バラク・オバマ米国大統領の敗戦の弁。
「私が悪かった」
素早かったし、潔かった。
しかし、どこか元気がなかった。
米国の上下両院議員と州知事を選ぶ中間選挙結果は、
下院で民主党が60議席以上の大幅減、
野党共和党が多数派を奪還。
上院は民主党がぎりぎり過半数を死守。
オバマ大統領の政権運営に対する中間総括は、
極めて辛口なものとなった。
その理由は「経済政策」に対する失望感。
巨額の景気刺激策も、
失業率の高止まりを食い止めることができず、
画期的な医療制度改革も、
逆に財政を逼迫させるとして批判されている。
2年足らずにして、
バラク・オバマも、
崖っぷちとなってしまった。
アメリカ合衆国は大統領制を敷いて、
その権力構造が揺るぎにくくしてある。
つまり難局に耐えうる仕組みを持っている。
それでも民意は中間選挙で、
反オバマを鮮明にした。
恐ろしいことだ。
率直に謝るしかない。
そんなところか。
しかしお詫びにも、
元気のいいお詫びというものがあるはず。
一方、韓国は絶好調。
一昨日の朝日新聞「経済気象台」
韓国経済は2年連続5%前後の成長だという。
アメリカも日本も、ヨーロッパも、
その経済状態は悪いのに、
韓国だけが景気拡大。
コラムニスト柴犬氏はその理由の第一に、
「韓国の人々の自信と楽観」をあげる。
「当局者だけでなく、
ビジネスマンたちも自信と楽観を深めている」
この次がいい。
「心配事もたくさんあるはずだが、
悲観や国内での足の引っ張り合いは少ない」
そう、悲観論や足の引っ張り合いが、
わざわざ自分たちのマインドを、
自分たちで落としめてしまう。
「景気の『気』は天気の『気』と同じで『不思議な力』という意味」
「その時々の国民の気分は経済に大きな影響を及ぼす。
消費や設備投資が増えるも減るも、
一人ひとり、一社一社が将来をどう見るかで決まる」
そして韓国と対比的にアメリカを見る。
「今の米国は悲観が広がって経済が推進力を失っている。
米国の回復は国民心理のコントロールにかかってきている」
さらに最後に日本を取り上げる。
「悲観論を『賢い見方』と考えがちな日本は、
こういう場面に弱い」
バラク・オバマは、
国民の気分に、
どう影響を与えられるか。
日本国総理大臣菅直人しかり。
ここで私の著書『メッセージ』から。
「元気を出そう」
元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を出そうよ。
それがあなたの役目です。
冷夏・残暑で売れなかった。
それはお客さんの元気がなかったからか。
暖冬でまたまた売れなかった。
お客さんたちが買うことに疲れたからか。
いいえ、そうではありません。
お客さんには欲しいものが見出せなかった。
買いたい気分が生まれなかった。
商品やサービスにがっかりした。
あなたの元気は商品に乗り移る。
あなたの元気は店を活気づかせる。
あなたの元気はお客さんを励ます。
仲間を、取引先を勇気づける。
元気とは心の躍動です。
元気とは強いコミュニケーションです。
天気は人間の力ではどうにもならない。
景気も組織の力で動かせない。
しかし元気だけはあなたの力で生み出せる。
そう、元気は自分で何とかなる。
だから、元気を出そうよ。
それが今、あなたの仕事です。
元気をふりまこうよ。
それがあなたの役目です。
<第1章・元気と勇気より>
「消費や設備投資が増えるも減るも、
一人ひとり、一社一社が将来をどう見るかで決まる」
「悲観論」好きな日本人を前に、
脅しにかかる輩も出てくる。
悲観論を「賢い見方」と考えがちな日本人は、
そういった類の脅しに弱い。
考えてみると、消費とは、
顧客が一人ひとりがどう動くかで決まる。
顧客一人ひとりに元気をつける。
そのために、自分が元気を出す。
すべてはここから始まる。
合衆国大統領にも、
それが求められている。
だから私は、
バラク・オバマに言おう。
元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
<結城義晴>