのもので生み出しているのだ。
あなたは、
「風になれるか?」
「風にのれるか?」

では、今週も。

Everybody! Good Monday!

(明日につづきます)

<結城義晴>

2010年05月23日(日曜日)

ジジと「鳥の目」[2010日曜版vol21]

ユウキヨシハルのおとうさん、
シュッチョーです。

とおいところ。

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テキサスのダラス。

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それからニューヨーク・マンハッタン。

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ボクは、おるすばん。
いつものことだけど。

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ニューヨークに来たら、ここ。
スチュー・レオナード。
その「ポリシー・ロック」。

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Rule1  The Customer is Always Right!

Rule2  If the Customer is Ever Wrong, Reread Rule1.

原則1 顧客はいつも正しい。

原則2 たとえ、顧客が間違っていると思っても、

原則1を読み返せ。

ユニオンひろば。
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たかいビルもある。
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でも、きのうで、
ニューヨークは、
おわり。

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あさ、ホテルをしゅっぱつ。
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さいごに、バスのなかで、
みんなとおわかれ。

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みなさんありがとう。
また、ごいっしょしましょう。


それからこんどは、ひとりたび。
また「鳥の目になって、
とびました。

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大西洋。
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 山と川。

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 グランド・キャニオン。

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これはちょっと、すごい。
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アメリカって、ひろい。

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またおおきくて、ふかい川。
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そして渓谷がみえてきた。
ラスベガス渓谷。

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ながい旅のはなしをきいていると、
ボクはねむくなります。

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ラスベガスのショッピングセンター。
おとうさんがめざすのは、ここ。

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サバクのなかの渓谷のまち。
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やっと、つきました。
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空港のロビーに、スロットマシン。
ここまで、やります。

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ラスベガスから、カンゲーされた。
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街は、カラリとはれあがる。
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おへやもゆったり。
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おとうさん、
おちついてください。
ゆっくりしてください。
つかれきってるんだから。

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でも、そうではなかった。
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リオ・セッコ。
ゴルフクラブ。

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おとうさんは、ひとりでも、いきます。
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でも、いいでしょう。
しごとばかりしてるんだから。
おとうさんのごほうびです。

げんきで、
かえってきてください。

ボクは、まってます。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2010年05月22日(土曜日)

13店を駆け回った「ダラスの熱い日」と「ロールバックの嵐」

今、ニューヨーク時間午前6時半。

このブログを書き終わったら、
セントラルパークでも散歩しようか。

とにかく疲れた。
万代ドライデイリー会の面々は、
帰国の日となってしまった。

テキサスからニューヨークにやってくると、
あっという間に時間は過ぎる。

ニューヨーク人は、こんなに、せっかちに動くのか。
こんなにスピーディな時間の中に身を置いているのか。

ここにやってくると私たちも、
ニューヨーク人と同じ感覚になってしまうのか。

それとも旅の終わりは、短く感じられるのか。

もし旅の終わりのほうだとすると、
人生の旅の終わりも、
こんなふうに疾風のように過ぎてゆくのか。

ニューヨークという街は、
そんなことを私に考えさせる。

さて、そのニューヨークを去る前に、
ブログはテキサス州ダラスでのエピソード紹介。
大事なこと、面白いことがたくさんあったが、
その一端をお披露目しておこう。

まず何と言っても、ウォルマート。
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ロールバックの嵐。
ロールバック攻勢に出ている。

名づけて「Thousands of Rollbacks」
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ウォルマートはエブリデーロープライスを基本とする。
その基本方針の上に、ハイ&ローを一部、混ぜる。
それがロールバック。

しかしいま、2か月にもわたって、
「ロールバックの嵐」を巻き起こしている。
当然ながら、周りには凄い影響が出ている。

その真相は、この旅の終わりに解明しよう。

さて、ウォルマートの環境対策店舗のマッキーニ店で、
佐藤雄介さん、32歳に出会った。

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西友から出向で、研修に来ているとのこと。

㈱万代の黒田久徳さんと3人で写真。
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佐藤さんは、㈱若菜に入社し、現在はウォルマートに出向中。

この店ではアシスタントマネジャーとして研修を受けている。

マネジャーは31歳のクリスさん。

佐藤さんは、他のアソシエーツから本当によく声をかけられるし、
自身も声をかける。

溶け込んでいる。

楽しみな人だ。
さて、そのウォルマートの攻勢に対して、
有力ナショナルチェーンはいかに。

スーパーマーケット業界第二位のセーフウェイ。
ダラス地区では「トムサム」が頑張っている。
ニューライフスタイルストア。
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店舗入り口で、価格比較。

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相手はアルバートソン。

同じ商品を同じ量買うと、
トムサムならばアルバートソンよりも、
「21ドル90セント」節約できる。

「Wow!」とある。
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ウォルマートでなく、アルバートソンを狙い撃ちしているところが、
セーフウェイの現状を表している。

では、クローガーはどうか。
全米第二位の小売業でスーパーマーケット第1位。
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これがひどい。
特にこのダラス・プラノ地区では。
「メイン・ストリーム」と呼ばれる主流の店づくりや営業政策は、
もう、消費者たちから無視され、拒否されてしまっている。

それに気づかぬはずはない。
気づいても、全軍を動かせないのだと思う。

「店が死んでいる」  

死んだ店に「卵1パック88セント」の立て看板。
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この卵だけが、唯一売れている。
しかし店は瀕死の状態。

「2年前から、まったく変わっていませんね」
万代の黒田さんがつぶやいた。
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アルバートソンが三分割される寸前には、
こんな状態が続いた。

私はそれを『販売革新』誌に書いた。

いま、クローガーのこのエリアの店が、
あの時のアルバートソンのようになっている。

そこにウォルマートの「ロールバックの嵐」。

弱いところを叩きまくる。

それがアメリカのカットスロート・コンペティッション。
ただ単に競争が激しいのではない。
弱い企業、弱っている店を、徹底して叩く。
それが「喉をかき切る競争」の本質だ。
そうしなければ自分が生き残れないからである。

一方、サンアントニオからやってきたHEBセントラルマーケット。

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「ラ・ボッカ」で迎えてくれた。

アルゼンチン大特集中。

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店員さんも笑顔を投げかけてくれた。

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「ノー・ピクチャー!」だけれど。

しかし屋外では「ピクチャー・オーケー」。
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なぜかおそろいのポーズ。
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カメラのレンズの先は、
「スプラウツ・ファーマーズマーケット」  dscn4301-2.jpg

ファ-マーズマーケットのフォーマットも完成されつつあって、
安定した顧客を確保している。
少なくともクローガーよりも確かだ。
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考えされられることは、多い。

競争とは。
その中で自分のポジションを築き、確保することとは。

少なくとも、規模の大きさでないことははっきりしている。
こんなことを思いながら、
夜は「モートンズ」でステーキ。
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お疲れ様。

我々よりも、この地の商業者のほうが疲れているに違いない。

何しろウォルマートの「ロールバックの嵐」の真っ只中で、
仕事しているのだから。
(明日に続きます)  

<結城義晴>  

2010年05月21日(金曜日)

テキサスからニューヨークへの「鳥の目」

オースティンから、
鳥のように飛び立った。

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ここは田園地帯。

それから1時間後、ダラスへ。

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そのサバ―バンエリア。

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典型的な新興住宅地。

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道路網が整備されている。

特にダラスは。

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土地が余っている。

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エイリアンが描いた絵のよう。

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いや、人間が描いたもの。

その中をフリーウェイが走る。

新興住宅地サバーバンの中に小型商業集積。
ネイバーフッドショッピングセンター。

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スーパーマーケットが核となった商業集積。
住宅に囲まれた理想的立地。

こちらはリージョナルショッピングセンター。
大型商業集積で、エンクローズドモール。
すなわち屋根付きショッピングセンター。dscn4277-3.jpg

「鳥の目」で見るとよくわかる。

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商業施設の周囲を広大な駐車場が取り囲む。
だからどこからでも目的の店に行くことができる。
極めて理にかなった便利さがある。

物流センターも。dscn4275-3.jpg

立体交差も。dscn4279-3.jpg

ダラス空港で、ミゾグチ先生とお別れ。

再会を約して固い握手。

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3時間後、ニューヨークへ。
写真の中央に小さく「自由の女神」。

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マンハッタンが近づいてくる。

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ほら見えた世界最高峰のビル群。

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マンハッタンの南端。dscn4431-3.jpg

そして高層ビルの街の北側へ。
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その周辺に広がる住宅密集地。

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その中に降り立つ。

ご存知フェアウェイマーケット。

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自由の女神は、驚くほど近くに見えた。

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全員で写真。

背景に自由の女神が見える。

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旅は続く。

「鳥の目」の大切さを知った。

もちろん「虫の目」も、

そして「魚の目」も大切。

しかし、何よりも「心の目」。

(明日に続きます) 

<結城義晴>   

2010年05月20日(木曜日)

ローカルスーパーマーケットHEBの新店にスーパーセンターの可能性を見る

テキサスに入って三晩。

あっという間に過ぎた。

こうして浦島太郎になってしまうのかという錯覚すら覚える。
さて昨日の続き。

HEBの最新店に訪れた。

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私はこの店を名付けた。

「HEBプラス・マイナス」  

HEBの正式名称は、
HEバット・グロサリー・カンパニー。

年商150億ドル(1ドル100円換算で1兆5000億円)、
店舗数317、従業員4万5000人のテキサス有数の企業。

1905年の創業で、フローレンス・バットという女性が夫とともに、
テキサス州カービルで総合食品店を開いたのが始まり。
グロサリーストアといった。

その息子のハワード・バット、孫のチャールズ・バットと受け継がれ、
順調に成長してきたが、100億ドルを超えるにもかかわらず、
非上場。

そのHEBの「対ウォルマート作戦」のフォーマットが、
このHEBプラス。

入口をはいってみよう。

「カート・フォー・カート」と掲示がある。
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反対には「アイル・フォー・アイル」

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全ての通路にカートで入って、買物しよう。
ほかにこんなに安い店はない。

そんなアピールがある。

まず、HEBの最有力部門の青果。dscn4230-3.jpg

いかがだろう。
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青果部門の面積の広さ、品目の多さ、その鮮度、価格で、
スーパーマーケットの勝負は決まる。
圧倒的なパワーの青果売り場。

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これでは、ウォルマートもかなわない。
そう、ウォルマート対策の第一は生鮮、とりわけ青果である。

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HEB はこの店でもそれを見せつけている。

だからバナナもこんなに売れている。dscn4231-3.jpg

青果から鮮魚、精肉の対面売り場へ。dscn4234-3.jpg

ウォルマートはこの部門、対面では売らない。
ウォルマートと違うことができるか否か。
それが「ウォルマート対策」

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このエリアはメキシコ系アメリカ人が多く住む。
だから精肉の対面売り場は、メキシカン仕様。
良くできている。

ベーカリーの売り場にも、トルティーヤが積み上げられている。dscn4232-3.jpg

デリの売り場。

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バックヤードに入ると、なんと珍しいコンベア方式。

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リーチインケースには乳製品、冷凍食品。
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広い通路上には、アイランドディスプレイ。dscn4236-3.jpg

ロープライスを訴求するプライスカード。
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さてこの店。
HEBプラスの、弱点だった非食品を絞り込んだ。

だからHEBプラス・マイナス。
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パレット陳列の迫力。
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家庭用品もライン陳列で美しい。
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ビューティケア売場。
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季節の花が並ぶ売場。
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衣料も価格訴求の投げ入れ陳列。
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POPやサインもわかりやすい。
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ファーマシー売場。
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レジ前の通路は広い。店内はローコストなつくり。
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さてこの店。
HEBプラスの弱かった非食品をカットした。

だからHEBプラス・マイナス。
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すごく良くなって、
これならもう「スーパーセンター」と呼べる。

現在、スーパーセンターは、ウォルマートとターゲット。

ウォルマートはハードライン出身のスーパーセンター。

ダーゲットはソフトライン出身のスーパーセンター。

なぜか食品出身のスーパーセンターはない。

HEBのプラス・マイナス。

これが食品出身のスーパーセンターになるかもしれない。

私はそんなことを思った。

ちょっとほめすぎたかもしれない。

なにしろローカルチェーンには、
アメリカでも、日本でも頑張ってもらわねばならないからだ。

[続きます]
<結城義晴>

2010年05月19日(水曜日)

ホールフーズ旗艦店とHEBセントラルマーケット写真報告と現状分析

日本からアメリカにやってくる。
初日は、実に長い。

日本で出発の朝、6時に起床すると仮定しよう。
今回の私のように、正午近くの便に乗って11時間半。
すると例えばダラスの午前9時ごろに到着。
それからオースティンなどに乗り換えてやってくると、
正午過ぎになる。
この時間は日本では、深夜の2時過ぎ。

そこから視察をして、
夕方にホテルに入り、
セミナーで語り、
夕食をとって、
酒を飲み、
部屋に帰って、
ブログを書く。
夜の12時に書き終わったとして、
日本時間は午後2時。

日本からのフライトの中で、
少しでも寝ておかないと、
32時間くらいぶっ続けで起きていることになる。

私の場合、飛行機で少し寝る。
1時間か2時間くらいか。

あとは起きている。

しかし、アメリカに来て初日に頑張って、
その晩、ぐっすりと寝ると、
まったく元気に動き続けることができる。

ところが今回は、違った。
初日夜には、すんなりブログを書いたが、
その後も部屋で仕事をした。
結局、テキサス時間午前4時に寝た。
そして7時前に起きた。

それでも、バスの中でも語り続け、
店舗はくまなく見て歩き、
時にはインタビューし、
質問に答え、
何より頭をフル活動して、
考察する。

アメリカが私に、
異様な刺激を与えてくれる。

さて、そんな長い初日の次の日。

オースティンは、からりと晴れ上がった。
いや、灼熱の夏のような気候。

朝、8時出発で、まず、
ホールフーズの旗艦店を再訪。  

陳列作業が終了していて、
見事の一言。

ホールフーズの2009年実績。

売上高80億3200万ドル。
100円で円換算すると8032億円。
伸び率は0.9%と落ち込んだ。

2008年はワイルドオーツを買収したから20.6%伸びた。

既存店伸び率は、マイナス 3.1%。
これもピークの2004年度には20.8%もの劇的伸長率を示した。

粗利益率は、34.3で堅持。

純利益は1億4700万ドル、147億円。

期末店舗数は、284で、
期中新店15、閉鎖店6。
この面ではノーマルな成長。
しかし現場には明らかに活気が戻っている。

CEOのジョン・マッケイが「基本に戻ろう」と呼び掛け、
アソシエーツがそれに応えた。
写真でお楽しみいただこう。

本社の下の旗艦店。
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店を入ると圧巻の青果部門。
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朝8時、開店時品揃え100%が完成していた。
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葉物野菜とニンジンを組み合わせた典型的な前進立体陳列。
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オーガニック野菜もピンピンとしていて、美しい売り場になっている。
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下段キャベツの陳列。見てください。

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青果部門はワンウェイコントロールになっている。
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これも美しい前進立体陳列。
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バナナは必ず青果部門の最後にある。
マグネットの役割を果たす。

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天井は高く、ダクトがむき出しだが、ホールフーズらしく、美しい。
プロペラ方式のファンがゆっくりと回っている。
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鮮魚売り場は作業通路が一段と高くなっている対面方式。
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氷の上に生魚を美しく並べる。
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スモークシーフード売り場。
この商品が美味。
そのうえサンプルを要求すると、いやな顔一つ見せず、
本当にどれでも食べさせてくれる。
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シーフードの前にはフードコート。店内主要カテゴリーの前には、
必ずフードコートが設けられている。
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広い通路と美しい店内、美しい商品陳列。そのなかで試食もするが、
完食もしてもらう。
それがホールフーズの政策。

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オーガニック満載の乳製品売り場。
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そして精肉部門に続く。ここにもフードコートがある。
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精肉も対面売り場で、顧客の注文に応える。
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コーヒーの売り場。
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コーヒーからケーキ、菓子の対面売り場につながる。
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ビールは専用のセラーがあって、冷やして売られる。
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水のプライベートブランド。
パッケージからもおわかりのようにファイターブランド。
競争的価格を出す、価格パワーを持つ商品。
ホールフーズがディスカウントを始めた。
それを象徴する商品。
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店舗左奥から見た広大なデリの売り場。
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左が寿司、右が対面の丼もの売り場。
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生ジュースとアイスクリーム売り場。
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デリ売り場は、朝食、昼食、夕食向けに店舗入り口にある。
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朝一番からにぎわっている。
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オールフーズ旗艦店が元気になった。

わたしはそれだけで嬉しくなった。
まさに世界最高峰の店の復活である。
次に訪れたのが、
HEBが展開するアップグレード・フォーマット。
「セントラルマーケット」  
その第一号店。1994 年オープンの店。

HEBの2009年度年商150億ドル、1兆5000億円。
売上げ伸び率2.4%。
店舗数317店。

3つの戦略的フォーマットを持つ。
第一が、フード&ドラッグ(H.E.B Food Store)。
生鮮食品の強さの上に、ドラッグストアをコンビネーションさせた。
店舗面積は1400坪から2500坪。
平均1週間70万ドルの売上高で、
そのうち、トップの20店舗は週100万ドルを稼ぐ。
すなわち年間約50億円。

第二の戦略フォーマットが、セントラルマーケット(Central Market)。
都市部の超大型グルメスーパーマーケット。
青果部門は全米有数のパワーを持つ。
そのうえでプリペアード・フードとグロサリーのスペシャルティ・プロダクト。
第三が昨日訪れたHEB プラス(plus)。
フー ド&ドラッグに、さらに非食品をプラスアルファしたコンビネーションタイプ。
11万~20万スクェアフィート(3000~5600坪)で、
1 週間80万~100万ドルの売上高。
円換算すると40億円から50億円の年商。

さて2番目のセントラルマーケットの第1号店、
最近、リニューアルした。

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「アルゼンチンへのパスポート」と題したキャンペーンで、
店中がアルゼンチンモード。
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青果部門の初めにオーガニック。緑色のPOP。

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ワンウェイコントロールの店。
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両サイドに高めの什器。
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青果から鮮魚へ。器用な手さばきで魚をおろす。
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精肉売り場は畜種別の対面コーナーが主力。
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ワイン部門にはアンデス山脈の大きなボード。
アルゼンチンのキャンペーンの一環。
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バルク売り場も、アップスケールタイプの店には不可欠。

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チーズ売り場。すっきりしたデザインだが、
私はリニューアル前のほうが断然、好きだ。
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ケーキ売り場も対面。
ワンウェイで顧客を引っ張るために対面コーナーを随所に設ける。
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フレッシュパスタのコ-ナー。

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最後にテイクアウトのデリ売り場。
この先に広大なフードコートが広がる。
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さてどうだろう。
不思議なことに、魅力が半減した。
私の目にはそう映った。

なぜか。

古都の寺。

例えば奈良の薬師寺。
五重塔が二つある。
一方は焼失して、それが復元された。
もう一方は、奈良時代から残った国宝。

この場合、古いほうが圧倒的に良い。

セントラルマーケット第一号店のリニューアル。
新しい五重塔のような感じになっている。

誠に残念。

それでも、商品も人も変わらない。
だから徐々に、良くなっていくのだろうが、
店そのものは、この場合、
古いほうが良かった。

店とは不思議なものだ。
もしかしたら、
生きているのかもしれない。

人間のように、
生物のように。  

生きているものの皮をはいで、
無理やり新しいものにするのは、
その生命力を 削ぐことになる。

もちろん古くて老衰しそうな生物に、
新しい血を降り注ぐことは必要だ。

その判断が、実はとても 難しい。

「むずかしいからおもしろい」  

さて話は オースティンに戻る。

セントラルマーケットの前で全員で写真。

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その後、私たちは急遽、予定を変更して、
「HEBプラス」の最新店に行った。

それが良かった。
HEBという企業の今後の姿勢を表していた。
[明日に続く] 

<結城義晴>  

2010年05月18日(火曜日)

テキサス・オースティンでWal-Mart/HEB/ホールフーズ三者三様

アメリカはテキサス州の州都オースティンに来ている。

昨日、午前11時30分発のアメリカン航空で出発。
いよいよ始まった2週間にも及ぶアメリカ巡り。

アメリカ巡りの前半は、万代ドライデイリー会のコーディネート。
後半は、商人舎主催のbasic編。
まず成田で、大阪から到着した団員の面々と面会。

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そして全員で写真。

みな、期待に胸を膨らませた顔をしている。
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すぐに乗り込んで、11時間半で、ダラスフォートワース国際空港へ。
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そこで乗り継ぎ。

乗り継ぎの合間に、ショップで雑誌を購入。
『FORTUNE500』がちょうど出たばかりで、棚に並んでいた。
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ベスト10は以下のようになっている。

順位    企業                 年商            純利益
1      Wal-Mart Stores   408,214.0    14,335.0
2      Exxon Mobil        284,650.0    19,280.0
3      Chevron           163,527.0    10,483.0
4      General Electric   156,779.0    11,025.0
5      Bank of America   150,450.0     6,276.0
6    ConocoPhillips      139,515.0     4,858.0
7      AT&T                 123,018.0    12,535.0
8      Ford Motor         118,308.0     2,717.0
9      J.P. Morgan Chase 115,632.0    11,728.0
10     Hewlett-Packard   114,552.0     7,660.0

ウォルマートが、エクソンモービルを抜き返して、
トップに立った。

ところがこのデータはもう、私の今回のテキストに入っている。

ベスト100位から小売業・消費財メーカー・卸売業だけ抜き出してみる。

順位 総合順位    企業                    年商            純利益
1     1    Wal-Mart Stores         408,214.0     14,335.0
2    18    CVS Caremark             98,729.0      3,696.0
3    22    Procter & Gamble       79,697.0     13,436.0
4    23    Kroger                      76,733.2         70.0
5    25    Costco Wholesale       71,422.0      1,086.0
6    27    Archer Daniels Midland  69,207.0      1,707.0
7    29    Home Depot               66,176.0      2,661.0
8    30    Target                       65,357.0      2,488.0
9    32    Walgreen                 63,335.0      2,006.0
10    42    Lowe’s                      47,220.0      1,783.0
11    45    Best Buy                 45,015.0      1,003.0
12    47    Supervalu                44,564.0     -2,855.0
13    48    Sears Holdings            44,043.0        235.0
14    50    PepsiCo                  43,232.0      5,946.0
15    52    Safeway                  40,850.7     -1,097.5
16    53    Kraft Foods               40,386.0      3,021.0
17    55    Sysco                       36,853.3      1,055.9
18    72    Coca-Cola                30,990.0      6,824.0
19    87    Tyson Foods              27,165.0       -537.0
20    89    Rite Aid                  26,289.5     -2,915.4
21    91    CHS                        25,729.9        381.4
22    99    Publix Super Markets   24,515.0      1,161.4

機内でぱらぱらとめくりながら、あっという間にオースティン。

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上空から「鳥の目」で見たショッピングセンター。

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オースティンに到着すると、
昨日から先乗りしていたノブ・ミゾグチさんと落ち合い、
固い握手。

早速、空港からルート35を北上し、
HEBプラスへ。  
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この店も、数年前、オープン当日、ミゾグチさんと二人で来た。

店内は「ロープライスエブリデー」の島陳列のオンパレード。
ウォルマートの「アクション・アレー」コピー作戦で、
かつてのウォルマートそっくり。
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しかし現在は、ウォルマートが「プロジェクト・インパクト」によって、
大方針転換してしまったから、
かつてのウォルマートの売り方を見るなら、HEBプラスしかない。

不思議な感覚。
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しかしHEB、クーポンだらけで、在庫をさばきつつの顧客獲得作戦。
乾電池の島陳列には、黄色いクーポンが滝のようにつけられている。

一方、ウォルマートスーパーセンター。  
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天井から大きなパネル。

「アンビータブル・ダラー・デイズ」
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そしてかつての主通路。

アクション・アレーが消失。

長い通路の両サイドに黒いベンチが置かれているだけ。
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メリットは、第一に見通しが格段によくなって、
顧客の回遊性は高まる。
すなわち買いやすくなった。

第二は、在庫削減の効果が大きく出たこと。
これはウォルマート全体の商品回転率を向上させた。
1年間に40兆円を売上げるウォルマート。
その在庫金額が下がるだけで、
総資本経常利益率ROAは、格段に上がった。

不況の時代、売れない時代の賢い政策。

第三に、エンド陳列が目立つようになった。
これも顧客にとっては、
商品を選びやすくなるという効果を発揮している。

HEBとウォルマートの対比を見たところで、
ホールフーズの旗艦店舗へ。  
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やはり素晴らしい。
不況の中で、ホールフーズは、
本来のスーパーマーケットの経営方針を取り戻した。
オーガニックブームに浮かれ、高売り店舗となっていたが、
価格を下げてディスカウントする商品を明確にした。

そうすると、もともと良い商品ばかりなので、
格段に買いやすくなった。

ホールフーズのロイヤルカスタマーは、
小躍りしているに違いない。
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ホールフーズは、ウォルマートと別次元の道を行く。

HEBはこのオースティン地区で50%の占拠率を背景に、
ウォルマートと真っ向からぶつかる。

そのウォルマートは、自らイノベーションに臨む。

初日から、いい闘いを見た。

そして、ダウンタウンのホテルの18階。
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セミナーの始まり。

はじめに今回の団長㈱万代執行役員の黒田久徳さんの挨拶。
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全員の動機づけをするという内容の挨拶で、とても良かった。

続いて、ミゾグチ先生の講義。

「2010年の食のトレンド」   

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オーガニックはもとより、オメガ3、アンチオキシダント、アレルギーなど、
最新の情報やトレンドをレクチャーしてくれた。

そして結城義晴「血沸き肉躍るアメリカ小売業」の話。
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本当に自分でも不思議。
アメリカのホテルのミーティングルームで講義すると、
異様にテンションが高まる。

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あっという間に講義タイムは終わり、
外は少し暗くなった。

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今日の最後は、ホールフーズで購入してきたディナーの試食会。

心地よい疲れと妙な高揚感。

これがあるからやめられない。

[明日に続きます]   

<結城義晴>   

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