結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年09月30日(木曜日)

UIゼンセン同盟流通部会「第1回産業政策委員会」で講演と交流

日経新聞最終面「私の履歴書」。

哲学者の木田元さんの巻。
1カ月の連載が今日で終わった。

木田さんの勉強ぶり。
すごい。

毎日読んでいるだけで、
私ももっともっと勉強したくなる
そんな連載だった。

木田さんは、特に「ハイデガー論」を専門とする。
そのハイデガーに関して評する。
「なるほど彼は性格は悪い、だが思想はすごい、
それで悪いかと座り直すようになった」

「むしろ、誰にでも好かれる善人が
世界史を覆すような思想を形成するということのほうが
ありそうもにないと思わないか、と」

最後に木田さんは言う。
「ほんとうにやりたいことを見つけて、
一途にそれを追求していれば、
なんとか道は開けるものだと思うようになった」

今日の東京・横浜は、
11月下旬並みの寒さ。

つい1週間前までは、
猛暑日があったりしたのに、
この変化の激しさ。

しかしだからこそ、
変化に順応させる体質が必要。

人間も、企業も、店も。

タバコは明日から増税値上げ。
今日はその最後の駆け込み需要のピーク。
日経新聞のコラム。
「たばこ売上高は前年の5~10倍に膨らみそう」

セブン-イレブンは先週、
前年6割増だったタバコの売上げが、
今週初めの28日には3倍に飛躍した。
ローソンやファミリーマートも2倍を超えた。

現在の需要は、なんでも、
「駆け込み購買」

ぎりぎりまで待って、
最後の最後に購入の意思決定をする。

売り手のプロモーションは、
従って「駆け込み需要」のための告知期間となる。

しかし告知をし、店自体の信用が醸成されていなければ、
最後の「駆け込み需要」をからめ捕ることもできない。

そして最後の「駆け込み需要」のときに、
品切れは許されない。

デフレ不況下の商売は、
緊張感を維持し続けなければ、
成果は上がらない。

むずかしい。

しかし「むずかしいからおもしろい」

そんな時代であることを、
つくづくと実感させられる。

さて昨日28日は、午後から、
UIゼンセン同盟流通部会の幹部会での講演。
「第1回 産業政策委員会」

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流通政策委員会委員長でイオングループ労連会長の新妻健治さんをはじめとして、
副委員長の村井秀行さん(カーマ労働組合委員長)、
平和堂の西村紀雄さん、
ヨークベニマルの玄葉威視さん、
アルペンの藤沼伸一さん、
AOKIグループの柴山敏郎さん、
ビックカメラの一ノ瀬正樹さん、
マツモトキヨシの本多寿男さん、
ダイエーの新井美穂さん、
イトーヨーカ堂の石合弘二さんなど
UIゼンセン同盟流通部会の幹部が集まった。

そこで私は、最初に、「商業の現代化、知識商人の養成」の
持論を展開した。

商業近代化の歴史から始まり、
世界の中の小売業の位置、
産業構造の変化と知識商人、
さらにマネジメントとオペレーション思想とその変遷、
ドラッカーのマネジメントにいたるまで、
一気に語った。
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さらに、新妻さんが中心となって作成された「新・流通政策」へのコメント、レクチャー。

力作の「第5次流通産業政策」を読みとおして、
「鳥の目、魚の目」は確かであるものの、
「虫の目」がもっともっと必要であることを実感した。

これは不思議な逆転現象。

通常は、「虫の目」しかなくて、
だから「鳥の目」「魚の目」を持て、
さらに「心の目」が大事だぞ、と諭す。

しかしここでは逆。

それだけ流通部会の面々が、
よく勉強してこれを策定したことがわかる。

だから私の講演も、質疑応答も、力が入った。

講演は90分のところ、110分となり、
語ったあと洗面所でうがいをしたら、
真っ赤な血が混じっていた。

講演の後は、質問を受けながらディスカッション。

久しぶりにUIゼンセン同盟・落合清四会長にもお会いし、
会長室で懇談。

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落合さんには、
コーネル大学RMPジャパンの講師をお願いしている。

夜は近くの中華料理店で参加者と事務局との懇親。
おいしい料理を楽しみつつ、前向きな意見を交わしながら、
楽しい時間を過ごした。

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ほんとうに気分がよかった。
皆、真剣にものを考え、
真剣に動いている。

それも、仲間のため、社会のため、
そして会社のために。

だから、人の胸を打つ。

私も仲間に入れてもらって、
ほんとうに久しぶりに、
心の底から愉快になった。

「心は燃やせ、頭は冷やせ」

多謝。

<結城義晴>

2010年09月29日(水曜日)

8月の「内食と外食」、スーパーマーケットとフードサービスの販売統計はどちらもプラスだが外食に軍配

昨日の日経新聞で発表された「人事」が話題となっている。
「10月1日付けで、
㈱成城石井前社長の大久保恒夫さんが、
セブン&アイ・ホールディングスの顧問に就任」

私はこの件に関しては、黙して語らず。
大久保さんからは直接、何も聞いていない。
彼はそんなに口の軽い人間ではない。

ただし、私の読みがあった。
いずれこのブログで書くこともあるかもしれない。

大久保さん、セブン&アイ、
そして日本の小売業の世界にとって、
ハッピーであることを祈りたい。

昨日28日は、スーパーマーケット三団体による
8月のスーパーマーケット販売統計調査が発表された。

三団体は、社団法人新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)、
オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、
日本スーパーマーケット協会(JSA)。

今回5回目となる販売統計発表はNSAJで行われた。
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司会はNSAJ広報課長の名原孝憲さん。
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調査結果の発表は、
NSAJ副会長㈱紀ノ国屋ファウンダーの増井徳太郎さん。
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8月実績速報版の発表数値は、
三団体の加盟企業合わせて264社から集計されたもの。

総売上高 8069億9422万円(前年同月比101.0%)
食品合計 6947億5219万円(101.5%)
非食品合計 1122億4203万円(98.7%)

8月の実績は前年に比べプラスの1.0%。
観測史上最高の「猛暑・酷暑・炎夏」の重要を、
ささやかながら1%だけ享受できた。

生鮮3部門の合計は、2504億3557万円(100.2%)。
内訳は、青果 1044億0118万円(103.0%)
水産 704億5723万円(97.9%)
畜産 755億7716万円(98.6%)

異常気象で野菜が高騰。
皮肉なことに、それによって、
青果部門は3.0%のプラスとなった。

しかし水産の落ち込みは2.1%、
畜産は1.4%。
惣菜は、762億6654万円(103.1%)。
この分野は相変わらず、好調。

ちなみに、商人舎では、
11月16日火曜日にセミナーを開催する。
「儲かる惣菜マーチャンダイジング」

売上げは好調でも、
部門営業利益を出せない企業、店舗は多い。
惣菜で、いかに利益を出すか。
林廣美先生と結城義晴が、
ずばり、この問題に答える。

統計に戻って、
一般食品・その他 3680億5007万円(100.7%)。

エリア別の前年同月比をみると、
北海道・東北45社 101.2%
関東68社 100.5%
東海・北陸 62社で100.2%、
関西36社 102.4%、
中国・四国37社 100.4%、
九州・沖縄16社 100.9%と全エリアで売上増となっている。

調査企業の総店舗数は7051店。
総売場面積 11,673,598㎡、
店舗平均月商 1億1445万円、
売場1㎡あたり売上高 6.9万円。

増井さんは全体トレンドを以下のように分析。
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「一言でいうと、『猛暑特需』が続いた。
総売上高は3カ月連続で前年同月比が100%を超えた。
しかし、水産・畜産は苦戦している」

「地域別に見ると、北海道や関西エリアは堅調。
口蹄疫に苦しんだ九州・沖縄エリアは持ち直しつつある」

「だが、東海・北陸エリアが不調だった。
それが売上判断景況指数に表れている。
8月には60.6ポイントあった東海・北陸の指数が
9月は47.5ポイントと、13.1ポイントも激減している。
理由は分からないが、トヨタなどの輸出関連企業があるため、
円高が響いたのかもしれない」。

実務分析の発表はNSAJ常任理事の三科雅嗣さん。
いちやまマート代表取締役社長。

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「気温・水温の上昇が青果、魚、そして客足にまで影響した」

「猛暑の影響が8月前半はプラスに働き、
夏物商品の動きが良かった半面、
逆に、お盆以降はマイナスに働いた」

「水産の動きが特に悪かった。
猛暑の影響で水温が上がり、夏の魚の収穫は少なく、
サンマも獲れなかったため、売る物がなく、相当なダメージだった。
青果でもりんごの収穫が遅れた」

「暑さのため、お客さんは調理すること自体、面倒臭くなったのか、
調味料の売上げも良くなかった。
その代わり、惣菜は売れた」

「山梨は1週間くらい前までは気温36℃もあった。
そのため、昼から3時までの時間帯は客がいなかった。
朝夕のみ客が来る状況だった」

「先週の金曜日からやっと気温が下がってきたため、
金曜日~日曜日の売上げは回復した。
小さいが、サンマや秋鮭の売上げも戻ってきた」

また今話題の「B級グルメ特需」についてもコメント。
「9月18・19日に行われた『B-1グランプリ』で
甲府鳥もつ煮が優勝した結果、畜産部門が盛り返してきた。
いちやまマートでは以前から甲府鳥もつ煮のPRを店頭でしてきたので、
今回の優勝で仕入れができなくなるということはない」

特需対応をしっかりとりこんでいる様子。
実務家経営者のコメントは、現場に即していて、
とてもよい。

一方、今週27日の月曜日には、
日本フードサービス協会が8月の外食産業市場動向を発表。

調査によると、8月度売上状況は、
外食産業全業態トータルで前年同月比1.6%と増加。

客数前年比は3.6%増と好調。
記録的猛暑に加え、お盆時期が週末と重なったため、
前月の2.9%増からさらに伸びた結果だ。
ここでも、猛暑・好天効果が表れている。

その一方で、多くの業態で客単価が下がり、
全業態トータルの客単価は1.9%減と前月よりさら低下。

内食のスーパーマーケットはプラス1.0%。
外食のフードサービスはプラス1.6%。

外食に軍配が上がった形だが、
例えば野菜の高騰は、
内食産業には売上増という現象をもたらすものの、
外食産業では、ストレートに利益の圧迫につながる。

両者の粗利益や営業利益の統計が発表されたら、
そのあたりの問題点も明確になるのだが。

さて、昨日は、東京・永田町にあるフランス見本市協会を訪問。

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広報部長の郡司華子さんに、
この秋、パリで開催されるシアルについてレクチャーを受けた。

私は10月17、18日に、久しぶりにシアルを訪問する。
今年は会場も広くなり、出展者数も増える模様。
今から楽しみにしている。

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郡司さんとSIALのパネルを持って写真。
商人舎松井康彦エグゼクティブ・プロデューサーも参加して、
2004年に私が日本代表選考委員をやっていた時の話題を懐かしんだ。

この年、ロッテの「クーリッシュ」が「グローバル・シアル・ドール」を受賞した。
すなわちこの年の「新商品コンクール」で、
世界第1位の座を獲得したのだった。

来週から、アメリカ・ヨーロッパのやや長い出張。
その直前の今、猛烈に忙しい。

「今日も一日、慌てず、急げ」

<結城義晴>

2010年09月28日(火曜日)

[10月~12月]の主要30業界天気図から読み解く流通業界の「動かざる者・自戒する者」

昨日のこのブログ、
私、書き間違いをした。

プロ野球パシフィックリーグの優勝チームを、
「所沢西武ライオンズ」と書いてしまった。
朝日新聞2面の「ひと」欄、
秋山幸二監督の顔写真など見ながら、
ソフトバンク・ホークスと思いこみつつ、
ライオンズと書いてしまった。

すぐに何人かの、ごく親しい方がたから、
間違いのメールや電話が入ったが、
私も、商人舎スタッフも、全員、会議や仕事中で、
対応は昼になってしまった。

ほんとうに恥ずかしいことで、申しわけないとお詫びしたいし、
すぐにご指摘くださった皆々様には、
心から感謝したい。

それにしても、思いこみつつ、してしまうことって、
あるのです。

だからこそ、
ダブルチェックの仕組みが必須となる。

ゆめゆめ、怠るべからず。
「自戒すべし」。

急に寒くなった。
体調にはくれぐれも気をつけねばならない。

私も昨日あたりから、朝、起きた時には喉が痛い。
スケジュールはびっしり詰まっているし、
原稿やテキストづくりに追われつつ、
そのスケジュールをこなしているから、
体調不良でダウンすることなど、
考えもしない。

だからだろうか、一切、風邪などの自覚症状はないが、
どうも、仕事がはかどらない。

さて世間は騒がしい。

尖閣諸島沖衝突事故の船長釈放事件で、
国内外から批判が相次ぎ、
東シナ海には中国船舶が「どや顔」で居座っている模様。

しかし今回の件では、
中国も国際的な信用を失ったに違いない。

日本国政府は、逮捕から釈放までに一貫性が薄い。
国際関係と景気動向に関しては特に、
シナリオを描いて対処しなければいけない。
たとえシナリオ通りにならなくとも、
筋書きがなければ適切な修正はできない。

念入りな計画がなければ、
臨機応変の仕事ができないことと同じ。

シナリオ通りの実行など、
一度としてできるものではない。
しかし丁寧な計画があって初めて、
結果が、ほぼ想定内に収まるし、
何よりポリシーを貫くことができる。
ぶれることがない。

「ともに自戒すべし」。

一方、通称「サラ金」の消費者金融最大手の武富士は、
今日、会社更生法適用申請の見込み。

昨日、日経新聞が取り上げ、今日、朝日新聞が一面から特集スタイル。
「消費者金融 虫の息」の見出し。

今年6月完全施行の改正貸金業法によって、
「強引な回収や高利息などのビジネスモデルが通用しなくなった」

消費者金融が、
こういったことをベースに成り立っていたとしたら、
産業とは言えない。
だから最大手が破綻した。

これまた、われわれ商業・サービス業も、
「以って自戒とすべし」

昨日の日経新聞特集
主要30業種の動き[10月~12月]。
天気予報のマークで業種別に示している。
百貨店、雨⇒雨。
スーパー、小雨⇒小雨。
(この「スーパー」というのが気に食わないが)
コンビニ、薄日⇒曇り。
ドラッグストア、曇り⇒曇り。
ネットサービス、薄日⇒薄日。
外食、曇り⇒曇り。
旅行・ホテル、曇り⇒曇り。
アミューズメント、曇り⇒曇り。
食品・飲料、曇り⇒曇り。
医薬、小雨⇒小雨。

この業界天気図は、専門記者連の判断でつくられる。

なんと、コンビニを除くすべてが、
7月~9月までと、
ほとんど変わらず。

コンビニだけが、タバコ税増税の影響で、
確実に曇りとなった。
つまりは、「景気動向は足踏み状態」ということ。

ならば、安心して、
思い切った策が打てる。

動くものだけが、
微細な「変化をつかむ」ことができる。
独自に「変化に応ずる」ことができる。

「変化をつくる」などと、
不遜なことは言いたくはないが、
謙虚に、しかし、果敢に、俊敏に、
動いてみることだ。
変えてみることだ。

ラインホールド・ニーバーの「祈り」。
「変わるものを変えられる勇気を、
変わらぬものを受け入れる心の静けさを、
それらを見分ける英知を、
お与えください」

さて昨日は、年に3回のイベント。
「伊藤園 夏の陳列コンテスト」の審査委員会。
東京・清水橋の伊藤園本社。
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厳正な審査をし、

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議論を重ねて、

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受賞店舗賞と受賞企業賞を決定。

そして記念写真。

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和やかにもう1ショット。

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右から、㈱伊藤園副社長・本庄周介さん、
㈱商業界取締役営業統括の中島正樹さん、
伊藤園副社長の江島祥仁さん、
私の隣は、社長の本庄大介さん、
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー松井康彦さん。

審査委員会がおわってから、
江島副社長の部屋で、懇親。

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組み体操の三人ピラミッドみたいだが。

伊藤園は「猛暑・酷暑・炎夏」を、
自ら動いて、「神風」とした。

どう動いたか。

自動販売機のルートセールスマンの人員を減らして、
小売店営業マンを増やした。

「小売りとの取り組み強化」が一大方針だった。
さらに「リーフ」と「ティーズ・ティー」の強化を図った。
「リーフ」とは、茶葉のこと。
すでに茶葉でも日本ナンバー1のシェアを持つが、
「自己の強み」をさらに強化することによって、
ペットボトルなどの大衆商品のブランドロイヤルティを築いた。

「ティーズ・ティー」は北米で開発したブランドの逆輸入。
これも、大ヒット。

動いて、仕掛けをした。
そこに神風が吹いた。

だから、結果がもたらされた。

動かざる者、
すなわち、
自戒する者となる。

< 結城義晴>

2010年09月27日(月曜日)

タバコ大幅値上げとセブンネットショッピング

Everybody! Good Monday!
[vol39]

2010年第39週。
9月最後にして、10月最初の週。

商売において、ビジネスにおいて、
1週間は最重要の基礎単位。

「ウィークリー・マネジメント」と称する。

なぜ大切なのか。

それは顧客の生活が、
1週間単位で営まれているからだ。

このウィークリーの習慣、
一番有名なのは、聖書説。
神が6日間で世界を創造し、
7日目に休息をとった。
そこから1週間が始まった。

陰暦の1カ月を4等分すると、7日になるし、
史上最も古い古代バビロンの制度でも、
7日、14日、21日、28日が休日とされた。

それらが現代の日本人の生活パターンにもなっているし、
アメリカやヨーロッパ、中国や韓国でも、
生活はウィークリー・ユニットで展開されている。

だから商売もビジネスも、
ウィークリー・マネジメントとなる。

今年の1月1日は金曜日だった。
1月3日が日曜日。
そこで1月4日の月曜日からの週を第1週として勘定すると、
今週が39週となる。

だから冒頭のご挨拶Good Mondayにも、
[vol39]と通し番号をつけている。

その今週は、 9月と10月の境目。
気候は、完全に秋。
今日の東京は最高気温20度で10月中旬並み。

ほとんどの会社はマンスリー・マネジメントを基本としているから、
9月の締めが今週。
3月末決算の会社では、
9月末は第2四半期、上半期の締めとなる。

数字はビジネスの基本だ。
その基本のための計数管理。
きりりと締めたいものだ。

プロ野球パシフィックリーグは、
福岡ソフトバンクホークスが優勝。
ビールかけに沸いた。

一方、セントラルリーグは今週、最後の山場を迎える。
中日ドラゴンズと読売ジャイアンツが、
昨日の日曜日の試合に負けて、
阪神タイガーズにマジック8が点灯。

今週火曜日、水曜日の伝統の阪神巨人戦が、
日本中を巻き込んだ天王山となる。

阪神が連勝すると、
そのまま勢いを得て、快走するかもしれない。
巨人が連勝すると、
即、中日の優勝が決まる。
1勝1敗の引き分けに終わると、
高みの見物の中日が俄然、有利となる。

今日の月曜日には日本フードサービス協会から、
8月の外食産業の販売動向、
火曜日にはスーパーマーケット3協会から、
8月の食品スーパーマーケットの販売統計が、
それぞれ発表される。

その結果、8月の外食・内食の動向が判明する。
「猛暑・酷暑・炎夏」のご利益を享受できたのか。

そして10月1日。
タバコの大幅値上げ。
今朝の朝日新聞が特集している。

現在1箱300円のセブンスターやラーク、ケントなどが、
110円の値上げで410円に。
290円のキャスターも120円上げて、ついでに410円に。
320円のマールボロ、ラッキーストライクなどは、
120円値上げで440円に。

昨年末の税制改正でタバコ税増税が決まった。
1本当たり3.5円、20本入り1箱70円の値上げ。
これだけならば、300円の商品は370円となるはずだが、
タバコの製造企業はタバコ販売量が減少し、収益性が低減するとして、
410円に落ち着いた。

これで喫煙者数も激減する見込み。
1996年に35%だった喫煙者比率は、
現在、23.9%。

タバコ販売を主力のひとつとするコンビニには、
特に打撃が激しい。

9月の駆け込み需要が、10月には反動となって、
売上げはさらに落ち込む。
今日、明日、明後日、明々後日の4日間、
商売上は品切れを避けたい。

それ以外の業態でも、
タバコのまとめ買い需要が先週末から起こっている。

しかし禁煙派の私としては、
タバコ喫煙者が減ることには、
個人的に歓迎。

さて日経新聞一面トップ記事は、
「景気足踏み、回復力に不安」の大見出し。
2009年4月から景気回復の勢いが続いたと、日経は評する。
それが7月から9月までの四半期に比べて、
この10月から12月までの3カ月は、
「足踏み状態に陥る公算が高い」。
心してかからねばならない。

景気回復への全体基調が「足踏み」ならば、
何も変化させなければ、
商業・サービス業の販売動向も足踏みとなる。

同じ日経一面の囲み記事。
「セブン&アイが仮想商店街」

セブン&アイ・ホールディングスは現在、
ネットスーパー以外にも、
「セブンネットショッピング」というネットモールを運営している。
ただし、店舗数は50。
これを遅ればせながら、2011年までに300店に拡大する。
売上げも2009年段階で300億円のものを、
2012年に1000億円とする。
これにはネットスーパーの年商は含まれず。

セブン&アイの最大の強みは、
全国に1万3000店展開するコンビニ・セブン-イレブンの存在。

この仮想店舗で買い物した顧客は、
リアル店舗群で商品を受け取ることができる。

ネットスーパーなどで最大の問題点となるデリバリーコストの問題を、
このネットショッピングセンターははじめから解消している。

なぜ、もっと早く、楽天をキャッチアップする戦略構想が、
実現できなかったのかと思ってしまうが、
しかし、それでも、
「まだ遅くはない」

この秋から冬にかけての「足踏み」状態を打破する新しい試み。
少なくともセブン&アイは打ち始めたということ。

自ら、動かずして、
変化は生まれない。
変化は生み出せない。

今週も、動き回ろう。
それを楽しもう。
では、充実した1週間を。

Everybody! Good Monday!

< 結城義晴>

 [追伸]
浅野秀二のアメリカ寄稿ブログ
本日、最新記事がアップされました。
ウォルマートについての最新情報が満載です。
是非お読みください。

2010年09月26日(日曜日)

ジジの「長靴をはかない猫」[2010日曜版vol39]

「長靴をはいた猫」
あたまのいいネコのおはなし。

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ボクも、あたま、
よくなりたい。

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夏のつかれがとれたら、
「食欲の秋」がやってきました。

ユウキヨシハルのおとうさん、
うちにいるときは、
晩酌します。

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その晩酌に、
ボクも、ときどき、
おつきあい。

チーズをひとかけら、
もらうんです。

チーズは、
ネズミくんだけでなくて、
ボクも、だいすきです。

でも、チーズがすきだというだけでなくて、
テーブルに「手」をのせて、
おとうさんといっしょにたべるのが、
いいんです。

あたまのいいネコに、
なれた気がします。

おとうさん、
めぐすり。

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「いかがです?」

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まいあさ、まいばんのめぐすり、
わすれてはいけません。

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新聞もいいけど、
おとうさんにとっては、
めぐすり、
とても、だいじです。

ボクがめぐすり、
さしてあげましょうか?

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あたまのいいネコは、
たちあがって、
おとうさんに、
めぐすりをさしてあげることも、
できるんです。

ボクは長靴、
もっていませんから、
「長靴をはかない猫」ですが。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2010年09月25日(土曜日)

ウェーバー・ドラッカーと倉本長治・新保民八の「商売と仕事」の真摯さ

イチローの10年連続200本安打、
白鵬の60連勝。

ストイックなアスリートが偉業を成し遂げる。
いずれも、ストイックさを楽しんでいるようにも見える。

知識商人にも、
ストイックさは必須だ。

ストイックとは、「禁欲的・克己的」と、
『広辞苑』にある。

マックス・ウェーバーは、
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において、
宗教的倫理や世俗内禁欲が、
資本主義の精神に適合性を持つ
と説いた。

これは倉本長治や新保民八の主張に通ずる。
初期商業界指導者たち。

倉本は語った。
「論語や聖書には商売のことは書かれていない。
しかしその論語や聖書にこそ、
商売にとって一番大切なことが書かれている」

新保は唱えた。
「正しきによりて、
滅ぶる店あらば、
滅びても良し。
断じて滅びず」

イチロー、白鵬に対して、
大阪特捜検事や尖閣諸島の事件。
問題自体が、ストイックさからかけ離れている。

その意味では、21世紀は、
今一度、それぞれが宗教観を見直すときだと思う。
ストイックさを、仕事に貫く必要がある。。

これはピーター・ドラッカー教授の唱えたintegrityを意味する。
「マネージャーとして、
始めから身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。
才能ではない。
真摯さである」

めっきり秋らしくなった昨日、今日。
私は、立教大学ビジネスデザイン研究科の講義。
後期は「サービス・マーケティング」。
今回も20数名の院生が履修してくれそうだ。

力が入る。

integrityやstoicismを失わずに、
講義に臨みたいものだ。

ちなみに「ストイックな楽しみ方」はオクシモロンの用語。
二律背反の言葉を意識的に重ねて、
新しい概念を生み出す。

私はこれが、
21世紀の問題解決の軌道だと思っている。

さて昨日は、一日、横浜の商人舎オフィス。
午後、訪問者あり。

まず、㈱いなげや常務取締役の藤本勇さんと、
社長室リーダーの押木正巳さん。

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10月の商人舎USA研修会スペシャル編に参加の予定。
そのための質疑応答。

いなげや社長の遠藤正敏さんは、
「商人舎発足の会」の発起人のお一人。
2008年4月17日に開催されたこの会には、
「結城義晴君の独立を励まし商人舎発足を祝う会」という長い正式名称があって、
それを93人の人々が主催してくださった。

遠藤さんは、私と同じ年。
チェーンストアやスーパーマーケット、
小売業や商業の「現代化」の同志だと、
私は思っている。

その遠藤さん直々のご用命で、
藤井さんと押木さんが商人舎のスペシャル編に参加することになった。
「スペシャル編」は経営戦略を学ぶコース。
商業界時代からもう6年もやっている定番のコース。
よろしくお願いします。

integrityとstoicism、
心して解説・教授します。

夕方には、常盤勝美さん来社。
㈱ライフビジネスウェザー常務取締役。

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世界最大の民間気象情報企業㈱ウェザーニュースに新卒入社し、
先輩の石川勝俊氏がライフビジネスウェザー社を創立すると、
こちらに移籍。

小売業・サービス業分野で、ウェブサイトを運営し、
「ウェザーマーケティング」や「ウェザーマーチャンダイジング」を、
専門にコンサルティングする。

商業界の各誌に、もう10年以上も欠かすことなく、
毎月原稿を書き続けている。

いわば、流通気象情報の専門家。
もちろん常盤さんは気象予報士の資格者。

まだ39歳と若くて、
私にはその若さが少し、うらやましく感じられた。

integrityとstoicism。
持ち続けて、商業の世界を楽しんでほしいものだ。
それが商業・サービス業の世界に貢献することにつながる。

皆さんも、今週末、
ストイックに秋を楽しんでもらいたい。
仕事にも休暇にも、
「ストイックな楽しみ方」が必要である。

今週も結城義晴の[毎日更新宣言]ご愛読、感謝。
良い週末を。

<結城義晴>

2010年09月24日(金曜日)

コンビニ(1.0%増)、総合スーパー(1.1%減)、百貨店(3.2%減)、8月の販売統計の明と暗

昨日からほんとうに秋らしくなって、
夜には、鍋が食べたくなった。

秋の長雨。

これも、いい。

秋分の日がおわり、
どんどん昼が短くなる。

今日は平日、金曜日。
今日、休暇を取れば、
サラリーマンは4連休となる。

金曜日の商人舎ホームページ.

昨日、一昨日の「新日本スーパーマーケット協会全国大会」のブログ。
懇親会編大会編
[1週間分を求めて読む・見る]のボタンでも見られます。
ぜひご覧ください。

商人舎ホームページ右段のtodayは、
金曜日恒例のブログ「林廣美の今週のお惣菜」
今週は、「絶品サバのしょう油煮」。
今週から始まった森下兼年さんの「スーパーマーケットの省エネ環境戦略」
まだイントロダクションの段階だが、これからどんどん充実していくはず。
さらに商人舎研究チームによる「物流クレート標準化物語」
最新情報は、「東北CGC導入概要」。
立教大学大学院「結城ゼミ」ブログも好調です。
私が毎週土曜日に講義し、指導している「結城ゼミ」を、
大学院生の気分で、ちょっと覗いてみてください。

商人舎と提携している流通ニュース」の「新店ルポも、
実に有益な情報だ。

さて、立て続けに、
小売業各協会からの8月の販売統計が出ている。
今日は、そのまとめ。

この8月は観測史上最高の「猛暑・酷暑・炎夏」。
それを活かしたのはどの業態だったのか。
活かせなかったのはどの業界だったのか。

何事も、メリットがあれば、
必ずデメリットがある。

それが21世紀社会の最大の特徴。

「夏の暑さ」はどう影響を与えたのか。

第1は、コンビニの8月販売月報。
日本フランチャイズチェーン協会発表。

既存店の売上高は前年同月比プラス1.0%。
7月に続いて、2カ月連続の増加。
その7月は14カ月ぶりのプラスだった。

9月も、10月のタバコ増税値上げを控えた駆け込み需要で、
3カ月連続売上高プラスは保障されている。
しかし、その後は極端に落ち込む。

既存店の客数はプラス2.9%、
平均客単価はマイナス1.9%。

客単価のマイナスは連続21カ月となってしまった。
その客単価は565.0円、
10チェーンの全客数は11億9800万人。

大手コンビニの店数はいまだ増加傾向にある。
総店舗数は1.7%増えて、4万3270店。
ますます寡占化を強めている。

商品部門別売上構成比は、
日配品が34.5%で、前年同月比プラス1.7%、
加工食品は31.4%で、プラス7.2%、
非食品が30.1%だが、これはマイナス0.5%、
そしてサービス部門は構成比4.0%だが、プラス7.5%。
コンビニも「サービス業化」に拍車がかかる。

第2は、総合スーパーを中心とした統計。
日本チェーンストア協会8月の「チェーンストア販売概況」
会員企業62社、7853店だが、
チェーンストア協会の売上げのうち約6割が総合スーパー。
その既存店総販売額は前年同月比マイナス1.1%。

こちらは「猛暑・酷暑・炎夏」のご利益を売上げにつなげられなかった。
前年同月比割れは21カ月続いている。

大部門別売上概況は、食料品がマイナス0.8%、
衣料品もマイナス0.6%、住関連品マイナス2.3%、
サービスもマイナス1.9%、その他マイナス2.1%と、
全部門でマイナス。

飲料、アイスクリーム、麺類、ビール類、スイカなど売れたが、
なぜか食品も全体に売上げダウン。

第3に、百貨店の8月売上高概況。

日本百貨店協会が一足先に先週末の9月17日に発表。
92社・263店舗の総売上高は前年同月比マイナス3.2%、
約4346億円で、これは30カ月連続マイナス。

7月は、マイナス1.4%と減り幅が回復していたが、それも逆戻り。

中国人をはじめとする外国人売上げが、
プラス16.5%で10カ月連続増加したが、
それも焼け石に水。

尖閣諸島問題が長引くと、
これは百貨店の営業にも響くことになるかもしれない。

食料品、衣料品、身のまわり品、雑貨、家庭用品は全カテゴリーが減少。
惣菜、その他家庭用品、美術・宝飾・貴金属、家具などの高額品は増加。

百貨店らしい商品群は少しずつ好調傾向を表している。

日本全体が好景気というわけにはいかない。
日本全体がどうしようもなく、営業不振というわけでもない。
「猛暑・酷暑・炎夏需要」は確かに「神風」だった。

それを活かせるか、活かせないか。

小売業態の違いによって、活かしやすい場合、活かしにくい場合も、あるだろう。
店によっても、活かしやすいところ、活かしにくいところがあるだろう。

だからこういった統計といっても、
そのまま自店の営業状況が比例的に反映したものとはならない。

何しろ今月の商人舎標語は、
「Think one thing at a time」なのだから。

つまり、全体の統計は、言い訳にはならないということだ。

21世紀の特徴。
「あちらが立つときには、こちらが立たず。
こちらが立つときには、あちらが立たず」

メリットとデメリットが同時に表れる。
そうすると、いかに、自らを環境に適応させるかの競争となる。
あるいは、どう、環境変化に耐えられる仕組みをつくるかという問題になる。

発表が残っているのは、
食品スーパーマーケットやフードサービスだが、
これは来週。

果たして「猛暑・酷暑・炎夏」需要を取り込めたのか。
顧客の期待に応えることができたのか。

各店舗ごとに、8月、
環境変化に対応できたのか、できなかったのか。
That is the question.
それが問題だ。

<結城義晴>

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