結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年08月14日(土曜日)

実質実効為替レートとイトーヨーカ堂の「アンダー500㎡」新型店実験について

円高は86円で一服し、
株安も日経平均41円ほど戻し、
お盆休みに入った。

しかし、為替も株価も、
表面だけでは判断できない。

外国為替に関しては「円高でなく、ドル安」
「実質実効為替レート」では、当然ながら円はそれほど高くない。

「実質実効為替レート」とは、
ユーロやイギリス・ポンド、人民元など、
世界58カ国の主要通貨に対する円の価値を、
物価変動の影響を取り除いて算出した指標。

2005年の実質実効為替レートを100とすると、
現在は103.24。

1995年、1ドル80円を切って史上最高値がついた。
その時点の実質実効為替レートは151.11だった。
15年前と比較すると、昨日の86円は、
実質実効為替レートでは3割以上も低いのだ。

株価に関しては、
3月時点と比べると、
16.6%の下落率
これは主要20カ国の中で、
最も大きい数値。

私自身は株はまったく持たない。
これは日経新聞記者たちにも課されたジャーナリストのあり方。

しかし、日本企業の株価には関心がある。
日本全体の経済力の一端を物語るものであることは確かだからだ。
この面でも、あるべき姿を取り戻すまでは、
まだまだ、先は遠い道のりが待っている。

さて、セブン&アイ・ホールディングスが、今秋から
500㎡クラスの小型スーパーマーケットを始める。

これも日経新聞のスクープ。

昭和50年代に大規模小売店舗法が施行され、強化されたころ、
日本のスーパーマーケット業界には、
500㎡型が盛んにつくられた。

「アンダー500㎡」という流行語が生まれたが、
この言葉をつくったのは、誰あろう結城義晴。

だから今朝の「セブン&アイ新型店展開」のニュースには、
私は、妙な既視感を持つ。

今回の試みは、
①大都市の消費者に絞った。
すなわち立地と客層を限定した。

②500~700㎡の面積。
イトーヨーカ堂の5分の1、セブン-イレブンの4倍。

③生鮮食品・惣菜中心の品ぞろえ。

④3年で100店体制2000億円。
これは、1店年商20億円の計画ということになる。
500㎡、150坪で、年商20億円なら、
笑いが止まらない。
年商を別にすれば、イギリスのテスコが、
イギリス本国で展開するテスコ・エクスプレスと同じ考え方。

当分、「イトーヨーカ堂」の店名で展開するというが、
さてこの試み、どう判断するか。

昭和50年代のアンダー500㎡とは、
競争環境も、マーケットの状況も違う。

立地と客層を絞り込んで、
マーケティングとしては一定のセオリーに則っている。
しかし、断言しておこう。
1店20億円は実現できないに違いない。
このプロジェクトは相当に、
苦労を覚悟しておかねばならない。

昭和51年、イトーヨーカ堂は、
1500㎡(450坪)の新型実験店を始めた。

ヨークマート勝田台店。
しかしこのヨークマート・プロジェクトはずっと水面下にいた。
あの試行錯誤を思い出してみるべきだ。

こんなニュースが出た時、
渥美俊一先生なら何と答えただろう。

そう考えた。

きっと、即座に、言い切るに違いない。
「もっとやらねばならないことがあるはずだ」

私も、そう思う。

<結城義晴>

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