消費者庁がやりました。
7日木曜日、「景品表示法」に基づいて、
「全国焼肉協会」に表示の見直しなどを要請。
同協会は、全国の約500社、1400店舗の団体。
焼肉店の表示は、もともと部位がわかりにくい。
消費者庁が焼肉レストランチェーンや個人営業店を調査したら、
メニューに「ロース」と表示して販売している商品が、
「モモ肉」やその他の「赤身」を使用したものだった。
アメリカでは「ロース」の部位を、「リブ」さらに「ロイン」という。
モモは「ラウンド」「ランプ」と分かれている。
例えば「リブ」と「ラウンド」はステーキにして食べると、
明らかに食感や味が異なる。
しかし焼肉にして、濃い目のたれをつけて食べると、
赤身は赤身なのでわかりにくい。
だからだろう。
「ロース」と称して「モモ肉」などの赤身を売っていた。
本物の「ロース」は「上ロース」と称した。
読売新聞が、神奈川県内の焼肉店経営者に聞いている。
「赤身が多いと部位にこだわらず『ロース』、
脂が乗った肉は『カルビ』として客に出すのが業界の慣行」
こういった業界の慣例は、
御免被りたい。
消費者庁も、どしどし摘発し、消費者優先の社会を築くべきだ。
さて、商人舎USA研修会スペシャル編。
「経営戦略」を学ぶコース。
オースティンでの2日目から、佳境に入る。
昨日の私の講義の中で展開した全米小売業ランキング。
ここに大きな教訓がある。
「鳥の目」「魚の目」でアメリカ小売業を見なければならない。
「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。
「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。
そのうえで、「虫の目」が必要となる。
「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。
アメリカにやってくる。
1週間、あるいは10日を過ごす。
その間に、例えば30店舗を訪れる。
ウォルマートは5店、HEBは5店、ホールフーズも3店・・・・・・。
こうして見ても、ウォルマートは4383分の5にすぎない。
HEBも317分の5、ホールフーズも284分の3・・・・・・。
これでは、その企業の本質は分からない。
だから「鳥の目」「魚の目」が必要となる。
そのうえで「虫の目」を活かす。
もちろんたった1店舗の優良企業ならば、
その店を訪れることで、
かなりのことを理解できよう。
しかし、たった1店であっても、
1週間、1カ月、そこに張り付いてリサーチしなければ、
ほんとうの姿は理解できない。
だから、アメリカの企業を「鳥の目」「魚の目」で見る必要がある。
これは優れた本を読むことに似ている。
これまでの情報や経験を、
学ぶこと。
だからこそ「鳥の目」「魚の目」がいる。
さて、ランキング上位。
第1位はクローガー、年商767億ドル。
(分かりやすく1ドル100円換算で7兆6733億円)
第2位はセーフウェイ、年商350億ドル(3兆4980億円)
チェーンストアランキングでは第12位。
とうとう胸を張ってナショナルチェーンと言える企業は、
2社になってしまった。
その意味で、米国スーパーマーケットのナショナルチェーンは、
私が言い続けている「複占」となった。
第3位は、パブリックス、年商245億ドル。
3番手が、リージョナルチェーンなのだ。
ローカルチェーンを複数有するのがリージョナルチェーン。
それでいて、2兆4515億円の年商、1014店のネットワークを築く。
むやみやたらに商勢圏を広げず、
コツコツとローカルチェーンのドミナントを形成していくことの確かさを、
パブリックスが証明してくれている。
第4位、第5位はアメリカから見た外資企業。
前者がアホールドUSA、年商2兆2825億円、
後者がデレーズ・アメリカ、年商1兆8994億円。
デレーズはあのフードライオンを傘下に収めている。
その後に続くのが、総年商では2位のセーフウェイに続く3兆1637億円だが、
食品スーパーマーケット部門では6位になるスーパーバリュー。
食品卸売業として最大の会社で、その年商の約半分がスーパーマーケット。
解体売却された元エクセレントカンパニー・アルバートソンの3分の1ほどを買収して、
スーパーバリューは第6位に滑り込んでいる。
そして第7位が、HEバット。略してHEB。
HEBは、テキサス州のローカルチェーンで、
サンアントニオ、オースティンでドミナントエリアを形成している。
この地区ではマーケットシェアが50%を超える。
年商は150億ドル、1兆5000億円で、店舗数317店。
しかもテキサス州のすべての会社の中で非上場の最大企業。
ここがいい。
そのうえ、あのウォルマートと互角以上の闘いを見せる。
日本のローカルチェーンがモデルとしてベンチマークするのに、
最適、格好の企業なのだ。
この後、第10位にホールフーズマーケットが入る。
年商8032億円。
11位はアルディの7457億円。
14位には、トレーダージョーが年商6275億円で位置し、
15位にウェグマンズが5150億円で続く。
名だたる企業が、その経営の質だけでなく、
スケールにおいてもベスト20以内に入ってきているのだ。
これが、重要なこと。
店が良ければ、
そして働く人たちのモチベーションが高ければ、
お客様から熱烈に支持され、
ランキングも上がってくる。
すなわち「正義は勝つ」。
なんとフェアな世界だろう。
なんとやりがいのあるビジネスなんだろう。
ランキングと、その推移は、それを私たちに語っている。
さて昨日は朝8時から、
メリッサ・フレミングさんの特別講義。
フレミングさんは、HEBの元上級副社長。
全米スーパーマーケットに精通している専門家。
その内容は、明日に続く。
<結城義晴>