ボクは、ねむっていました。
ぐっすりと、ねむっていました。
春が立ったというのに、
まだ、さむい。
でも、今日のヨコハマは、
いい天気。
日がのぼっても、
ボクは、ねむっていました。
ユウキヨシハルのおとうさんは、
このふた晩ほど、なにやらテツヤで、
かたづけをしていました。
でも、ボクは、ぐっすり、
ねむっていました。
なにかを、感じつつ・・・。
今日は、ナニ日和というのでしょう。
ほんとうに、いい天気。
ボクがねむっていると、
どこかで、車のエンジンの音。
ボクは、ハッとしました。
音がする。
そう、コンテナをつんだトラックが、
やってきたのです。
なにかが、おきる。
ボクは、そう感じました。
ダンボールをもったひとが、
うちのなかにドカドカとはいってきて、
荷物をはこびだしはじめました。
そう、引っ越し屋さんのトラックの音だったのです。
おとうさんは引っ越しします。
トラックに荷物をつんで。
ボクがだいすきだったジュータンも、
どこかへいってしまいます。
いったい、どこへ、
いってしまうのでしょう。
キモチがおちつくシンブンのうえにすわって、
ボクは、かんがえます。
いったい、どこへ、
いくんだろう。
とおいところ、
なんだろうか。
そして、なぜ、
なんだろう。
ボクのだいすきなこのうちを、
おいて。
まあ、今日が、
引っ越し日和だったことだけは、
たしかなようです。
<つづきます>
<『ジジの気分』(未刊)より>