結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年07月06日(火曜日)

日本スーパーマーケット協会会長・副会長パネルディスカッションの「基幹産業化とは?」

明日は7月7日、七夕。

ぞろ目には何かある。

そこで、ぞろ目の日を季節の節目とみなして、
節句とする。

五節句という。
それぞれに、ちなんだ草花がある。

第一が人日(じんじつ)の節句。
これは1月7日。
年の初めのぞろ目の1月1日が元旦だから、
節句は7日になった。
この日は七草。

第二が、上巳(じょうし)の節句。
3月3日の雛祭り。
桃の節句。

第三が端午(たんご)の節句。
5月5日で、子どもの日。
この日は、菖蒲の節句という。

そして第四が、明日の七夕(たなばた)。
「しちせき」ともいう。
ちなみの草花は竹と笹。

そして第五が、重陽(ちょうよう)の節句。
9月9日で、菊の節句と称する。

七夕はもともと、中国の節句行事だった。
それが奈良時代に日本に伝わり、
日本古来の「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説と合体した。

織姫と彦星のロマンあふれる物語と一体化され、
日本では人気のお祭りとなった。

本来は旧暦の7月7日の夜のことを意味するが、
日本では明治時代の改暦以降、
旧暦と新暦に二分されて、
7月7日と8月7日に各地で「七夕祭り」が行われる。
有名なところでは、
神奈川県平塚の七夕は7月7日。
宮城県仙台の七夕は8月7日。

各地の店舗で七夕祭りをプロモーションするならば、
そのエリアの風習に従うのがよろしい。

はっきりとした風習がないのならば、
新暦に従って、7月7日に展開したい。

さて、先週金曜日のパネルディスカッション。
恒例の日本スーパーマーケット協会総会のメイン・イベント。

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テーマは、「スーパーマーケット基幹産業化への展望」

サブタイトルは、「インフラは共有せよ!売り場と商品で競争せよ!」

コーディネーターは、結城義晴。

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パネラーは、日本スーパーマーケット協会の名誉会長・会長・副会長。

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名誉会長にして、㈱ライフコーポレーション会長兼CEOの清水信次(のぶつぐ)さん、
会長の㈱ヤオコー会長・川野幸夫さん、
副会長の㈱エコス会長・平富郎さん、
同㈱オークワ会長兼CEOの大桑堉嗣さん、
全日本食品㈱社長の齋藤充弘さん、
そして㈱ラルズ会長の横山清さん。

副会長の㈱平和堂社長・夏原平和さんは、緊急の用件があって欠席。

はじめにコーディネーターから問題提起。

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スーパーマーケット基幹産業化がテーマだが、
「基幹産業」とはどんなものか。
パネラーから控室で質問があった。

まず第一に、社会にとってなくてはならない存在であること。
これは単なる産業ではなく、国のかたちをつくる幹となるもの。
だから、それなくしては国民が生きていけない産業でなければならない。

第二に、そのスケール。
日本の基幹産業は何かと考える。
自動車産業は、確かに基幹といえるだろう。
日本は自動車大国である。

その年商規模は、約49億円。

スーパーマーケットは、現在、
商業統計の「食料品スーパー」では、17兆円。
しかし「その他のスーパー」の分類から3兆円ほどがこちらに回るから、
20兆円といったところか。

自動車産業の5分の2。

自動車は製造業から小売業まで合わせて、49兆円。

しかしスーパーマーケットに商品供給する製造業・卸売業などの売上高を含めると、
この産業は自動車と並ぶ。
いや、それを凌ぐ。

つまりスーパーマーケット産業はすでに、
基幹産業の役割を果たしている。

それが周りから認められていない。
あるいは自分でもそう考えていない。

スーパーマーケットと食品産業は、
国民の日常の生活にとってなくてはならないものだ。
そのうえ、製配販を合わせると自動車産業に並び、それを凌ぐ。

ならばもう既に基幹産業と位置付けられてしかるべきだ。
しかし現実は違う。
「日本標準産業分類」に「戸籍」すら存在しない。
ここから議論は始まった。

まず、協会会長の川野幸夫さん。
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「これまでスーパーマーケットには、
カット・スロート・コンペティションはなかった。
しかしこれから喉を掻き切るような厳しい競争が始まる。
そのために、しっかりした理念を持ち、
何屋になるか、すなわち商売のコンセプトを明確にし、
それを充実させねばならない」

「第一に、国のつくり方を生活者主権にしなければならないこと。
第二に、日本の場合、総合スーパーが『スーパー』の代名詞のようになってきたが、
本来の『スーパー』はスーパーマーケットであることをはっきりさせること。
第三に、そのためにスーパーマーケット企業が団結しなければならないこと」

協会会長としての見事なスピーチだった。

続いて、平富郎さん。

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「原点に返って、一からやり直すとき。
スーパーマーケットは、食品を販売することを通して、社会に貢献する。
15年間もGDPは伸びていない。
引きこもり消費の傾向にある。
従って、今一度、大きな志を持って、
再出発の元年にしたい」

平さんらしい力強いコメントだった。

三番目は、大桑堉嗣さん。
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「オークワはグループ合わせると年商2900億円に成長した。
ニチリウの共同仕入れ・共同商品開発によっても、規模のメリットを獲得した。
これは商品仕入れコストに影響を与えている。
全国チェーンと対抗できる力も持ちつつある。
また社会貢献によって、地域から支持を頂くことにも努力している。
スーパーマーケットは、地域で貢献しなければならない」

第四番目は、齋藤充弘さん。
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齋藤さんは、商品と営業に関する興味深い話を披露してくれた。
「売れ筋品が売れていて、品ぞろえ品が売れていない。
定番が売れていて、特売が売れていない。
安さで、顧客を引き付けることは効果がない。
ただし今の顧客は『高い』ことが大嫌い。
売れ筋が高くないことが、最も大事だ」

「欧米ではPOSシステムは、共有されている。
各社各様のシステムは日本だけ。
しかしシステムの共有化は、寡占化を防ぐ。
寡占化に対抗するためにも、システムは共有されねばならない」

齋藤さんの指摘は、鋭い。

第五番目は、横山清さん。
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「理由のない安売り競争は、安売り戦争と化している。
そのうえで、利益のバスタブの栓が抜かれてしまった。
ラルズ、そしてアークスは201店舗・3000億円体制を築き、
北海道でクリティカル・マスを突破したが、
規模のメリットもあれば、規模のデメリットもある。
従って、これからカット・スロート・コンペティションの中で、淘汰が起こる。
新しい商人像が求められる時代が来ている」

「昨年、全国スーパーマーケット協会と合併した日本セルフ・サービス協会は、
新日本スーパーマーケット協会と名称を改めて、
新しい時代に向けて出発する。
新しい出発の時だ」

そして最後にこの人、「清水のぶつぐ」さん。
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「ライフコーポレーションは来年50周年を迎える。
私は今、84歳と3カ月。
戦後始めた個人商店から、211店の現在まで、
合併も買収もせず、バージンのままで経営してきた。
しかし、恥ずかしながら私の力ではない。
現在は、三菱商事から岩崎高治社長を迎えて、
営業のことはすべて任せて、やってもらっている。
私自身はこの命を、
お国のため、業界のために捧げたいと思っている」

清水さんの話は最近、
簡潔にして明瞭。

真に謙虚で、「人を信じる」の感強し。

私も、感動したし、
聴衆から拍手が巻き起こった。

毎年恒例のパネルディスカッション。
いくつかの対立軸が浮かび上がった。

例えば川野さんと横山さんは、
そのスーパーマーケット経営において、
明らかに対極にある。

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私は、それが大切なのだと思う。

みんなが同じ考え方にはならない。

それぞれが自分の思想、哲学で、経営する。
競争する。

しかしインフラは共有する。

私は、最後にまとめた。

「サブタイトルに言葉を付け加えなければならない。
〈社会のために〉インフラを共有せよ!
〈顧客のために〉売り場と商品で競争せよ!」

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これから市場は、ますます縮む。
市場縮小の時代が始まっている。
そのなかで常に「質(たち)の良い売上げ」をつくる。

それが既に、基幹産業の資格を有するスーパーマーケット、
そして食品産業のあり方なのだと思う。

ご清聴を、感謝したい。

さて昨日は、朝から東京・清水橋。
伊藤園本社。

『食品商業』誌上で年間に3回展開される「伊藤園大陳コンテスト」。
その審査委員会。

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業界最大にして最高のプレゼンテーション・コンテスト。
今回の参加は、191社、延べ参加店舗数1万3124店。

審査にも力が入る。

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そして決まった。
企業賞と店舗賞。
今回から店舗賞には、「紙パックコース」が加わった。

最後に審査委員がそれぞれコメントを述べてから、
記念撮影。

「本庄大介さん、ネクタイが曲がっています!」
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そして撮影。

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右から、㈱伊藤園副社長・本庄周介さん、
同じく副社長の江島祥仁さん、
私の隣は、社長の本庄大介さん、
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー松井康彦さん、
食品商業編集長・三浦美浩さん。

審査委員会の後は、
いつものように江島副社長の部屋で、
お抹茶。dscn1139-31.jpg

ごちそうさまでした。

そして、いつものように3人で写真。

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お疲れ様でした。

次は、夏に、産地と工場めぐりに出かけることになった。

さて、昨日午後は、銀座でPTB有識者懇談会。
その後、夕方、商人舎オフィスに戻って、来客。

暑い日が続く。
熱帯のスコールのように雨が降る。

しかし、七夕には晴れてほしい。
少なくとも夕方には。

そう、短冊に書いて、お願いしよう。

<結城義晴>

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