残暑 お見舞い申し上げます。
㈱商人舎は、明日8月12日(木)より18日(水)までの1週間、
夏季休業とさせていただきます。
暑さ厳しき折、皆さま、くれぐれもご自愛ください。
そしてお盆商戦の千客万来、ご祈念いたします。
なお緊急のご連絡は、代表電子メールinfo@shoninsha.co.jp、
あるいはスタッフ各自の携帯電話でお受けいたします。
もちろん、商人舎ホームページ、
および結城義晴のブログ[毎日更新宣言]は、
年中無休でお届けいたします。
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台風4号が北上している。
このお盆休みは、
日本列島台風一過になるかもしれない。
店舗商業は、書き入れ時の台風。
客足に直撃する。
その心配はつのる。
アメリカ・ユタ州では、
日本人観光客を乗せたバスが横転、
3人が死亡。
かの地のドライバーは、
平気で時速150キロを出す。
道も平坦で、北海道をさらに広くしたようなところを、
走ることも多い。
昨日10日、財務省発表の「国の借金」。
904兆0772億円。
はじめて900兆円を超え、
このままでは2011年度中に1000兆円に達する。
日経新聞が総合欄で報道している。
これが企業の売上高ならばいいのだが、
企業でいえば「借入金」。
この904兆円は、名目国内総生産の1.9倍。
現時点での日本国人口1人当たりで換算すると、
約710万円の借金。
これも日経の記事からの数字引用だが、
IMF調査では、国別債務残高と国内総生産を比較すると、
日本は2009年度末に218%の異常値となる。
財政危機でEU経済の足を引っ張っているギリシャが115%。
アメリカ83%、ドイツ73%、イギリス68%。
国の借金が増えるのは、
国の収入が減るのに、
国の支出予算が増え、
それを国債という借金で賄うため。
2010年度の一般会計予算は、
92兆3000億円の歳出、つまり支出。
これに対して税金による国に収入は37兆4000億円。
その差、54兆9000億円。
これを44兆3000億円の国債を中心に補う。
国の収入を国の借金が、予算段階で上回った。
これは敗戦後の混乱期以来。
日本経済の根本的な立て直しが求められている。
これも「現状を否定せよ」でなければ、
解決できない。
商人舎8月の標語。
「現状否定」は政府はもとより、
国民一人ひとりの意思決定レベルにまで求められよう。
そのひとつが消費税の引き上げということになろうか。
その意味では、口だけ出して、
世論を誘導している観のあるマスコミにも、
「現状否定」の矛先はつきつけられるに違いない。
マスコミほど「現状否定」できない存在もないが。
もちろんすべての設計は、
その責を担う菅直人内閣にある。
だからといって、
リーダーの首を挿げ替えれば、
この難問解決がなるとも思えない。
課題ははっきりしている。
いかにそれを解決するか。
ヒントは「動的平衡」にある。
今日から始まった朝日新聞「夏の基礎講座」。
1時間目「生命」の講座で、
分子生物学者の福岡伸一さんが語っている。
その著『生物と微生物のあいだ』は、
まず、読んでほしい。
それから『動的平衡』も。
「何が自分の身に応じた『分際』なのか」
「この『分際』というのが、
生物学では重要なキーワードになるのです。
英語でニッチ」
「人間以外のすべての生物は自分のニッチを守っていて、
限られた資源や環境の中で、
ほかの種と闘いを起こさないようにすみ分けているのです」
「60兆の細胞から成り立っている人間の体は、
せせらぎによってできたよどみのようなもの。
水は絶え間なく流れ込み、
いったんよどみを形成し、また流れ出る」
鴨長明の『方丈記』。
「行く川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず」
これが「動的平衡」の文学的表現。
「動的平衡」とは、
「生命とは分子を入れ替えながら、
その同一性を保っているものである」
という考え方。
たとえると、
生命は店舗。
分子は商品。
「店舗は商品を入れ替えながら、
その同一性を保っている」
福岡さんは強調する。
「脳が人間の体や心をすべて支配しているというのは、
生命感の大きな錯誤だと言いたい」
「ニッチ」と「動的平衡」。
「現代化」におけるキーワード。
この国のかたちも、
企業や店の在り方も、
私たち自身の生き方も、
「分際」と「行く川の流れは絶えずして云々」に、
収斂してくる。
さて昨日は、荒井伸也先生とご一緒。
㈱ショッピングセンター丸正総本店社長の飯塚司郎社長、
同専務の飯塚正彦さんと研修会。
飯塚専務はコーネル・ジャパン「伝説の第一期生」。
30年来の付き合いの飯塚司郎さんから、
「ひたむきさ」を学んだ。
そして夕方には、商人舎オフィスを、
隣組の㈱成城石井社長・大久保恒夫さんが訪ねてくれた。
大久保さんも、コーネル・ジャパン第一期生にして、
第二期には、講師陣の一翼を担ってもらった。
9月1日から同社相談役に退く。
後任は、コーネル・ジャパン「奇跡の第二期生」の原昭彦さん。
大久保さんは、その後、
日本商業の地位向上に貢献するために、
新しい自分の役割を求める。
しかし来年度も、
コーネル・ジャパンのファカルティに加わっていただくことを、
お約束願った。
心から感謝。
「経営者の役目の一つは、
確実な後継者育成。
成城石井ではそれができました。
原さんはこれまでも営業の責任を担ってくれて、
私も完全に任せていました。
全く心配はない」
「原さんはまさにミスター成城石井。
大丈夫です」
力強く原さんを後押しした。
成城石井という会社の「流れは絶えず」である。
その後、互いに、自著にサインし合って交換。
「行く川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず」
この言葉を、強く感じる一日だった。
国も、会社も、店も、人も。
<結城義晴>