「勤労感謝の日」です。
日本国民のほとんどは、勤労者とその家族。
その勤労に感謝する日。
今月の商人舎標語。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
この心持ちで、今日を送りたい。
さて、新聞朝刊各紙の一面コラム。
「勤労感謝の日」をどのくらい取り上げているか調べた。
昨日、柳田稔法務大臣更迭事件が起こったばかり。
各紙がどう取り上げたか。
まず読売新聞『編集手帳』
「火災現場でダジャレを言う消防士はいない。
手術中に漫談をする外科医もいない」
勤労と柳田問題を少しからめた。
これがまあ、一番無難な線。
産経新聞『産経抄』
「法相を辞任した柳田稔氏は25歳のとき、
すし職人になるのをあきらめた」
「柳田氏は、板前修業は人生修養でもあった、と語っている。
だとすれば、もう一度挑戦することをお勧めする」
これも柳田と勤労を関係づけた。
毎日新聞の『余録』
「ヘマなことを口走ることを、英語で
『足を自分の口に踏み入れる』という言い回しをする。
日本語でいえば『ドジを踏む』のような表現」
「言わずもがなのことをしゃべる癖を『フット・イン・マウス』病という」
知識を引っ張り出して、揶揄する書き方。
東京新聞の『筆洗』は「本音」をテーマにした。
「<本音を読み取る><心理を見抜く>。
そんなキャッチコピーで売り出されている本が結構ある。
それだけ、世の中には本音を隠して生きている人が多いということなのか」
「柳田稔前法相は、本音をあけすけにする珍しい政治家だった」
ただしこのコラムはひねりも関連付けもない。
さて朝日新聞の『天声人語』
知事選挙真っ最中の沖縄問題を選んだ。
「地元では『沖縄差別』という言葉も噴き出した」
「いまに残るのは、ヤマトによる『無関心』という差別かもしれない」
「小指の痛みは全身の痛み」
沖縄問題に対して「健忘症」になってはいけないと訴える。
しかしなぜ今日の天声人語なのか。
政治好き新聞の「正義感」は法相更迭や勤労感謝を凌ぐのか。
最後に日本経済新聞『春秋』
ここだけ、正面から「勤労感謝」を取り上げた。
ドイツの童話作家ミヒャエル・エンデの『モモ』。
コラムニスト氏はずっと、
勤労感謝の日にはこのテーマを書こうと決めていたに違いない。
だから柳田更迭にも見向きもせず、
ミヒャエル・エンデから入った。
「働くことの意味、人生のあり方を考えさせる童話」
「時間は人間に与えられた財産。
大切な時間を守り、どう使っていくかは結局、
自分で決めるしかない」
「人生の目標は何か、
自分にとって何が大事なのかを
振り返ってみるのも悪くはない」
これ、「目標管理」と「時間管理」。
そう、ピーター・ドラッカー先生の考え方。
従って、私の思考法と同一。
読売・産経の柳田更迭に勤労感謝をからめる書き方、
毎日、東京新聞の柳田問題揶揄型。
朝日の我関せず、政治的正義感振り回し型。
そして日経新聞の勤労感謝と「人生の目標管理」を結び付ける主張。
日経のポジショニングが際立つし、
これは私たち商人舎のスタンスでもある。
背景にドラッカー哲学があるのもいい。
日本国民のほとんどは、勤労者とその家族。
セグメンテーション、ターゲティング、
そしてポジショニングに徹すれば、
「客層」は広がる。
だから日経新聞は、経済新聞でありながら、
どの新聞よりも国民全体に客層を広げることに成功した。
日経の「勤労感謝の日」の一面コラム『春秋』がそれを証明している。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
この心持ちで今日を過ごしたい。
最後に、ユニクロの「創業感謝祭」。
11月20日(土)の日本国内直営全店およびネット販売の売上高。
ユニクロ史上初めて100億円を超え、
1日売上高過去最高。
約101億5368万円。
ユニクロの1日平均売上高が16億円だから、6倍強。
アメリカの「感謝祭」商戦は、
クリスマスの前哨戦と位置づけられる。
ユニクロはまったく、
日本のクリスマス・年末商戦の前哨戦を、
制してしまったことになる。
ここにも「創業感謝祭」がある。
「感謝を表し行動する者に福来る」
<結城義晴>