結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月03日(水曜日)

吉野家・安部修仁の「新しい風情の商品」と「損益分岐点半分のフォーマット」開発

今日は「文化の日」。
1946年に日本国憲法が公布された日が、
『祝日法』によって「国民の祝日」とされた。

趣旨は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」こと。

今日は皇居で、
文化勲章授与式が行われる。
今年は、7人。
原子核物理学の有馬朗人さん、
建築家の安藤忠雄さん、
有機合成化学の鈴木章さんと根岸英一さん、
演出家の蜷川幸雄さん、
服飾デザイナーの三宅一生さん、
そして日本中世史の脇田晴子さん。

同時に、秋の叙勲受賞者も発表された。
瑞宝大綬章に、清成忠男先生。
流通問題にも造詣が深い元法政大学総長。

瑞宝章は、こう定められている。
「国及び地方公共団体の公務または公共的な業務に
長年にわたり従事して功労を積み重ね、
成績を挙げた者を表彰する場合に授与する」

勲章を拒否するという人もいるが、
自分のことだったら私もちょっと考えるかもしれないが、
知り合いのこととなると、素直に喜べる。

おめでとうございます。

さて文化の日に、うれしい贈り物。
dscn3504-2.jpg

㈱ロックフィールド社長の岩田弘三さんから次郎柿。
「今年も柿が実った静岡ファクトリー。
緑化優良工場として表彰されました」

ちなみにこのファクトリーのデザインは、
今年、文化勲章受章の安藤忠雄さん。

その静岡ファクトリーの有機栽培品。
dscn3507-3.jpg
美味しくいただきました。
心から感謝。

その文化の日。
「晴れの特異日」でもある。
英語で「singularity」というが、
天気のこととて、当然ながら地域によって異なる。

東京地方では、
1月16日、3月14日、6月1日、そして今日11月3日が、
そのシンギュラリティの日。

ただし、この特異日にも変化がみられる。
11月は、明日の4日、18日、21日が、
「特異日」程度に晴れる場合が多いという。

さて、中国尖閣列島問題につづいて、
ロシアとの北方領土問題が表出。
メドベージェフ大統領の国後島訪問に対して、
前原誠司外務大臣が、
河野雅治駐ロシア大使を帰国させると発表。

「内憂外患」ならず「南憂北患」。

もちろん菅直人首相を始めとする政府の決定だが、
前原外相の「口」に関して、様々な批判も出ている。

エッセイストの米原万里さんは、
元ロシア語同時通訳として活躍した人だが、
その抱腹絶倒エッセイに「有名な小噺」が出てくる。

外交官がyesと言ったら、それはmaybeの意味である。
外交官がmaybeと言ったら、それはnoの意味である。
外交官がnoと言ったら、その人はすでに外交官としては失格である。

女性がnoと言ったら、それはmaybeの意味である。
女性がmaybeと言ったら、それはyesの意味である。
女性がyesと言ったら、その人はすでに女性としては失格である。

ところで最近、女性の外交官が増えてきたが、
では、女性の外交官がyesと言ったら、あるいはnoと言ったら、
それはどういう意味なのだろうか。

前原氏はどうも、外交官としては、
そしてその外交官の長(おさ)としての外相としては、
失格ということになってしまう。

米原さんが紹介してくれた小噺に倣えば、
蓮舫女史あたりを外務大臣にした方がいいかもしれない。

今日の日経MJ一面に特集。
「吉野家、復活へ両面作戦」
9月に販売開始した「牛鍋丼」(並盛280円)と、
この11月1日からスタートした「牛キムチクッパ」(280円)が好調。

メイン商材の「牛丼」そのものは値下げせず、
新商品の「新価格」ですき屋、松屋に対抗する作戦。

安部修仁社長がインタビューに応えて、述懐。
「15%程度売上高が落ち込んだ窮状から、
早期に脱却するための緊急対策だった」

そして、言い切る。
「低価格商品はこれで打ち止めにする」

「結果的に低価格競争に見えるかもしれないが、
価格競争をするつもりはない」

そのうえでのあたらしい方針が二つ。
第1に「新しい風情の商品」、
第2に「新しい店のフォーマット」。

商品に関しては、
「丼物とは違う風情」のものや、
400円台の主力メニューなど。

重要なことは、それによって、
メニューのバラエティが構築される点。

従来の店舗では、今後、
「プロダクト・ミックス」の戦略性が、
強調される。

新フォーマットは、
「損益分岐点が半分」のタイプ。

フォーマットとは「業態の分化した店舗のカタチ」。

不動産費など固定費は、大幅には下げにくい。
そこで、変動費を下げることができる店舗フォーマットが、
視野に入ってこなければならない。

その背景にあるもの。
「市場全体は供給過剰にあり、
デフレの影響もある」

「デフレや市場の縮小に耐えながら利益を出す体質」
安部さんが志向する企業像が、
この言葉に表れている。

ガンガン売上げを伸ばす「売上高至上主義」は、
現在の思考方法ではない。

今日は文化の日。
今月の標語を思いながら、
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

<結城義晴>

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