ニューヨークの円相場は一時、
1ドル83円51銭まで高騰。
1995年6月以来というから、15年3カ月ぶりの円高水準となった。
「円高円高」と嘆くのは輸出産業に頼った従来型日本経済の習い性。
この高い円を使って、今のうちに、
できることをやっておくことだ。
たとえば海外のさまざまな財を購入、入手しておく。
大宅映子さんが、不満顔で主張している。
小売商業が、
本格的に商品や原材料の海外調達をする際には、
円高は極めて大きな武器になる。
ちょっと為替相場が動くと、すかさず、
「円高還元セール」でプロモーションのネタに使う。
これも一つの商人魂かもしれないが、
「円高」の長期トレンドの中にこそ、
ナレッジ・マーチャントの「知恵と勇気」の使い道がある。
ファーストリテイリングの柳井正さん、
ニトリの似鳥昭雄さん、
そして誰よりも故渥美俊一先生。
さて、台風9号上陸。
その中を昨日は、羽田から鹿児島へ。
東京湾、三浦半島の向こうに、
黒々とした富士の山が見えた。
夏の富士は、男っぽい。
鹿児島中央駅。
駅ビルの屋上には、観覧車。
私は、マリンパレスかごしまへ。
第45回商業界九州ゼミナール。
私が福岡生まれということもあって、
㈱商業界を辞してのちも、
九州ゼミナールからは講師の依頼が多い。
今回のテーマは、ずばり、
「店は客のためにある」
午後1時から開講式。
倉本初夫商業界主幹の特別講話、20分。
そして基調講演。
結城義晴の「心は燃やせ、頭は冷やせ」
1時間20分と、私にとっては少し短いが、
商業界らしさを強調して講義。
1.「不況は商人をきたえる」(倉本長治『商業界20年』より)
2.「艱難と忍耐、練達、そして希望と失望」(新約聖書・ローマ人への手紙5章)
3.「店は客のためにあり、店員とともに栄える」(倉本長治)
そして「店主とともに滅びる」
これからの商業・サービス業はどうなるか。
第一に、「知識商人」の時代が始まっている。
「基本的な経済資源、すなわち生産手段は、
もはや資本でも、天然資源でも、労働でもない。
それは、知識である」
「知識の、生産的使用への配賦の方法を知っているのは、
知識経営者であり、知識専門家であり、知識従業員である」
(ピーター・ドラッカー『ポスト資本主義社会』ダイヤモンド社)
第二に、これからの小売業・サービス業は「森」のようになる。
小売業界は大自然の「森」のようなものだ。
小売業には大動脈・大静脈もあり、毛細血管もある。(全日食チェーン会長・田中彰)
第三に、すべてのビジネスはサービス業化する。
そのためにどうすればいいのか。
問題解決の道筋を描かない話は、
「絵空事」にすぎない。
だから「心は燃やせ、頭は冷やせ」
“Warm heart,but Cool head!”(アルフレッド・マーシャル)
理念武装せよ、理論武装せよ。
もっともっと勉強せよ。
まだまだオーソドックスな勉強が足りない。
即効性を求める勉強ではいけない。
特に、こうすれば売れるという勉強ではいけない。
渥美俊一先生ではないが、その場合も、
「売れる仕組み」をつくる。
「儲かるシステム」を構築する。
そのことを考え、
コツコツと勉強する。
気合と根性と執念で、
売って売って売りまくる。
これでは長続きはしない。
本物の成長とはならない。
規模の大小だけが問題ではないが、
「売れる仕組み・儲かるシステム」をつくるために、
理念武装せよ、理論武装せよ。
心は燃やせ、頭は冷やせ。
そのうえで「小さく考えよ」
Think small!
「私たちが巨大な会社になったのは、
巨大な会社のようには振舞わなかったからだ」(サム・ウォルトン)
商人舎今月の標語。
「Think one thing at a time」
これは「小さく考える」ときのはじめの一歩。
さらに自分の「専門性」を持てということ。
350人が参集した九州ゼミナール。
その後も、夕食をはさんで第4講座まで。
夕方には、桜島に虹がかかった。
鹿児島湾にブリッジをかけたような雄大な虹。
まさに「虹の架け橋」
夜は9時20分から「焼酎交流会」。
私も老若男女、さまざまの九州人同友と語らった。
尾崎士郎の自伝的大河小説『人生劇場』。
その一節にでてくる平野国臣(ひらの くにおみ)の辞世の歌が浮かんだ。
「我が胸の燃ゆる想ひに較ぶれば
煙は薄し桜島山」
<結城義晴>