昨夏の参議院選挙の1票の格差、
昨日17日の午前と午後、
東京高等裁判所で「違憲」と「合憲」の反対の判断。
実は各地で同じような訴訟が起こされていて、
高裁の裁定や判決が出そろったところで、
最高裁判所が判断を下す。
正反対の判断が、高裁レベルで分かれる。
いかにも21世紀的な事件として、面白い。
ただし、最大5倍の1票の格差は、
それだけとらえると、
不平等・不公平であること甚だしい。
ハーバード白熱教室のマイケル・サンデル教授の「正義論」のように、
議論して、煮詰めていっても、最後の判断が、
高等裁判所ですら分かれるような問題。
そんなことは企業や事業では、
日常茶飯に起こる。
さてそんな問題が発生したら、
あなたはどう考え、どう判断するか。
事業においていちばん大切なことは、
自分で考え、自分で判断することだ。
もっともいけないのは、
自己判断を停止し、他人に委ねる態度。
そんな経営者がいなくなることを目的に、
昨日は、コーネル大学RMPジャパン第3期11月講義。
リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン。
ところは、東京・市谷の法政大学ボアソナードタワー。
イノベーション・マネジメント研究センターのセミナー室。
ここが私たちのフランチャイズ。
お昼には全国から「実行の第3期生」全員が揃った。
開講前に、事務局会議。
先月はコーネル大学の先生のレクチャー主体だったが、
今月から日本の講師陣による講義が始まる。
副学長の私と首席講師の荒井伸也先生、
そして村尾芳久さん、中間徳子さん、太田美和子さん。
ことしも1年、よろしくお願いします。
午後1時、いよいよ講義開始。
司会は、事務局の太田美和子さん。
第1講座はガイダンス。
シラバスを見ながら、1年の講座の全体像、
コーネル・ジャパンの目的、
講座への参加の注意点などなど。
手に持っているのは「コーネル・ノート」。
コーネル大学が開発した使い勝手のいいノート。
みなさんにもお勧め。ロフトで売られている。
荒井伸也首席講師の最初のレクチャー。
「経営はプラクティス」
それが荒井先生の主張。
FMIジャパン事務局長にしてコーネル・ジャパン事務局の中間徳子さん。
今夏、コーネル大学の食品産業プログラムのサマースクールに参加した。
その内容を報告。
コーネル大学サマースクールのカリキュラムと、
コーネル・ジャパンのカリキュラムは詳細なところは異なる。
日米の小売業の構造やマインドの違いもある。
しかし、根本の考え方は共通している。
新日本スーパーマーケット協会営業本部長の村尾芳久さんは、
このコーネル・ジャパンを主催する協会の責任者。
ガイダンスは1時間で終了。
第2講座は、「商業の基本理念と産業化の思想」。
講師は結城義晴。これは2時間。
商業近代化の歴史から世界産業の中の小売業の位置。
働きたい企業ランキングと「顧客満足・従業員満足」。
さらに「戸籍のないスーパーマーケット産業」の実態。
そして「小売業現代化」のイメージ。
それは「知識社会の知識商人」によって成し遂げられる。
今回、私は新しいテーゼを出した。
食品産業が一致して存在価値を主張する方向性。
それは「食の楽しさを正義とする」こと。
いま、「安心・安全が正義」となっている。
しかし、それは、当然のことであって、
それが一体となるテーマではない
フランスの食品見本市「シアル」では、
常に「プレジャー」を大テーマに置く。
アメリカでもヨーロッパでも、
「食はたのしい」こそ正義。
だれでも食べることは楽しい。
食べることによって命をもらう。
本能的に食べることは楽しさ、喜びに直結している。
これを食品産業全体の正義にせずして、
サプライチェーンの構築も何もない。
いかがだろうか。
第3講座は、河津司さん。
経済産業省流通課長を経て、
経済産業研究所総務ディレクター。
コーネル大学RMPジャパン第1期生でもある。
流通産業の位置づけと経済産業省の流通政策の系譜。
それに実際にかかわった河津さんにしか語ることができない充実した内容。
最後に、コーネル第1期生として学んだことをもとに、
「官民一体となった産業化」の提案をしてくれた。
最後の講座は、「F&Bマーケティング」。
講師はふたたび結城義晴。
午後6時15分から始まって、
最後は8時まで長引いてしまったが、
私が立教大学大学院で担当している「F&Bマーケティング」のエッセンスを、
90分で語るのだから大変。
Fはフード、Bはベバレッジ。
日本では食品産業といわれるが、
私は内食・外食・中食の三つのカテゴリーから、
マーケットの動静をダイジェストした。
マーケティングは、消費者に近いところから発想する行為。
だから内食・外食、そして拡大の一途をたどる中食を分析すると、
流通も生産もマーケティング視点になる。
食べることは喜び。
食べることは楽しい。
だから食品マーケティングは楽しい。
こんなテーゼを再発見して、
私は楽しい。
心から、感謝。
<結城義晴>