日経新聞最終面「私の履歴書」。
哲学者の木田元さんの巻。
1カ月の連載が今日で終わった。
木田さんの勉強ぶり。
すごい。
毎日読んでいるだけで、
私ももっともっと勉強したくなる
そんな連載だった。
木田さんは、特に「ハイデガー論」を専門とする。
そのハイデガーに関して評する。
「なるほど彼は性格は悪い、だが思想はすごい、
それで悪いかと座り直すようになった」
「むしろ、誰にでも好かれる善人が
世界史を覆すような思想を形成するということのほうが
ありそうもにないと思わないか、と」
最後に木田さんは言う。
「ほんとうにやりたいことを見つけて、
一途にそれを追求していれば、
なんとか道は開けるものだと思うようになった」
今日の東京・横浜は、
11月下旬並みの寒さ。
つい1週間前までは、
猛暑日があったりしたのに、
この変化の激しさ。
しかしだからこそ、
変化に順応させる体質が必要。
人間も、企業も、店も。
タバコは明日から増税値上げ。
今日はその最後の駆け込み需要のピーク。
日経新聞のコラム。
「たばこ売上高は前年の5~10倍に膨らみそう」
セブン-イレブンは先週、
前年6割増だったタバコの売上げが、
今週初めの28日には3倍に飛躍した。
ローソンやファミリーマートも2倍を超えた。
現在の需要は、なんでも、
「駆け込み購買」
ぎりぎりまで待って、
最後の最後に購入の意思決定をする。
売り手のプロモーションは、
従って「駆け込み需要」のための告知期間となる。
しかし告知をし、店自体の信用が醸成されていなければ、
最後の「駆け込み需要」をからめ捕ることもできない。
そして最後の「駆け込み需要」のときに、
品切れは許されない。
デフレ不況下の商売は、
緊張感を維持し続けなければ、
成果は上がらない。
むずかしい。
しかし「むずかしいからおもしろい」
そんな時代であることを、
つくづくと実感させられる。
さて昨日28日は、午後から、
UIゼンセン同盟流通部会の幹部会での講演。
「第1回 産業政策委員会」
流通政策委員会委員長でイオングループ労連会長の新妻健治さんをはじめとして、
副委員長の村井秀行さん(カーマ労働組合委員長)、
平和堂の西村紀雄さん、
ヨークベニマルの玄葉威視さん、
アルペンの藤沼伸一さん、
AOKIグループの柴山敏郎さん、
ビックカメラの一ノ瀬正樹さん、
マツモトキヨシの本多寿男さん、
ダイエーの新井美穂さん、
イトーヨーカ堂の石合弘二さんなど
UIゼンセン同盟流通部会の幹部が集まった。
そこで私は、最初に、「商業の現代化、知識商人の養成」の
持論を展開した。
商業近代化の歴史から始まり、
世界の中の小売業の位置、
産業構造の変化と知識商人、
さらにマネジメントとオペレーション思想とその変遷、
ドラッカーのマネジメントにいたるまで、
一気に語った。
さらに、新妻さんが中心となって作成された「新・流通政策」へのコメント、レクチャー。
力作の「第5次流通産業政策」を読みとおして、
「鳥の目、魚の目」は確かであるものの、
「虫の目」がもっともっと必要であることを実感した。
これは不思議な逆転現象。
通常は、「虫の目」しかなくて、
だから「鳥の目」「魚の目」を持て、
さらに「心の目」が大事だぞ、と諭す。
しかしここでは逆。
それだけ流通部会の面々が、
よく勉強してこれを策定したことがわかる。
だから私の講演も、質疑応答も、力が入った。
講演は90分のところ、110分となり、
語ったあと洗面所でうがいをしたら、
真っ赤な血が混じっていた。
講演の後は、質問を受けながらディスカッション。
久しぶりにUIゼンセン同盟・落合清四会長にもお会いし、
会長室で懇談。
落合さんには、
コーネル大学RMPジャパンの講師をお願いしている。
夜は近くの中華料理店で参加者と事務局との懇親。
おいしい料理を楽しみつつ、前向きな意見を交わしながら、
楽しい時間を過ごした。
ほんとうに気分がよかった。
皆、真剣にものを考え、
真剣に動いている。
それも、仲間のため、社会のため、
そして会社のために。
だから、人の胸を打つ。
私も仲間に入れてもらって、
ほんとうに久しぶりに、
心の底から愉快になった。
「心は燃やせ、頭は冷やせ」
多謝。
<結城義晴>