自民党が内閣不信任案を提出し、
それが否決されて、
第174通常国会は閉幕する。
そして参議院選に突入。
政府がこの国会に提出した新規の法案は63本。
そのうち35本が成立した。
成立率55.6%。
これは1963年の佐藤栄作内閣の55.8%を下回り、
現行法のもとでは史上最低だった。
何といっても、通常国会開催中に、
鳩山由紀夫前首相が退陣し、
菅直人新内閣が発足したのだから、
法案成立の確立が下がるのは当たり前といえば当たり前か。
世間はワールドカップサッカー一色だし、
そのうえ参議院議員選挙の季節に入る。
私は今、博多駅から新大阪に向けた「のぞみ」車中。
西日本新聞の一面トップは、
「口蹄疫 宮崎経済深刻」の記事。
東国原英夫知事が「非常事態宣言」を発してから、
明後日の18日で1カ月を経過する。
その宮崎、畜産業以外の「風評被害」が大きく、
県内事業者の85%が影響を受けたと報告している。
そのうち32%の企業は、1年前に比べて、
5割以上の売上げダウン。
「風評被害」の無制限な拡大だけは、
なんとか食い止めたいものだ。
さて、昨日から福岡。
TERAOKAニューバランスフェア福岡。
毎年のように博多駅前の「博多スターレーン」で開催されている。
私は、毎年のように記念講演。
今回のタイトルは、
「Practice comes first!」
サブタイトルは「実践躬行・実行第一」
そう、2010年の商人舎標語。
「躬行」という言葉に反応する人が多い。
(きゅうこう)と読むが、
「口に出したことを実際に行うこと」
サッカー・ジャパンの本田圭佑選手など、
「ビッグマウス」といわれるが、
大口をたたきつつ、それを現実化させてしまう。
「躬行」も「ビッグマウス」となると大変なことになる。
私の講演は、
いかに実践するか、
何を実行するか。
「サービスとイノベーション」の実行に絞って話した。
講演終了後、
『小売業界大研究』のサイン会。
本を購入していただいた上に、
待ってくださったみなさん、
本当にありがとうございました。
講演会、サイン会が終わって、
㈱九州テラオカ社長の川越純一さん、
㈱寺岡精工の三木桂さん、
そして旧知の萩原政利さんと写真。
萩原さんは、㈱サニーの常務取締役の後、
西友に出向き、物流本部長、商品本部長を歴任した。
その後、萩原さんのご案内で、
ベイサイドプレイス博多へ。
横浜のマリンタワーか大阪通天閣か、といった塔がある。
同じ設計家だとか。
そこに九電工が再開発し、
萩原さんがプロデュースした商業施設がある。
3か月前にオープンした。
その中に、市場型スーパーマーケットがある。
「博多松金市場」
壱岐・対馬から揚がったとれたての魚が最大の売り物。
精肉は多段ケースで売られている。
鮮魚売り場の反対側には青果売り場。
ここも市場型。
「壱岐漁協直出荷」と掲示がある。
発泡スチロールに氷が敷かれ、
とれたての鮮魚が品揃えされている。
中央卸売市場に回る前の魚が、
この売り場に並べられて、売られる。
福岡の鮮魚は新鮮でうまい。
それがこの店の命でもある。
売り場の片隅に、水槽がある。
のぞいてみると鮮魚が泳ぎ、貝類が息づいている。
これらは、二階の和風レストランで、
調理して食べることもできる。
松金市場のグロサリー店舗。
生鮮売り場とグロサリー売り場は別のショップ。
博多をはじめ、九州の産物が集められている。
菓子も調味料も九州産。
醤油も九州産ばかり。
この店の経営は㈱イーツーケー。
代表取締役社長は松本英一さん。
そう、かつての㈱サニーの社長。
固い握手。
「松金市場」の「松金」とは、
あのサニー創業者の松本金也さんの「松金」なのだ。
福岡の優良なスーパーマーケットだったサニーは、
親会社の百貨店岩田屋の経営が苦しくなって、
西友に売却された。
その時点で、松本英一さんは経営を降りて、
ボンラパスの社長となった。
サニーでは西友がウォルマートに買収されてからは、
ウォルマート方式で改革が進められている。
一方、松本さんは、ボンラパスがハローデイに売却されて、
現在の㈱イーツーケーを起こし、
「松金市場」をオープンさせた。
松本さんのもとにかつてのサニーのメンバーが集まって、
一からの出直しを図っている。
萩原さんがそのプロデューサー。
私は、その応援団。
松本さんやサニーの面々と再会して、
私は本当にうれしかった。
「小さな店であることを恥じることはないよ。
その小さなあなたのお店に、
人の心の美しさを、
いっぱいに満たそうよ」
岡田徹の詩が頭に浮かんだ。
私は、それを、口には出さなかった。
<結城義晴>