「流通BMS」
流通ビジネス・メッセージ・スタンダード。
すなわち流通に関するビジネス・メッセージの標準をつくること。
具体的に何を標準化するのか。
「消費財流通にかかわる企業間取引のEDI」を標準化する。
EDIとは、「エレクトロニック・データ・インターチェンジ」の頭文字をとったもの。
すなわち「電子データ交換」のこと。
先週金曜日の7月30日、東京・秋葉原の秋葉原UDXギャラリーで、
流通5団体による『流通BMS普及説明会』が行われた。
流通5団体とは、日本チェーンストア協会、
日本スーパーマーケット協会、
社団法人日本セルフ・サービス協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
社団法人日本ボランタリー・チェーン協会。
説明会主催者が「みんなつながる流通BMS」を抱えて記念撮影。
右から、流通システム開発センター上野裕専務理事、
日本スーパーマーケット協会大塚明専務理事、
社団法人日本セルフ・サービス協会澤藤正義審議役、
日本チェーンストア協会井上淳専務理事、
そして㈱日立製作所産業流通システム事業部流通システム本部山田直明部長。
「流通BMS」を策定し、普及させようという動きは、
平成18年から20年にかけて、
経済産業省の後押しで進められてきた。
EDIは「電子データ交換」とはいうものの、
実際は「受発注」「出荷」「返品」「受領」「請求」「支払」など、
消費財の取引のすべてをオンライン化することである。
これは個別企業の取引効率化とは異なる。
業界で統一した標準フォーマットを構築し、
それをインフラとして活用しようというのが「流通BMS」の構想。
推進役は「流通システム標準普及推進協議会」(流通BMS協議会)。
財団法人流通システム開発センターに設けられている。
まず平成18年度のグロサリー業界が皮切りとなった。
平成19年には、小売業界から総合スーパーとスーパーマーケットの両業界、
そしてアパレル業界、生鮮食品業界、
平成20年度には、ドラッグストア業界、ホームセンター業界、
さらに百貨店業界が次々に、
流通BMSの策定事業に参画した。
つまりここまで、大手小売業と卸売業が一緒になって、
流通BMSを検討してきた。
平成21年度秋には、生鮮食品に関するメッセージ項目が加わった。
これを「流通BMSバージョン1.3」と称するが、
いよいよ22年度、導入・普及の本格活動時期に入る。
現在、流通BMS協議会には48団体、139社が入会している。
『流通BMS普及説明会』では、
はじめに協議会の新宮徹夜さんが、
「導入効果と利活用」のタイトルで、
流通BMS の変遷と流通BMSの導入メリットを説明。
平成21年度効果算定事業「効果のみえる化」で得られた数値データが公開された。
その後、小売業、卸売業8名によるパネルディスカッション。
テーマは、
「標準化の動きと中小企業が標準EDIを導入することで得られる経費改善効果」
コーディネーターは日本スーパーマーケット協会大塚明専務理事。
「これまで順風満帆できた小売業だが、これからは過去の延長に未来はない。
日本スーパーマーケット協会は『インフラは共有で、売場と商品で競争せよ』と
標準化事業を推進しているが、加えて丁寧に言うなら、
『企業の発展のためにインフラを共有し、
お客様満足のために売場と商品で競争せよ』ということ。
そのインフラとして流通BMSがある」と普及推進の主旨を説明。
主なパネラーの一言。
㈱たからや溝口浩幸社長。
「神奈川で6店舗を展開するスーパーマーケット。
2003年EDIを導入したが取引先に理解を得るのが大変だった。
さらに流通BMSへ引っ越しするにはコストが課題。
標準化を国が進めるというなら、
経済産業省、環境省が助成金を負担するなど、
ギブアンドテイクの支援が必要」
すでに導入済みのユニー㈱システム物流部角田吉隆部長。
「サプライチェーン全体の効率をアップさせるのも大切だが、
ITの利用の仕方で、お客の期待値に応えることができる。
発注から納品まで大幅に時間を短縮でき、
配送便単位の発注、当日納品が可能になった。
流通BMSはEDIの標準化ではない。ビジネスモデルの標準化」
㈱シジシージャパンCS統括部システムチーム草留正樹主事。
「シジシージャパンは全国の中小スーパーマーケット224社、
3681店舗、売上4兆2658億円のコーペラティブ・チェーン。
インフラ整備にひとつとして、
流通BMSをCGCの標準にすることを2007年に方針決定したが、
インフラ再投資のタイミングとシステム担当者がいないなどの理由から、
加盟店への導入が進んでいない」
一方、卸のパネラーからは、
㈱サンライズ福寺誠一社長。
「アイスクリーム・冷凍食品の卸だが、
3割引、5割引販売と商環境は厳しい。
メーカーは製品をもち、小売業は顧客をもっている。
問屋はコスト削減の努力しかない。
情報システム投資を1年半前に行ったが、
これ以上1社単独でのコストダウンは難しい。
インフラを共有する考えは賛成。
製配販で取り組むなら『三方一両得』でなければならない」
この「三方一両得」の考え方、重要。
導入が済んでいる国分㈱情報システム部福沢美二郎課長。
「導入に当たって、通信インフラと物流センターの対応に経費を投じた。
しかしフォーマットが統一され、
インターネットによる通信スピードのアップ、
伝票レス化が進むなど、導入メリットは大きい。
各センターの業務改善が進んでいる」
㈱山星屋情報システム磧上末和課長。
「2006年、流通BMSの共同実証に参加した。
小売業がマスタ管理を行うことになる
フォーマット、ビジネスモデルの標準化は卸にもメリットはある。
だからこそITベンダーは、導入に際しての説明において、
小売り企業が作成し、卸に提示する『共通確認シート』の標準化を徹底してほしい」
それぞれの立場から、期待と課題が率直に語られた。
さて、私は一昨日から、長野県の清里。
日本の大都会は真夏日・猛暑日が続くが、
ここは霧がかかって、
涼しい。
快適。
気持ちいい。
コーネル大学RMPジャパン卒業旅行の疲れも癒される。
キープ自然学校。
合宿に最適。
安くて、ゼミ部屋があって、
宿泊施設もある。
ロビーは広くて、使い勝手がよい。
その一角に陣取って、
私の書斎のように使う。
窓の外には緑。
結城ゼミのゼミ生はゼミ室。
午前中、勉強、研究、執筆。
昼食は、「小作」。
ホウトウの専門店。
昼食後は、午後もまた、勉強、研究、執筆。
ときどき私のところに来て、相談。
私も自分の仕事をしつつ、
ゼミ生とディスカッションしたり、考察したり。
とても良い時間が過ぎてゆく。
そして夜は、またしても、バーベキュー。
二日目の夜は、シーフードが加えられて、美味。
こうして、結城ゼミ夏合宿は過ぎていく。
結城ゼミは、「合宿主義」と「討論主義」。
何事も一人ではできない。
周知を集める。
その中で自分の個性を発揮する。
インフラは共有し、店頭では競争する。
小売業と同じ。
<結城義晴>