「線路は続くよ、どこまでも♪」
「菅直人vs小沢一郎、一騎打ち」。
9月1日告示、14日投開票の民主党代表選挙。
朝日、読売、日経こぞって、
「一騎討ち」の見出しで共同歩調。
「仙谷由人官房長官とタッグを組む菅首相」か。
「小沢&鳩山とトロイカ体制を堅持する菅首相」か。
結局、菅直人は、前者を選択。
そこで、一騎打ちに。
朝日・読売・日経のトロイカにスポイルされた観のある毎日新聞は、
論説副委員長の与良正男がつぶやく。
「『小沢報道』やめてみたら」と。
「最近、私は政治記者失格ではないかと思う時がある。
9月の民主党代表選にまるで興味がわかないからだ。
いよいよ小沢一郎前幹事長が出馬か、というような話に接するたびに、
『何年、同じことを繰り返しているのだろう』と、
逆にうんざりしてしまう」
「例えば先週、
長野県軽井沢町にある鳩山由紀夫前首相の別荘で開かれた懇親会。
その数日前から小沢さんの側近たちから一斉に流されたのは、
『小沢さんは代表選に政治生命をかける』というような話だった。
いつもの『小沢さんの意向をそんたくすると……』というヤツ。
でも、新聞やテレビは次第に『小沢氏、出馬を検討』と
報じざるを得ない状況になっていく」
「前景気をあおって、懇親会に小沢さんが登場。滞在時間、わずか50分。
『お互いに力を合わせて』などとあいさつするだけだった」
「大挙して軽井沢に押し寄せた報道陣が
『代表選に出るんですか』と聞いても、もちろん無言」
「結果、『小沢さんは何を考えているか分からないから怖い』
といった話が増幅していく」
「この国は相変わらず
小沢さんが牛耳っているという神話作りに貢献しているのだと思う。
さぞや小沢さんも喜んでいることだろう」
「私は自分の考えをきちんと説明しようとしないという一点をもってして、
この時代の首相には不向きだと思うが、
小沢さんの『メディアに顔を出さないメディア戦略』に、
私たちはまんまとはまっているのではなかろうか」
毎日新聞の与良正男論説副委員長。
マスメディアの現状を自己批判も含めながら、
小沢一郎の戦略を通して、正直に語っている。
『メディアに顔を出さないメディア戦略』
めったやたらとテレビで顔を売る政治家ばかりの今、
小沢一郎は逆手をとった戦略の持ち主。
商売やビジネスでは、これは大事なこと。
だからだろうか、経営者には「小沢乗り」が意外に多い。
「一度、小沢にやらせてみろ」
一方、総務省発表の全国消費者物価指数。
7月は総合指数(2005年を100とした指数)が99.0。
前年同月比マイナス1.1%。
総合指数は価格変動の大きい生鮮食品を除くもの。
17カ月連続減少で、1993年3月以来の低い水準。
円高・株安の基調のもと、
「デフレ長期化」を懸念するマインドが消費物価に現出した。
政局・政争よりも、本来は、
こちらの方策のほうが優先される。
ただし、では自民党か、
あるいは公明党か、みんなの党か、共産党かと迫られたら、
選択肢はない。
そこで「一騎討ち」となってしまう。
マスメディアもそれはわかっている。
だから悩ましい。
まさに、オクシモロンの問題。
さて、 日経新聞一面トップに、
「イオン、主力スーパー合併」
私は「総合スーパー」の業態衰退論を言い続けているが、
イオンがその「総合スーパー事業を再編する方針」を固めた。
これまた日経のスクープ。
合併するのはイオン傘下の3社。
イオンリテール㈱(千葉市、資本金500億円)、
㈱マイカル(大阪市、200億円)、
イオンマルシェ㈱(千葉市、1億円)で、
いずれも持ち株会社イオ ンの100%子会社。
合併の期日は、2011年2月期中というから、
来年の3月が目途となる。
イオンリテールは、総合スーパー「ジャスコ」を展開するイオンの主力部隊。
マイカルは、2001年に会社更生法の適用を受け、2005年に更生手続きを終了し、
現在イオンの傘下で、「サティ」「ビブレ」を展開。
イオンマルシェは2005年、カルフール撤退後の店舗をイオンが引き受けた会社。
イオンリテール㈱が、㈱マイカル、イオンマルシェ㈱を、
吸収合併する形をとるが、これは、当然の策。
結果、店舗数345、年商2兆5000億円の総合スーパーチェーンが登場する。
店舗ブランド(すなわちバナー)は、
ジャスコでもなく、サティ・ビブレでもなく、
「イオン」に統一される。
商品面では規模のメリットを引き出し、
仕入れや物流の一本化が図られる。
同時に、管理部門など全体的な合理化でコスト削減が企図される。
その結果、500億円規模の統合効果が引き出され、
営業利益率が3~4%までに引き上げられる。
すなわち最大で、営業利益1000億円をはじき出す会社。
「総合スーパー業態衰退論」へのイオンなりの「解」が、
現状の「2兆5000億円のパワーの一体化と効率化」である。
何の変哲もない政策だが、
これしかないし、これが正解である。
分かりきった政策、
何の変哲もない戦略、
しかしそれを断行する能力。
executionこそ今、必要とされている。
国にも、企業にも。
「線路は続くよ、どこまでも♪」なのだから。
ただしこの日経のスクープ、
イオン広報は、
「決まった事実はない」と回答している。
<結城義晴>
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