今日から、石川県・加賀市の片山津温泉。
第36回商業界北陸ゼミナール。
商業界ゼミナールと銘打たれているが、
主催は、商業界石川県同友会。
共催が、商業界富山県同友会と商業界福井県同友会。
これを㈱商業界がサポートする。
私は、14時45分から90分の記念講演。
テーマは『商売十訓を解き明かす』
その後、20時から『結城塾』という車座討論会でディスカッション。
北陸ゼミナールにご参加の皆さんは、
結城塾へもおいで下さい。
さて今日は、民主党代表選挙の日。
今日午後には、
日本国の首相が交代するかどうかが決まる。
私は何度も書いている。
危機を打開するために必須のことは、
「何をどうやるか」よりも、
「何をどう一貫してやり続けるか」
塩野七生さんの言葉。
「一貫してやり続ける」とは、私の言う「徹底」。
一 細かく
二 厳しく
三 続ける
すなわち詳細に、厳密に、継続すること。
それがリーダーとしてできるのは誰か。
帯に短し襷に長しは、 常のこと。
さて、いかに相成りますやら。
昨日は、1日、横浜の商人舎オフィス。
9月に入ってから、
立教大学院結城ゼミの合宿、
渥美俊一先生のお別れの会、
商業界九州ゼミナール、
そして上海訪問と立て続けに、
スケジュールがつづいた。
だから久しぶりの商人舎オフィス。
午後から、来客。
まず、㈱阪食専務取締役執行役員の松元努さん。
松元さんは、今年3月の商人舎USA視察研修会Hot編にご参加、
団長を務めて、見事、リーダーシップを発揮してくれた。
その松元さんと、
もっともっと役に立つこと、面白いことをしよう、
日本のスーパーマーケットをリードしよう、
そんな話に花を咲かせた。
面白いことができます。
日本のスーパーマーケットをリードする学びの場が生れます。
一貫してやり続けましょう。
それから、
㈱日本フードサービス専門学院の竹石忠さんと、
㈱シェフ代表取締役社長の原田真さん。
この11月16日火曜日、セミナーを開催します。
林廣美先生と結城義晴の二人のビッグセミナー。
林先生はご存知、日本フードサービス専門学院学院長。
テーマは「決定版・儲かる惣菜マーチャンダイジング」
詳細は近日発表予定。
詳細を決めるために、
林先生の側近の竹石さんと、
林先生のパートナーの原田さんが訪問してくれた。
しかし、決まっていることがある。
テーマと講演者と場所と時間。
場所は東京・お台場の「タイム24」
時間は、11月16日(火曜日)の13時~18時。
ご参加の方は、スケジュール表にメモを。
さて、中国・上海訪問記(その4)は、
かの地のカルフール。
昨日のウォルマートは全米第1位の小売業で世界でも断トツ第1位小売業。
何しろ2001年から石油メジャーや自動車産業を抑えて、
堂々世界第1位の企業となっている。
カルフールはフランス第1位の小売業で、
小売業ではウォルマートに次いで世界第2位。
2009年12月現在、
世界での総店舗数は1万5661店。
ハイパーマーケット1395店、
スーパーマーケット2949店、
ハードディスカウント6475店、
コンビニ4698店、
キャッシュ&キャリー144店。
地域別では、本国フランスで5440店。
次いで、スペインが3100店、
イタリア1545店、
ギリシャ・キプロス919店、
トルコ 866店、ベルギー 696店、
ブラジル605店、アルゼンチン601店、
ポルトガル524店、
そして10番目に中国が516店。
その後にポーランドの312店が続く。
上海には、先進国それぞれにトップで、
世界的な小売業が目白押しに進出。
カルフールは、この中で、
中国第1位の小売業となっている。
なぜ、カルフールが一番なのか。
第1の理由は、一番先に進出したから。
「一番乗り」作戦。
中国の地元のチェーンストアが出来上がる前に、
進出を果たした。
それも一番乗りで。
これは日本の事情とは違う。
なぜ一番乗りできたか。
自国内でのトップになるのが早かったから。
同時に、自国内に「出店規制法」があって、
国内飽和が待ち構えていたから。
企業も大きくなると、「成長」が必須の課題となる。
株式公開していると、なおさらのこと。
そこで自分の国の中では成長が見込めないとなると、
他国へ進出する。
他国といっても、ヨーロッパなどでは、
隣国が陸続きだから、
とりあえず近隣に進出する。
侵略戦争などと全く発想は同じ。
ある意味で「帝国主義」の考え方。
そうしてヨーロッパへの進出とともに、
かつての植民地の国々へも、
チェーンストアとして侵略を始める。
もちろんこれは製造業や商社などが先行し、
小売業・外食など拠点型産業は遅れてでていくことになる。
そのセオリーも解明されている。
ダニング教授の「OLIパラダイム」。
今年の立教大学大学院・結城ゼミの渋木克久君が、
深く研究をしている。
カルフールが中国第1位になった第2の理由。
私は、この企業の特徴は土着型経営にあると思う。
「個店経営」という考え方があるが、
カルフールこそ「個店経営」。
各店舗に意思決定を委ねる比率が、
アメリカのチェーンストアと比べて、高い。
百貨店の集積による多店化とでもいったらよいか。
このタイプの経営は、発展途上国で一定の成功をみる。
一方、流通先進国では、うまくいかない。
1980年代にアメリカに進出し、失敗、撤退。
2000年には日本にも進出し、退却。
現在その店舗はイオンが譲り受けて運営。
韓国でも、新世界百貨店のEマートにコテンパンにやられて、撤退。
ウォルマートに店舗を売却した。
しかし、今のところ、中国では一番。
「一番乗り戦略」が成功した。
さて私たちが訪れたのは、上海一番の繁盛店。
カルフールは2フロアだが、
この建物の2階と3階に売り場を持っている。
その2階入口を入ってすぐに青果売り場。
平台陳列が多用される。
上海でも一番の小売業。
だからカルフールの鮮度と価格が標準となる。
天井はむき出し、大きなPOPが付けられ、
おなじみのカルフールスタイル。
営業の特徴は「重点販売主義」。
売り込み商品を明確にして、単品大量で徹底して売り込む。
鮮魚売り場は氷を敷き詰めてつくる。
欧米のスーパーマーケットの常とう手段。
これで温度管理が徹底されるわけではないが、
鮮度感の演出には大いに役立つ。
日配品売り場は多段ケースで、品揃えを誇る。
10個入り卵1パック12.10元。約150円。
これぞ「重点販売」の典型。
冷凍食品売り場はセミ多段で、品揃えと低価格を主張。
菓子売り場はデコレーションが施され、にぎやか。
ポッキー1箱4.50元。
2階から3階にスロープ式エスカレーターを設置する。
フランス本国でもカルフールの常とう的な店づくり。
大型のカートで連続的に買い物してもらうという狙いがある。
そしてここは重要なプロモーションスペースでもある。
3階に上がると家電製品売場。
消費が爆発している上海では、
家電は売れ筋商品。
さらに衣料品売場。
ウォルマートよりもよくできている。
カルフールでも自転車・バイクは核売り場を構成している。
3階の出入り口付近にはAV家電製品売場。
ハイパーマーケットは、
カルフールがつくりだした業態。
「ハイパーマルシェ」という。
衣食住フルラインの「総合的便利性」を売り物にした業態。
高度成長のときに大きく伸びる業態といってよい。
日本の高度成長に成長したダイエーのあれです。
ウォルマートのスーパーセンターは、
ハイパーマーケットの洗練・完成型。
洗練、完成といっても、
アメリカでの洗練・完成型。
洗練や完成は、ドメスティックなもの。
だからほかの国でそれが成功するとは限らない。
実際に上海のウォルマートは、
スーパーセンターとは言えない店づくりになっている。
上海ではむしろ、ハイパーマーケットになろうとしている。
それに対してカルフール。
もともとのハイパーマーケット。
だから悠々と「どや顔」をしている。
「どや!」と威張っている。
それが中国人、上海人に受けている。
そしてこの10年で600万人も人口を増やした上海は、
今、高度成長とバブルの真っただ中。
カルフールの「どや顔」。
皆さんも一度、見ておくといい。(テスコ、メトロにつづきます)
<結城義晴>