あついですねぇ。
ボクのなまえは、ジジ。
ボクはクールビズ。
ユウキヨシハルさんのうちに、
すんでいます。
そのユウキヨシハルのおとうさん、
いま、アメリカです。
ケータイがつながっています。
「おとうさん、いまどこですか?」
「ここだよ。
イサカという街」
「ガクにはいった絵画みたいですね」
「きれいな街だよ」
「ボクもいってみたい」
「コーネル大学の街なんだ」
「おおきなダイガクなんですか?」
「3キロ平方メートルもある。
たくさんの校舎の向こうに、
カユガ湖が見えるだろ?
あそこも大学のキャンパスみたいなものなんだ」
「すごいですね。
もっとみたい」
「面白いもの見せよう」
「なんですか? これ」
「大きな赤い足跡」
「白い足跡と赤い足跡。
それが一本の道の上にある」、
「ゆうれいみたい」
「イズラ・コーネルさんとアンドリュー・ホワイトさんのもの。
コーネルさんがこの大学の創設者で、
ホワイトさんは最初の学長」
「二人は親友だったんだよ。
もう亡くなってしまっているけれど、
ふたりがいまも、討論しているだろうって考えて、
このふたつの足跡が残されているんだ」
「足跡の向こうにコーネルさんの銅像がある」
「コーネルさんの銅像の反対側にはホワイトさんの銅像が向かい合っている」
「なんだか、とてもいいおともだちだったんですね」
「キャンパスにはヘラクレスの彫刻もあるよ」
「りっぱですね」
「コーネル名物のタワー」
「それから教会もあって、
ここで卒業生が結婚式を上げたりする」
「校舎も古くて格式のあるものばかり。
でも中身は最新式だよ」
「3万人も収容できるフットボールグランドがあったし、
アイスホッケー・リンクや野球場、陸上競技場もある。
18ホールの立派なゴルフコースがキャンパスの中にある」
「ベンキョーもスポーツもできそうなところですね」
「おとうさんはどこにとまっているの?」
「スタットラーホテル。
コーネル大学にはホテル経営学部があって、
世界的に有名なんだけど、
大学が研修のためにこのホテルを経営しているんだそうだ」
「部屋のなかをみせください」
「ベッドはふかふかで、
ベッドカバーにはコーネルの紋章が入っている」
「ボクも、ねむくなってきました」
「それからマクラフリン先生のご自宅にも行ったんだよ。
カユガ湖を見下ろす絶景の、素晴らしいお家だった。
最後にみんなで、コーネル大学の校歌を歌ってくれた」
「いいセンセイなんですか?」
「コーネル大学食品産業学部の学部長で、
コーネル・ジャパンの学長もお願いしている。
本当に素晴らしい先生だよ」
「で、おシゴト、うまくいったの?」
「イサカに着いたら空から光がさしてきて、
奇跡が起こるかと思ったら、
実際にたくさん奇跡的なことが起こった」
「コーネル・ジャパンの第二期生の終了旅行、
大成功だった」
「それなら、よかった」
「はやくかえってきてください。
ボク、まってます」
「これからニューヨークに行って、
そのあとに帰るよ。
お土産も考えてるからね」
「ありがとう」
「じゃね」
<『ジジの気分』(未刊)より>