「トロイカ体制」
トロイカとはロシア語でTройкаと綴り、
数字の「3」、あるいは三つ一組のものを意味する。
日本人には、ロシアの三頭立ての馬車やソリとしてなじんでいる。
ロシア革命の後、ソビエト連邦が誕生。
初代人民委員会議議長(首相〉は共産主義革命の立役者レーニン。
スターリンは四代目で、独裁的書記長となった。
独裁者の死後、権力の集中防止のために、
書記長職は廃止され、
三つの職に権限が分散された。
第一書記、最高会議幹部会議長、首相。
要は、「集団指導体制」のこと。
これを「トロイカ体制」と呼んだ。
民主党のトロイカ。
菅直人現首相に鳩山由紀夫前首相、
そしてその前の党代表の小沢一郎前幹事長。
このトロイカ体制が一順ののちに復活し、
14日投開票の民主党代表選挙は、
無投票決着で、「集団指導体制」「挙党体制」に、
「戻る?」ことになりそうだという。
歴史に学ぶならば、
トロイカの前の独裁者はだれだったのか。
ご都合主義のトロイカは、
「走れトロイカ ほがらかに 鈴の音高く♪」と、
歌のようにはならない。
今日の日経新聞巻頭コラム『春秋』はいい。
「無精」に二つあることを書いている。
国文学者の故佐竹昭広さんの『古語雑談』から。
「今日ノ所作ヲ明日作(ナ)スコト」と、
もうひとつ「明日ノ所作ヲ今日作スコト」
前者を「懈怠(けだい)」といい、
後者を「懶惰(らんだ)」という。
両方とも無精。
夏休みの宿題。
8月の終わりや9月の初めにやることは、懈怠、
7月中に片付けてしまうことは、懶惰。
締め切り主義で、
懈怠ばかりの私は、
懶惰のあることを知って、
少し安心。
しかし、大切なのは、
「今日ノ所作ヲ今日作スコト」
これはサム・ウォルトンの「サンダウン・ルール」そのまま。
「日が沈むまでに、今日の仕事を終わらせよう」
ぐるぐる回って、トロイカ体制までの時間空費。
やっと日本銀行・政府揃って「円高デフレ」対策。
ただしどちらも「最小限の『小出し』路線」。
トロイカ体制づくりは、 懈怠。
円高デフレ対策は、懶惰。
人のことばかりは言えないが、
この国の大事のとき、
「今日ノ所作ヲ今日作スコト」は、
徹底しなければならない。
さて、昨日の日経新聞。
インタビュー「領空侵犯」。
カルビー相談役の松尾雅彦さんが持論を展開。
「農村は『第三の道』を目指せ」
これまでの農業対策は「再分配政策」。
他の産業やダム・道路の公共投資で稼いで、
農村に再分配する。
しかし、これは明らかに破たんしている。
一方、市場に委ねる政策も、
コモディティ化現象をきたし、
価格低下を招く。
農業はこれに耐えられない。
だから第三の道を選ぶ。
それは「地域で自給自足する経済」。
イタリアやフランスの農村で成功をみた「美しい村」づくり。
さらにワイン・オリーブオイルを柱にした「スローフード」づくり。
ここには松尾さんのロマンが込められている。
私は、中学生の頃、熱中した武者小路実篤の「新しき村」を思い出した。
しかしこれは、20世紀の中ごろに、
コンセプト倒れとなって、
「白樺派」のロマン主義とともに、
実質的な破たんをみた。
松尾さんのロマンは、21世紀も10年を経過したいま、
ぐるりと回って、実現に向けた歩みを進めるかもしれない。
ここでも、「今日ノ所作ヲ今日作スコト」が必須となる。
「サンダウン・ルール」が基本となる。
さて昨日は、横浜の商人舎オフィスに来客。
UIゼンセン同盟流通部会副事務局長の木暮弘(ひろむ)さん、
イオングループ労働組合連合会会長の新妻健治さん。
「第五次流通産業政策」に関する意見交換。
木暮さんは、マイカル出身。
新妻さんは、当然、イオン出身。
新妻さんが中心となって、
この「第五次流通産業政策案」は起案された。
三人して「商業の地位向上」と「知識商人」の話となった。
考えてみると、商売とは、
「今日ノ所作ヲ今日作スコト」
岡田徹詩集にある。
「店の表戸を開けよう」
朝だ。
店の表戸を開けよう。
今日また、何十人、何百人のお客たちに、
いい買い物をさせてあげようよ。
あなたが商人として、いのちをかけて悔いない道が
そこに、大きく開ける。
あなたの今日の仕事は
タッタ一人でもよい
心の中で有難うといって下さる
お客という名の友人をつくることだ。
あなたは生きがいをかけたこの職業に、
大きな誇りと権威とを持とうよ。
モット美しい
モット立派な
人生の生き方が
この仕事のうちにあることを知ろうよ。
「今日ノ所作ヲ明日作(ナ)スコト」
「明日ノ所作ヲ今日作スコト」
そして、
「今日ノ所作ヲ今日作スコト」
「懈怠(けだい)」でも、「懶惰(らんだ)」でもいけない。
難しいけれど、「知識商人」向きの考え方だ。
そしてここには、この言葉がふさわしい。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
<結城義晴>
[追伸]
浅野秀二先生もブログで、「トロイカ体制」に関するコメントを寄せています。
あわせて「浅野秀二のアメリカ寄稿」もぜひ、ご覧ください。