今日から2011年2月。
㈱商人舎を設立して、
丸3年が経過し、
今日から4年目に入った。
「右、左、上、下、
どっちを向いても感謝」
故水口健二先生の最後のお言葉を思い出す。
まったく同じ心境。
「朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝」
そのまま、私の気持ち。
昨夜、事務所で仕事をしていると、
携帯電話の着信音が鳴った。
モニターをみると、
「西端春枝事務所」から。
そう、あの西端春枝先生がお電話下さったのだ。
「今日で3年経ちましたね。
よう、やってはるわ」
うれしいお言葉に、涙が出そうになった。
しかも、ちょうど3年経過する最後の日に、
暖かいお電話をくださる。
一昨年の商人舎標語は、
「無茶をせず、無理をする」
これは西端先生からかけていただいた言葉を、
ヒントにしたもの。
その通りにやってきた。
そして3年が経過し、
会社は一定の適正な利益を、
出すことができるようになった。
もちろん昨年度の私のスケジュールは、
多忙を極めた。
しかしそれは、
やりがいのある多忙、
充実した多忙だった。
今年度はさらに飛躍の年にしたいと考えている。
今年の標語は、
「知識商人を極める」
「商業・サービス業の現代化」にお役立ちする。
そのために「知識商人」の条件を見出し、
「知識商人」養成に向けた数々の事業や仕事をおこしていく。
ご支援、ご鞭撻のほど、
心よりお願いしたい。
さて、 2月の全体スケジュール。
今日2月1日から、新しい年度に入る世界がある。
例えばプロ野球がキャンプ・インする。
北海道日本ハム・ファイターズのルーキー斎藤佑樹選手に、
マスコミやファンが群がる。
日本社会全体が、明るい話題に飢えている。
一方、民主党元代表の小沢一郎代議士が、
検察審査会の起訴議決に基づいて、強制起訴された。
容疑は、資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反。
検察官役を務める指定弁護士が虚偽記入の罪で、
在宅のまま起訴。
これも2月という節目を目前にした出来事。
さて2月の販促に重要なポイントは2回ある。
最初は今週で、
3日木曜日が節分、
4日金曜日は立春。
日本海側や東北・北海道は、
雪、雪、寒波、雪、雪、寒波。
しかし、太平洋岸は、
「春が来た、春が来た、どこに来た♪
山に来た、里に来た、野にも来た♪」
こんな気分一色。
もうひとつは2月14日月曜日のバレンタインデー。
チョコレートに限らず、女性から男性へのプレゼントは、
ユニークさを求めてカテゴリーが広がる。
その前の金曜日、2月11日は建国記念の日。
だから金曜、土曜、日曜と3連休の後のバレンタイン。
「雪がつもればクリスマス、
思いがつのればバレンタイン♪」
<山崎眞幹作詞>
日本社会全体が、明るい話題に飢えている。
だからセント・バレンタインは、大切なテーマ資源。
バレンタインデーが終わると、
一気に春本番。
2月は受験シーズンで、
今日から私立中学の受験が始まるし、
高校受験、大学受験が連続する。
私まで、2月20日日曜日には、
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の口頭試問の試験官となる。
同時にこの時期、花粉症のシーズンが訪れる。
2月中旬から1カ月前後の期間。
日本人の場合、7割がスギ花粉によるもの。
だから暦とは半月遅れで、
「スギ花粉月間」が進行していることになる。
変化の多い2月。
その変化を楽しむくらいでちょうどよい。
いざ、行かん。
さて、大好評のサンシャインチェーンの視察店リポートの続き。
今日はクラージュ店と最新のミサト店のフォトレポート。
本部に近い立地のクラージュ店は、
2008年オープン。
店頭に掲げられているクラージュの由来。
「クラージュ」とはフランス語で「勇気・元気・根気」の意。
新しいチャレンジと半歩先の提案、
元気で楽しい“買い場”の創造が、
この言葉に込められた。
店に入ると目に飛び込んでくるのは、
地元農家の産物を集めた「地場の郷 太陽市」。
サンシャインチェーンの特長のひとつ。
モニターでは生産者からのメッセージが流れている。
青果売場導入部におかれた大型のバケツ。
氷が敷き詰められて売られていたのは、
雪国まいたけの「キノコ大好き 白菜MIX」。
69円のお試し価格で訴求されている。
大久保恒夫さんの用語「優位置」に、
試食、お試し価格、声掛けで販売する。
これがセオリー。
青果売場の天井のデザインは、
どの店も違っていて、美しい。
青果売場はフルーツが充実。
正面のオープンケースではイチゴを展開。
上段には白い大皿でミルク、フルーチェを関連販売している。
主通路左の壁面は葉物から始まるベジタブルコーナー。
商品の「顔」をお客に向けて、
動線に向き合うように、斜めに陳列している。
売れにくい日、売れにくい時間帯には、
陳列在庫量をコントロールしながら、
売場は充実して見える。
右側には、ギフトフルーツ、ギフト用ジュースなどが品揃えされている。
サンシャインではゴンドラの上部に反射鏡を採用しているので、
ギフトフルーツのディスプレイもよく映える。
ギフトフルーツの横には、
ギフト商材のジュースが並ぶ。
カラーリングが見事。
「地産地消」「サンシャインこだわりの逸品」 の統一ショーカードでしっかり訴求。
主通路で展開するバイヤーおすすめの箱売りギフト。
地元の生産者限定ぽんかん、トマトジュースをアピール。
お客の要望に応じたセット・サービスも行っている。
ジュースの隣では、サラダ用ベビーリーフとドレッシングの販売。
下段ではベビーリーフ・サラダのレシピを提案。
売れている。
推奨商品はできるだけ試食をさせる。
試食台の前には必ず、マットが敷かれている。
平台と大型のカゴで陳列された葉物類。
青果売場から日配売場、突き当たり奥の鮮魚売場へと続く。
日配売場の平ケースでは練り物、うどんなどを展開。
地元のかまぼこコーナー。
地産地消の考え方が、あらゆる売場に展開されている。
ホールフーズマーケットの「ローカル」と同じ考え方。
アメリカでも現在は「地産地消」ブーム大隆盛だ。
ガラス張りでバックヤードが見える鮮魚売場。
鮮魚売場の平ケースでは1グラム1円の切り身を展開。
カルディア店ではピンクだったが、クラージュ店は青紫のPOPイメージ。
内装のカラーリングに合わせたPOPカラーを採用している。
子持ちかれい切身、サーモンハラス(無塩・解凍)、
さらに弁当用銀鮭切身などを1グラム1円で販売。
手前から寿司、刺身等の生食商材を品揃えする。
寿司コーナーの一角には、地元の「幸寿し」コーナー。
高知卸売市場内の超鮮度な寿司屋として話題の店。
この考え方は、とても重要。
東京のオオゼキの世田谷の店舗では、
梅が丘の超人気寿司店「みどり寿司」のパック商品が人気を博している。
まったく同じ考え方。
商圏内の人気専門店に交渉して、
どんどん売場に展開すべきだ。
今日のおすすめ商品は、
「ぐれのたたき」「ぐれの刺身」1パック398円。
鮮魚部門の惣菜は「魚屋のお惣菜」としてテーブルで提案。
平ケースで展開する鍋コーナー。
海鮮鍋のへルシーさを提案する。
ライブ販売も行う円形に突き出た対面コーナー。
切身、丸物のパック商品が並ぶ。
金色をベースにしたデザインを存分に見てほしい。
デザインは西川隆さん。
鮮魚から精肉へ続く主通路は木製什器を使ったプロモーションスペース。
ゴンドラ側は調味料を大量陳列。
精肉売場の手前にはクッキングコーナーがある。
対面に設けられたクックキング提案コーナー。
精肉売場の半分はガラス越しにバックヤードが見える。
家計応援セールとして、
オーストラリア産牛肩ロース肉ステーキ用100g158円で販売。
豚肉並みの価格で食べられることをアピール。
牛肉は力を入れている。
精肉売場を反対から見たところ。
精肉売から続く冷凍食品売場。
ちょうど、青果売場の反対側になる。
惣菜売場も、ガラス張りのセミオープン。
200円均一セールで各種巻き寿司を販売。
木曜はコロッケの日。
昔ながらのコロッケ5個140円は安い。
平台では「うわさの唐揚」ののぼりを立てて、
鶏のから揚げを販売。
洋風惣菜は「今日はパスタの日」をアピール。
サービスカウンター前では、
バレンタインデー・プロモーション。
ホテルオークラのシャンパントリュフ735円。
いまどき、トリュフチョコは必需アイテム。
レジ前エンドの和風ロールケーキの提案。
レジの照明も独特。
毎週・毎日の商品企画が何種類も用意され、店頭で告知されている。
お客は毎日、クラージュに来る目的と喜びを、
この掲示板から受け取ることになる。
クラージュの店は、くすんだグリーンとベージュ、茶を基調色とする店。
対して昨2010年10月にオープンした最新小型のミサト店は、
白と黒が店のイメージ色。
入口をはいってすぐにこの店でも「太陽市」。
青果売場。白地に墨で書かれたのぼりが目立つ。
墨文字にそって白地を切り抜いてつくられている。
でこぽんの「顔」がいっせいに来店客の方を向いている光景を見てほしい。
サンシャインでは商品の顔は、徹底して主導線のお客に向けて陳列している。
リンゴもご覧のとおり、ヘタのある顔を向けて並ぶ。
地元産の夜須のフルーツトマト1パック398円。
もちろん試食をさせるが、これはおいしい。
視察したら、忘れてはいけない。
「tomato de tomato」の赤の帯が映えるトマト売場。
宝石のように美しく飾られている。
青果売場の葉物。
日配売場の主通路に置かれた平台。
試食台は小型店でも数多く置かれている。
日配商品の上部のデコレーション。
練り物コーナー。上段はフック陳列。
鮮魚売場。黒と白のパネル。
寿司コーナー。商品がお客に向けて斜めに並ぶ。
マグロの冊パックも斜め陳列。
店員だけでなく、商品も、顧客に顔を向ける。
ショーカードも黒が基調。
旬のぶりを平台で販売。
クラージュ店ではカット野菜を販売していた大型アルミバケツでは、
生するめいか150円、ごまさば298円をプロモーション。
黒、白、赤がベースカラー。
節分商品をまとめたコーナー。
POP類がやや過剰気味?
商品やディスプレーが目立たない。
精肉売場の上段に、節句の飾り付け。
精肉売場の平ケースでは、
価格訴求商品と精肉売場の惣菜が並ぶ。
惣菜売場対面のデザート売場。
ここでも節分をプロモーション。
徹底している
惣菜売場とその奥がパン売場。
ショップ風のパン売場。
加工食品ゴンドラのエンド。
レジは6台で、ここでの応対がすこぶるよい。
いい気分で勘定を払い、いい気分で店を出る。
それがいい気分で再来店する最大の条件。
さて、2日にわたって見ていただいたサンシャインチェーンのイノベーション店舗。
いかがだったろうか。
店の主役は商品と人。
それを店舗デザインやプレゼンテーション・ツールが支える。
店舗は小売技術の結晶である。
しかし現代の競争は、
テクノロジーに加えて、
アートを要求する。
技術と芸術。
これをコーネル大学フード・インダストリー・プログラムでは、
「ポジショニング」と呼ぶ。
まさにポジショング競争の時代を迎えているのが、
日米欧のスーパーマーケット業界。
その意味で、優れた店とは、
商品と人、技術と芸術の粋が集められた「作品」でなければならない。
<結城義晴>