マスメディアお得意の世論調査。
菅直人氏続投の支持率。
朝日新聞系が、72%。
日経新聞系が、81%。
政府財務省と日本銀行とが、
円売り・ドル買いの為替介入に踏み切った結果、
1ドル85円台半ばまで急落。
ニューヨーク市場・ロンドン市場でも介入し、
1日あたりで2兆円規模となった。
これは過去最大規模。
しかも、日銀の白川方明総裁は、
「非不胎化」を行う意向をコメントしている。
これは「円売り介入によって放出した資金を回収せず、市場に放置しておくこと」。
結果、円の市場流通量が増えるため、金融緩和と同じ効果をもたらす。
東京株式市場の日経平均株価は約1カ月ぶりに、
9500円台に回復した。
やっと、少しではあるが、動き出した。
もちろん今、必要なのは、「徹底」。
詳細に厳密に継続すること。
細かく、厳しく、続けること。
それができるか。
なにを?
市場介入ではない。
経済の回復へのシナリオを描き、
実行すること。
何事も、
動き出すと、
変化が起こる。
動き出して、変化を生むことが、
回復への道。
さて、昨日は、石川県加賀市片山津温泉で目覚め、
第36回商業界北陸ゼミナール
2日目の講義を聴いて、
閉講式に参加してから、帰京。
激励講演1の講師は、㈲バグジーの久保華図八社長。
超のつく人気ヘアサロンを展開するカリスマ経営者。
「顧客満足・従業員満足・リーダーシップで会社を伸ばす」
激励講演2は、
法政大学大学院政策創造研究科教授の坂本光司先生。
「日本でいちばん大切にしたい会社」
どちらもいい講演だった。
私の「『商売十訓』を解き明かす」から、
坂本先生の「日本でいちばん大切にしたい会社」まで、
一貫したポリシーを持ったゼミナールだった。
企画運営者たちの見識の高さを示した。
心から敬意を表し、感謝したい。
坂本先生の主張。
「顧客満足よりも、社員とその家族の幸せが優先されねばならない」
こう言い切るところに坂本光司の立脚点がある。
帰りの便はまた一緒だったが、
今回は別々の席で、
互いに仕事した。
さて、一昨日は東京汐留のコンラッド東京ホテルで、
「プラネットトップセミナー2010」が開催された。
はじめに㈱プラネットの玉生弘昌社長が
「多様性の時代のIT活用」と題して
プラネットの活動とこれからの展開を発表。
そして「今後の日本の金融・経済動向」をテーマに
㈱フジマキ・ジャパンの藤巻健史社長が講演。
詳細な資料をもとに、
為替問題、日本の累積赤字問題、ハイパーインフレの懸念、
それへの今後の対策を、分かりやすく語った。
藤巻さんは、あの藤巻幸夫さんの兄上。
幸夫さんは、伊勢丹の名物バイヤーから、
福助代表取締役社長就任、
セブンアンドアイ生活デザイン研究所代表取締役社長など歴任し、
現在、㈱藤巻兄弟社社長。
健史氏はその会長でもある。
その後、懇親会。
プラネット副社長の井上美智男さんの挨拶のあと、
集まったメーカー、卸のトップ経営者たちがそれぞれに懇親。
㈱インテック会長の中尾哲雄さん(左)と、
玉生社長(右)。
インテックはいわゆるITベンダー企業。
プラネットはEDI企業。
25年間、互いに、
この日用品雑貨分野に不可欠の社会的インフラ・システムを支えあってきた。
さて今日は、もうひとつの話題。
中国・上海訪問記(その5 テスコの巻)
イギリス第一位の小売業テスコ。
2009年度売上高は、59426(£m) 7兆9030億円(133円換算)。
純利益 3206(£m) 4267億円。
2009年度決算時点の総店舗数は14カ国に4331店。
本国のイギリスで、2306店。
以下、タイ 571店、ポーランド 319店、韓国 242店。
タイではロータスという超優良企業、
韓国はサムソンと合弁会社を作ってサムソンテスコとして店舗展開。
「ホーム・プラス」という総合フォーマットは、
新世界百貨店グループのEマートに次いで、第2位。
ハンガリー 149店、日本 135店、アイルランド 116店、
そしてアメリカ 115店、チェコ 113店。
アメリカでは「フレッシュ&イージー」の小型店を集中展開しているが、
まだ赤字ばかりで、軌道には乗らない。
トルコ 96店、中国 70店、スロバキア 70店、マレーシア 29店。
この中国では70店で、カルフール、ウォルマートの後塵を拝している。
合計で、4331店。
さて上海のテスコ一番店。
体育館の跡を利用した変則的な店。
テスコでも、バスを走らせて、顧客を運んでくる。
そのバス路線が店頭に掲げられている。
カートは、スロープのレールに沿って並べられている。
カートショッピングの推奨。
店への入り口には、ビニールのカーテン。
エアー・コントロールのため。
1フロア3000坪ほどの店舗は、
テスコでは「テスコエキストラ」と呼ばれるバナー。
店舗入り口から右手は非食品ゾーン。
ベッドルームのディスプレ―。
外資系他社と比較しても、
洗練度は高い売場づくり。
しかし、だからといってより多く売れるわけではない。
テスコは、スーパーマーケット出身だけに、
どの国の店も食品はオーソドックスで、原則的な売り場をつくる。
生鮮部門も、安定した品質、品ぞろえではある。
だからといって、たくさん売れるとは限らない。
惣菜は中国でも強化が欠かせない部門。
店舗中央に対面方式で設けられた惣菜売り場。
お茶の売場は中国では重要部門。
特別のディスプレーが施されている。
主通路沿いには島陳列の販促スペースが設けられている。
その島陳列平台。
POPは赤と黄の色遣いがうまい。
菓子売り場にプライベートブランド。
カルフールやウォルマートに比べて、
テスコは自社ブランド開発に熱心だ。
テスコは、国内では主に4つのフォーマットを展開している。
第1が、Tesco Extra。
これは、業態はハイパーマーケット(平均売場面積 6625㎡)
ほとんどの商品がここで手に入るし、
ほとんどの店舗にカフェが併設されている。
上海のこの店は、エクストラタイプ。
第2はTesco Superstores。
日本でスーパースーパーマーケットと呼称された大型スーパーマーケット。
平均売場面積は、2786㎡。
ファサード看板には「Superstore」の文字はないが、
このタイプが主力フォーマット。
第3がTesco Metro。
都心型小型スーパーマーケットで、平均売場面積1081㎡。
店舗は都市中心部や郊外の大通りにある。
そして第4が、Tesco Express。
これはコンビニエンスストアタイプのミニスーパーで、平均売場面積 205㎡。
おもに食品・日用雑貨を取りそろえている。
生鮮も日本のコンビニより充実している。
店舗は都市中心部型、またはガソリンスタンドに併設型。
この上海では、第1のパナーを中心に展開するが、
今後、第4のエクスプレスも大量出店の計画中。
カルフールが土着型・個店対応型とすれば、
テスコは、明らかにチェーンストア型だ。
しかしここ中国では、チェーンストア型は、
なぜかすぐにはうまくいかない。
だからテスコ・エキストラで出店し始めたのだと思う。
テスコはアメリカでは、
小型スーパーマーケットのチェーンストアをグランドデザインとした。
「フレッシュ&イージー」である。
日本ではつるかめを買収して、
これまた小型スーパーマーケットを志向している。
どちらも成功をみてはいない。
一方、中国や韓国、タイなどでは、
最大型のハイパーマーケットで出てくる。
そしてこちらが成功を見せている。
私はテスコの幹部が、明らかに、
流通先進国と後進国とを選別した戦略構図を、
描いているのだと思う。
そして、後進国でのハイパーマーケット展開に、
自信をもっているのだと思う。
それが店舗に表れている。
焦ってはいないし、
慌ててもいない。
「どや顔」ではないけれど、
テスコの顔をしている。
それがカルフール、ウォルマートと比べて極めて面白い。
国際社会で生き残るには、
自分の顔を持たねばならないのだ。
「うかがい顔」は、
間違っても見せてはいけない。
<結城義晴>