6月のスーパーマーケット販売統計調査が発表された。
日本セルフ・サービス協会165社、
日本スーパーマーケット協会60社、
オール日本スーパーマーケット協会58社(うち重複企業15社)。
この3協会の協力による統計調査。
今回の販売統計発表は、
日本セルフ・サービス協会の番。
そこで増井徳太郎副会長と太田順康常任理事がプレゼンテーション。
その総店舗数は7,133店、
総売場面積11,877,438㎡、
店舗平均月商10,557万円、
売場1㎡当たり売上高6.3万円。
発表された6月の数値は、
総売上高75,30億3,832万円(前年同月比100.1%)
食品合計64,35億5,549万円(100.5%)
非食品合計10,94億8,283万円(98.2%)
生鮮3部門計が2378億0884万円(99.8%)。
内訳は、青果985億8656万円(101.0%)
水産669億3799万円(99.2%)
畜産722億8842万円(98.6%)
惣菜が672億0653万円(101.6%)
一般食品・その他が3385億4012万円(100.7%)。
相変わらず、青果と惣菜はいい。
スーパーマーケットは、世間がひどく悪い時にも、
そんなに悪くはない。
その代り世間がとても良い時にも、
中くらいの結果。
それがインフラ産業の特徴。
基幹産業の特質。
増井徳太郎副会長のコメント。
「畜産は口蹄疫でダウン傾向、
惣菜はワールドカップによる内食需要で増加。
子供手当支給が10日ごろから始まったため、
支出が堅調だったのではないか」
「北日本は好天だったが西日本は豪雨により厳しかった。
中元商戦は出足が鈍かったため、数量、単価ともに厳しい。
父の日、ワールドカップなどイベント需要は好調。
とくに店頭催事、インプロで需要喚起した企業は良かったものの、
チラシ訴求は効果は低くなりつつある。
そこで店頭の演出力、提案力が大事になってきている」
「会員の中では商品価値があれば高額でも売れている企業がある。
地域によっては高速道路の無料化で夏季需要を見込んでいる。
オーバーストア気味だが出店は進んでいる。
郊外型出店から街ナカ出店、居抜き出店など立地は変わっている」
「節約志向は根強く、単価の低下は引き続いている。
競合店がディスカウント訴求をすれば、
チラシ効果は低くてもやらざるを得ない環境にある」
「地域景況では関東以外は厳しいという見方ができるかもしれない。
ただし、価値と価格のバランスが大事で、
マスコミはあまり厳しいと言い過ぎず、
明るいムードの報道で消費者心理を誘導してほしい」
続いて、太田順康さん。
太田さんはコーネル大学RMPジャパン第一期生の「級長」。
太田さんが副社長を務める㈱北辰商事(店名ロヂャース)に関するコメント。
「既存店は6月は102%と好調だった。
食品は103~105%。
非食品は98~100%。
20日過ぎから数値が急激に変わった。
理由は定かではないが、3つ考えられる。
①子供手当支給
②意外にボーナス支給額がよかった
③関東が空梅雨で天候に恵まれたため」
「ロヂャースは景気に左右されない店づくり。
成城石井の大久保恒夫社長とも話したが、
6月は数値が改善し、今までにない手ごたえを感じている。
客は価格も見ずにかごに入れて購入している。
菓子、し好品も売れている。
主要メーカーが良い条件の商品をもってきたため売りやすかった。
客単価はややダウンしているが、
客数は105%、買い上げ点数もアップしている」
「商品面では、とくに6月は米とビールをはじめとする酒が好調だった。
7月は猛暑で飲料が売れている。
売れ残りを覚悟で発注量を増やし、
在庫切れにならないよう手当てをした。
7月は同じく猛暑でシャンプーや洗濯用洗剤、肌着など非食品が売れるだろう」
さて私たちはニューヨーク・マンハッタン。
イサカからバス旅行。
イサカの空は曇り気味。
ここでは、2時間ほどの私の車中講義。
荒井伸也先生が私のアメリカ論を聞くのは初めてだった。
これまでにない論述展開を褒めてくださった。
これは、ちょっと嬉しい。
そして私たちは3カ所を訪れた。
まずハナフォード。
大歓迎を受けて、大感激。
まずレジ前に全員集合。
チームは、5つに分かれて、
青果、デリ、ベーカリー、ミート&フィッシュ、
そしてセンターストア(グロサリー、乳製品、冷凍食品、HBC)と、
部門別にインタビュー。
ハナフォードのキャップを被って、
丁寧に部門ごとの数字とマーチャンダイジング政策を聞いていく。
各チームには店長や地区マネジャーがついて、
部門マネジャーとの会話を解説。
部門側はデパートメント・マネジャー、
担当者など全員で出迎え、
説明してくれた。
ハナフォードはローカル・スーパーマーケットチェーン。
しかしデルヘイズ・アメリカというベルギー資本の傘下にある。
資本はどこにあろうとも、
「商人としての本籍地」はハナフォード。
その気概が全員から感じられる。
ハナフォードをあとに、
ウッドベリー・コモンのアウトレットモールへ。
現地時間25日の日曜日。
大繁盛。
アウトレットモールは日本でも繁栄しているが、
アメリカでも大人気。
ステータスブランドメーカーや百貨店が、
「実質的な二重価格」をこの商業施設では、
胸を張って展開できる。
顧客もそれを認知している。
これはすごいことです。
ウッドベリー・コモンをあとに、
バスは一路、マンハッタンへ。
空はすっかり変わって、
酷暑を予感させる。
マンハッタンに入る前に、ヨンカースに寄る。
ご存知「スチュー・レオナード」
ポリシー・ロックは移動して、
駐車場のからのエントランスすぐのところにある。
サブプライムローン問題発生以降、
この店も客数が少し減って、
客単価はすごく減った。
そこで新しい試みが、
店内各所で展開されている。
それが、いい。
何か新しいものを生み出そうという意図が感じられる。
マンハッタンでは、ノボテルに宿泊。
定宿。
翌26日月曜日。
一日中、店舗視察。
まず、ゼイバーズ。
マンハッタンのアッパー・ウェストサイド。
79ストリート。
チーズ、スモーク・フィッシュ、コーヒー。
2階のキッチン用品。
ゼイバーズは変わらないところがいい。
典型的な「ニッチ&グルメ・スーパーマーケット」
79ストリートから75ストリートまで歩く。
ウェストサイド・マーケットが見えてきた。
地元密着の小型スーパーマーケット。
そして75番ストリートのところにシタレラ。
典型的な「グルメストア」
その隣にフェアウェイマーケット本店。
マンハッタンでは圧倒的な売り場面積。
そこにこれでもかと商品が積み上げられている。
この青果売り場、
毎日、すべての商品をひっくり返して、
検品し、陳列がえをする。
フェアウェイマーケットをあとに、
コロンバスサークルへ。
タイムワーナータワー。
地下1階にホールフーズ・マーケットが入っている。
「超」のつく繁盛店。
日本でいえば銀座4丁目の角に、
オーガニックスーパーマーケットが広大な2000坪の店を出した。
そんな感じ。
ホールフーズは、どの店も高い水準を崩さない。
それがいい。
さらにイースト・ビレッジのホールフーズへ。
この店も最初は客数が少なくて苦戦したが、
一変。
大繁盛店になった。
ホールフーズのような理念的な店は、
大都会に強い。
顧客の脳みそに訴える店だからだ。
つぎにクイーンズボロ・ブリッジのフード・エンポリアムへ。
A&Pが買収して経営する高級スーパーマーケット。
駅の下の空間を活用した素晴らしい店づくり。
ただしこの店は決定的にオペレーションに問題を抱えている。
それからユニオンスクエアのトレーダージョーへ。
ここでは買い物だけ。
世界最高の坪効率の店。
最後にソーホーのディーン&デルーカ。
日本にも進出して高級デリ・ショップ。
しかしホールフーズやトレーダージョー、
フェアウェイマーケットやゼイバーズに比べると、
小洒落た店というイメージはあるが、
強く訴える理念がない。
それがこの店の弱さ。
このソーホー地区。
ファッション店が軒を連ねて競合。
ザラ、H&M、バナナリパブリック、オールドネイビー。
その中でユニクロが大健闘。
現時点で、もしかしたら一番、強い。
進化し続け、イノベーションを連続させる企業力が、
ここマンハッタンでは生き残りの不可欠の要素。
世界的なチェーンストアもニッチの店も。
それをコーネル・ジャパンは学んだ。
そのことに、心から感謝。
<結城義晴>