結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年12月09日(木曜日)

阪急オアシスの「リニューアル店舗」一巡りの巻(前篇)日生中央店&箕面店

日本初の金星探査機「あかつき」。
金星の軌道に乗ることに失敗。

誠に残念。

しかし、太陽の周りを周回させつつ、宇宙空間で冬眠させ、
2016年12月から翌2017年1月までの期間に、
再度、チャレンジ。

すごいことだ。

日経新聞スポーツ欄の人気コラム『チェンジアップ』。
元西鉄ライオンズの名選手・豊田泰光さんが書いている。
私の大好きなコラムで、ものを考えさせてくれたり、励まされたり。

今日のタイトルは『「あした、あした」心の薬』。

「日本人は恥という感情を成長のバネにしている面がある」
しかし、「強すぎる恥の感覚により、
回復不可能な心の傷を負うこともある」

そこで「必ず中和剤を用意しておきたい」
それが「あした、あした」という言葉。
「あしたがある、また取り返せばいいじゃないか、というものだ」

小売業やサービス業は、毎日毎日、
店を開け、顧客を迎える。

時には失敗し、大恥をかくこともある。

それでも「あした、あした」の中和剤がある。

1963年にヒットした『明日があるさ』に通ずる。
作詞・青島幸男、作曲・中村八大、歌手・坂本九。
私も時々、カラオケで歌う、その6番の歌詞。

明日があるさ
明日(あす)がある

若い僕には
夢がある

いつかはきっと
いつかはきっと
わかってくれるだろう

明日がある
明日がある
明日があるさ

豊田泰光はコラムの最後に言う。
「一匹オオカミだった私を慰めてくれる同僚はいなかったから、
失策をしたときは一人つぶやいた。
あした、あした、と」

「自分でいうだけでも結構効き目があるので、
それぞれ薬箱に常備しておくとよい」

「あかつき」のあしたは、6年後だけれど、
そして「あかつき」も、
豊田同様に宇宙空間で一人ぽっちだけれど、
「明日があるさ」
「あした、あした」

さて昨日は、大阪で㈱阪食(はんしょく)の店舗視察。

阪食は、エイチ・ツー・オー リテイリンググループのスーパーマーケット。
2006年9月、阪急百貨店によって設立された。

2008年10月、阪急オアシス、阪急ファミリーストア、
そして阪急ニッショーストア、阪急フレッシュエールの4社が合併し、
現在、阪急オアシス、阪急ファミリーストア、阪急ニッショーストアの3つのバナーで、
「高質スーパーマーケット」を展開。

2009年からは「阪急百貨店スーパーマーケットグループ」と称する。
年商872億円。
朝一番でまず、阪食オアシス日生中央店。
10月9日にリニューアルオープンした店舗。
能勢電鉄日生中央駅前店のサピエSC1階に位置する。
両翼が突き出した三角形のやや変則的な売場を、
回遊性を良くするために、さまざまな工夫を凝らして改装。

入口正面にはファーマーズマーケット(産地直売)を謳った青果部門。
千野和利社長自ら意欲を込める「阪食スタイルの市場型売場」。
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改装したこの店、ショッピングセンターのコンコースに向かって、
入口が広く開かれているのが、とても良い。

その入口左手には花卉売場。
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花卉売場に続く壁面のフルーツバーコーナー。
毎日、何かしらの試飲を行っていて、この日は、みかんのジュース。
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作業場が開放されていて、斜めに切ってあるレイアウトの構成から、
鮮魚コーナーなども見渡せるようになっている。

青果部門はクレートや段ボールを什器につかって、
「道の駅」スタイルの市場感を演出。
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朝10時過ぎにもかかわらず、顧客が押し寄せ、にぎわっている。
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「産地直売」 のコーナーはカゴ盛り。
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その横では、R型什器で、みかん、あまなつ、はっさくの100%ジュースを販売。
年配の男性が思わず手を出す。
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鮮魚売場。ブリの解体でライブ販売を行っている。
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寿司コーナーと鮮魚売場も、市場スタイルで連動している。。
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主通路にあるキッチンステーション。
メニュー提案による試食を行う。
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精肉売場も対面販売方式を取り入れている。
どの部門でも、接客販売とセルフ販売が展開されている。
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そして重要なミートデリのコーナー。
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そのエンドでは、精肉部門の素材を使ったお弁当を展開。
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黒毛和牛の牛めしが580円と超お買い得。
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お客の好みに合わせてカットする「お肉の切り売りコーナー」。
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精肉部門から続くのが惣菜売場。
R型の木製什器でお弁当をセルフ販売。
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オープンキッチンでつくられる惣菜バイキングコーナー。
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無料レストスペース(休憩所)の通路から見たところ。
作業するスタッフのきびきびした姿をお客は目にする。
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コンコースに誘導されてくると最後にインストアベーカリー売場が登場。
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ゴンドラでも様々な工夫がなされている。
写真は珈琲やカップ、書籍などが品揃えされた「カフェクラブ」。
好みの珈琲を自分で挽くことができるようミルも置かれている。
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力を入れているカレーコーナーはこの長い陳列線。
レトルト、ルー、調味料、書籍など、カレーに関する商品と情報を展開する。
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その中でも、R型に張り出したゴンドラには、
お客に訴求したい商品が並ぶ。
「あの店・ホテルのこだわりカレー」と銘打って、
有名店・ホテルのレトルト商品を訴求。
阪食の店ではこの商品ラインはよく売れる。
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オリーブオイル、ビネガーも力を入れる商品。
自家用、贈答用に良く売れる。
こういった重点カテゴリーには、
必ずラッピング見本を並べる。
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カスタマーサービスコーナーは、
「ギフト・ステーション」と名づけられた。
さまざまなラッピングサービスを行う。
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午前中だというのに、レジをフル稼働してもこの混みよう。
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この店には阪食の幹部が集合して、
説明や案内をしてくれた。
右から、㈱阪食デリカj取締役専務の髙井塁さん、
阪食商品統括部第2商品部長兼店舗企画部長の志水孝行さん、
そして営業本部店舗運営部長の廣田亘さん。
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髙井さんはコーネル・ジャパン「奇跡の2期生」、
廣田さんは現役の「実行の3期生」。
そして志水さんは今年3月の商人舎USA研修Hot編参加の商人舎ファミリー。
ありがとうございました。
新生「阪食」の実力が存分に出た店だった。

次に向かったのが、 リニューアルオープン2日目の箕面店。
オープンセールもあって、この店も、大繁盛。
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阪食が力を入れるばら売り・量り売りのコーナー。
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ミニトマトやマッシュルーム、ぶどうなど、馴染みの野菜、フルーツだけでなく
「アイスプラント」といった珍しい野菜も、試食をさせるとよく売れていくという。
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ジュースバーではみかんジュースの試飲をさせている。
オレンジ・ジュースではなく、みかんジュースの味がして、
この懐かしさがたまらない。
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青果売場に兵庫県産の味噌、酒などをならべて酒のつまみの提案。
売場の随所でこうした食シーンの関連販売が行われている。
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樽入りの量り売りの味噌コーナーでは、みそ汁の試飲販売。
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鮮魚売場の惣菜コーナーから刺身コーナーに続く一角。
すごい混みよう。
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込み入った先で行われていたのは、大型ブリの解体。
ライブ感を存分に演出した売り方。
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生本マグロづくし1280円、海鮮にぎり10貫500円など
お値打ち商品が打ち出した寿司コーナー。
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精肉売場の惣菜コーナー。
ミート・デリは粗利益も高く、
収益カテゴリー。
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黒板ボードに書かれた「肉のオードブル3種盛り550円」のPOP。
黒板ボードは簡単に消して、再利用できる。
全スタッフに、リニューアル・オープン前に研修が施される。
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加工度を高めた半加工商品に力を入れている。
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ワインとチーズの売場は連動している。
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ハムソーなど、ワインに合う食材を関連販売している。
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バーコードリーダーに商品バーコードをかざすと、
その商品情報がモニターに映し出されるワイン検索機。
情報発信型の売場づくり。
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惣菜売場からバックヤードが丸見え。
しかしそれが臨場感を醸し出す。
調理台を前進させ、顧客との距離も接近させた。
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昼時ということもあり、お客がどんどん吸い寄せられていく。
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自慢の手作りおはぎ2個198円。
手作りおはぎはスーパーマーケットに定着した感がある。
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乳製品売場の通路も、十分な広さがとられている。
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「カレーマーケット」とネーミングされたカレー売場。
この日は第一ホテルのビーフカレーの試食を行っていたが、
毎日、試食メニューが変わる。
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インストアベーカリー売場。
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手作りサンドイッチはどれでも100円(税別)。
100円食パンにも力を入れている。
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清潔で小洒落た無料のレストルーム。
ホールフーズやウェグマンズ、ナゲットマーケットを目指している。
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実際に、顧客が喫茶店かカフェテラスと間違えることが多いため、
今のところ「無料レストスペース」と謳っている。
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購入した惣菜や弁当を持ち込んで、
ゆっくり食べたり、語らったりできる。

レストルームはキッチンスタジオとしても利用される。
地域のお客を集めて、
料理やフラワーアレンジメントなどの教室が開かれ、
人気イベントになっている。
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ファミリー客、年配客と客層は広い。
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阪食の今年に入ってからの戦略がくっきりと表れた「いい店」だった。

昼食は豊中駅前にあるフレンチレストラン「ビストロ疋田」へ。
千野社長行きつけの有機野菜を使った創作料理の店。20101209135629.jpg
写真は、右から㈱阪食松元努常務、
そして千野和利社長。
左は志水さん。

関西在住の方、是非、一度お試しください。
昼時など、いつも「満席」状態。
予約が必要。
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ビストロ疋田のオーナー・シェフが最後まで見送ってくれた。

午後は南千里店、淡路店を視察したが、
この続きは、「あした、あした」

失敗したわけでも、
恥をかいたわけでも、
まったくないけれど。

<結城義晴>

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