新聞各紙が一斉に報道。
日本銀行が、2006年以来の事実上の「ゼロ金利政策」を決定。
政策金利の誘導目標を「0~0.1%」へ引き下げ、
1%前後の物価上昇が見込めるまで、
このゼロ金利を続ける。
デフレからの脱却を目指して、
いわゆる緩やかなインフレターゲット政策を採用したことになる。
決めたからには徹底してほしい。
徹底とは、
①細かく、②厳しく、③続けること。
詳細に厳密に継続すること。
ただし1%のインフレターゲット。
徹底するほどに、腰が据わってはいない。
一方、百貨店の高島屋は、
正月おせち料理の予約受け付けをスタートさせた。
朝日新聞の報道。
日本橋高島屋には朝10時に70人ほどの行列。
1万円から20万円以上まで、約330アイテム。
今年末のおせちの売れ筋は3万円前後。
デフレ脱却と3万円前後のおせち売れ筋。
果たして、緩やかなインフレを誘導することはできるのか。
さて、昨10月5日は、
商人舎USA研修会「スペシャル編」の出発の日。
成田空港に9時に集合し、チェックインの後、
ツアーガイダンスと結団式。
総勢35名で実施する今回の「スペシャル編」は、
商人舎の好評定番コース。
オースティン、ダラス、ニューヨークをたどる5泊7日。
商人舎恒例の今回の団長は、
㈱マツモトの松本隆文社長にお願いした。
松本さんは、30年前の「藪下コントローラー・ゼミ」の同窓生。
私とは30年のお付き合いということになる。
そのマツモトは日本を代表するローカルスーパーマーケット。
現在16店舗、年商417億円で、
16期連続増収増益。
とにかく勉強熱心な松本さんを団長に、
大きな成果がもたらされるに違いない。
アメリカン航空AA708便で午前11時半、成田を出発。
11時間のフライトののち、ダラスに無事到着。
さわやかな快晴。
暑くもなく寒くもなく。
疲れた様子もない団長とメンバー。
㈱いなげやの藤本勇常務取締役と社長室リーダーの押木昌巳さん、
㈱エコス社長の平邦雄さん(左)。
平さんは30台前半のころ、
3年半ほどのアメリカ留学経験がある。
これまた楽しいツアーになりそう。
乗り換えの合間に、全員で記念撮影。
ダラスからオースティンへは1時間。
乗ったら寝る間もなくあっという間に到着。
そのまま専用バスで、
HEBセントラルマーケットに。
この時期のスーパーマーケット店頭はハロウィン・プロモーションで、
カボチャ色に染められ、ほんとうに美しい。
店舗2階のフードコートで、
FOODIEの資格を持つバーバラさんから、
セントラルマーケットの戦略をレクチャーしてもらう。
これも商人舎スペシャル編の恒例のスタート。
昼食はフードサービス部門が用意してくれたハンバーガーランチセット。
今年は完食組もでるほど、
パンもハンバーグもおいしかった。
今月の商人舎標語
「良く噛んで食べる」
それが効いたのかもしれない。
そしてワンウェイコントロールされた店内を、
青果部門から順にツアー。
はじめの店舗は、
アメリカ人の顧客になったつもりで、
体験する。
エクスペリエンスという。
この第一印象が大切。
HEBはこのオースティンで50.9%のマーケットシェアを獲得している。
セントラルマーケットは、主力3フォーマットの中のアップグレード型。
1995年にオープンした1号店だが、
昨年、リニューアルをした。
そして半端でないメニュー提案を断行した。
店舗2階には料理教室がある。
1年に何回くらいクッキングスクールが開かれると思いますか?
なんと416回。
1週間に8回。
毎日開催で、土曜日は2回。
もちろん1回ずつ講師とメニューが違っていて、
先生が料理するスクールは35名、
生徒も調理する実習は16名が定員。
そのセントラルマーケットの改装のターゲットは、
ホールフーズの旗艦店。
2005年にオープンしたホールフーズのフラッグシップストアは、
世界中の度肝を抜いた。
こちらにも店舗裏手に料理教室がある。
その前で写真。
整然と並んで店内へ。
ホールフーズではマーケティング・マネジャーのマイケル・デッポ氏にインタビュー。
ホールフーズも当然ながら、
ハロウィンに向けたプレゼンテーションが素晴らしい。
店内は、エクセレント。
世界一のオーガニック青果部門。
ホールフーズでは、この店を体験しないと、
その値打ちは半減してしまう。
だから商人舎経営戦略コースでは、
わざわざ時間を使ってオースティンを訪れる。
アメリカを訪れて、将来に向けた経営戦略を学ぶ時、
吉野家流の「やすい、はやい」は、まったく問題ではない。
正しくて、的確な「時流の経営戦略」は、
何億円、何十億円、何百億円もの利益を生みだす。
ホールフーズは常に進化している。
リーマンショック直後から、
ホールフーズの営業成績に影が落ちてきた。
しかしCEOのジョン・マッケイは、
「スーパーマーケットの原点」に戻ることを全社に呼び掛け、訴えて、
この危機を脱した。
もしかしたらそのジョン・マッケイに会えるかもしれないと、
本社受付を覗いて、平さん、藤本さんと、写真。
願いはかなわなかったが、
小売業は店を体験するだけで十分。
今日の最後、3店目は、
ごく普通のスーパーマーケット。
HEBの主力フォーマット「フード&ドラッグ」。
そのナンバー1店舗。
ごく普通の店舗こそ、
スーパーマーケットの本流である。
「二人はごく普通の結婚をし、
ごく普通の生活を始めました。
只一つ違っていたのは、
奥様は魔女だったのです~」
アメリカの大人気テレビドラマ「奥様は魔女」のイントロダクション。
スーパーマーケットにも通じるナレーションだ。
「ごく普通のスーパーマーケットでした。
只一つ違っていたのは、
〇〇〇だったのです」
はじめから奇をてらうことがいいのではない。
ごく普通のお店、
しかし度肝を抜くメニュー提案。
ごく普通のお店、
しかし感動をもたらすほどのホスピタリティ。
これが大事だ。
HEBはそれを実現させようとしている。
こちらも店内店頭のハロウィン・プローション。
青果部門は地域一番。
ちょっと気になるのは、
ウォルマートを真似て展開しているエブリデーロープライスよりも、
ハイ&ローやクーポン・プロモーションが目立ち過ぎていること。
この点は、今回のツアーの重要なテーマになる予感がする。
HEBで夕食の買い物をしてから、
ホテルに戻る。
夕方、7時から最初の講義。
2時間、120分を一気に語った。
長い長い旅の末の、長時間の講義。
ご清聴、感謝。
その後、夜9時半から、
ホールフーズとHEBで購入した商品で懇親会。
松本団長の乾杯のご挨拶とご発声。
懇親会の途中で、特別ゲスト。
HEB元上級副社長のメリッサ・フレミングさん。
明日朝一番の講師。
11時には、懇親会を閉じ、
各自、ゆっくりと休む。
お疲れ様。
いま、こちらの時間で午前4時半。
懇親会後、湯につかり、
2時間ほど仮眠してから、
このブログを書いている。
書き終わったら、6時半のモーニングコールまで、寝る。
こんな生活が続くが、気力はみなぎっている。
「志定まれば、気盛んなり」(吉田松陰)。
オースティンで松陰を持ちだすのも、
ちょっと違和感はあるが、
これこそ「只一つ違っていたのは」を、
地で行くことかもしれない。
(明日に続きます)
<結城義晴>