2010年の家計調査が発表された。
1世帯あたりの消費支出が、
1カ月平均25万2328円。
これは「実質」で前年比0.3%のプラス。
実質とは、物価変動の影響を除いた数値。
なんと3年ぶりの増加。
しかし、「名目」では同0.5%のマイナス。
こちらは3年連続で減少。
名目の方が実感に近い。
一方、勤労者世帯の実収入は増えた。
「実質」で前年比2.3%のプラス、
「名目」でも1.5%のプラス。
一昨年の2009年には大きく減じていたが、
幸いなことに、それが反転した。
しかし、消費支出は、
エコポイント制度の恩恵を受けた結果。
2人以上世帯のカテゴリー別購入数量をみると、
薄型テレビが前年比180.3%、
エアコンは147.8%、
冷蔵庫は141.2%。
エコポイント消費を割り引いて考えると、
2010年もまだまだ、
マイナス・トレンドだったと判断できよう。
それが家計調査から判明した。
よく認識しておかねばならない前提条件であるし、
3月から、あるいは4月から始まる新年度も、
この前提を抜きには考えられない。
さて昨日から、
コーネル大学RMPジャパン第3期の2月講義。
ところは東京中央区に位置する三井物産㈱本社ビル。
その12階の会議室をお借りして、2日間の講義。
我々のフランチャイズである法政大学が、
入試期間に入っていて、使用できないからだ。
2月のトータル講義テーマは、
マーケティングとマーチャンダイジング。
いよいよ注目の「商品問題」に入ってきた。
講義に先立って、
今月の2日間の講義で何を学んでもらうのか、
副学長として、その趣旨を解説。
隣は事務局の太田美和子さん。
毎回、講義の司会と受講生への連絡役を担当してくれている。
第一講義は早稲田大学商学学術院教授の恩蔵直人さん。
現在、早稲田の商学部長でもある。
テーマは、
「脱コモディティ・マーケティング戦略」。
この10年で、あらゆる分野でコモディティ化が進行している。
特にグロサリーや飲料の世界で著しい。
それを恩蔵さんは、
販売促進費比率の上昇と企業イメージの変化によって立証した。
商品開発力、技術力が変わらない現在のような市場環境では、
「智恵の力」が必要になる。
知力をもたない企業は、価格競争に埋没せざるをえなくなる。
すなわち「コモディティ・ヘル(地獄)」に陥ってしまう。
マーケティングにおけるSTPの重要性を、
恩蔵さんは事例をあげながら解説。
Sはセグメンテーション、
Tはターゲティング、
Pはポジショニング。
皆さん、STPは、是非、覚えておきましょう。
その上で、恩蔵先生は、マーケティング上、
購買プロセスを革新させ、
リーン消費に対応することが重要になってくると強調。
昨年以上にわかりやすくて、丁寧で、
奥の深い講義だった。
食品や日用雑貨のマーケティングは、
この認識からスタートする。
第二講座は、
大塚明講師による「マーチャンダイジングの基本」。
大塚さんは現在、スーパーマーケット協会専務理事。
㈱ヤオコーで常務取締役を務め、
スーパーマーケットの実務をほとんど余すところなく経験した。
たいへんな勉強家でもあって、
その勉強のうえに経験が積み重ねられて、
スーパーマーケット業界有数の理論家「大塚明」が誕生した。
その「大塚理論」の中のマーチャンダイジング編を講義してくれた。
私自身、コモディティとノンコモディティを考え方の縦軸にし、
カスタマーとコンシューマーを横軸にして、
マトリックスで、ビジネスモデルを分析する。
「結城理論」とでも称すべきか。
この結城の理論と「大塚理論」は、合致している。
もちろんヤオコーという企業や店で、
大塚理論は練り上がられ、検証されて、
堅固なものになっている。
それが90分で、見事に展開された。
恩蔵、大塚とつづくマーケティング、マーチャンダイジングは、
コーネル大学RMPジャパンの主張でもあり、特長のひとつでもある。
もちろん結城義晴の主張でもある。
第三講座は「生鮮食品のグルーカル戦略」。
講師は日本水産㈱社長の垣添直也さん。
コーネル・ジャパン第一期から毎年、講師をお願いしている。
今年は、水産業だけではなく、生鮮食品全体の世界的な動向と、
消費環境をお話しいただいた。
高い見識と素晴らしい分析。
そして豊富な情報量。
昨年の講義から、
またまた内容が更新され、
なおかつ昇華していて、
私、本当に驚いた。
水産業界において、
「直也の前に直也なく、
直也の後に直也なし」
< お名前の方を使ってしまってすみません。こちらの方が断然、語呂がいいので>
私は、そう断言したいくらいだ。
この垣添さんの講義を聴くことができた第3期生、
本当に幸せ者だ。
講義を終えられた垣添さんを囲んで、
荒井伸也首席講師と一緒に、記念撮影。
荒井先生は、ご存知、オール日本スーパーマーケット協会会長にして、
実は垣添さんの高校の先輩。
お二人がご卒業されたのは、
かの名門・都立新宿高校。
おあとがよろしいようで・・・・。
初日最後の第四講座は、
惣菜・日配・ベーカリーのマーチャンダイジング。
講師は、日本フードサービス学院学院長の林廣美先生。
林先生は「二人のビッグセミナー」で毎年、
私とコラボレーションしてくださっている。
その上、今年10月のアメリカ視察研修会でも、
コラボレーションしてくださることが決まっている。
「スペシャル編&マーチャンダイジング編」の二段重ね重箱スタイル。
さらに、この商人舎ホームページにも、
金曜日恒例で、「林廣美の今週のお惣菜」を連載中。
この講義は、「店全体を惣菜化せよ」という先生の持論をもとに、
惣菜や日配品のマーチャンダイジングが大変化を遂げていることを、
豊富な実務事例をもとに語ってくださった。
13時からスタートした授業も終了時は20時。
講義終了後は、
三井物産本社内にある会場に場所を移して親睦会。
乾杯の挨拶は短く締めて、さっそく喉をうるおす。
「ご参集の皆様の会社のご発展と、
皆さまご自身のご健勝と、
もうひとつ、皆様のお客様の幸せを、
祈念して、カンパイ」
後ろは、新日本スーパーマーケット協会営業本部長の村尾芳久さん。
授業のあとはビールもワインもおいしく、話がどんどん弾む。
奇跡の第二期生の㈱関西スーパーマーケットの柄谷康夫さんが登場。
この日、夕方から、復習のために授業に特別参加。
これもコーネル・ジャパンの特徴。
卒業生をいつでも受け入れる。
柄谷さんは、日本経済新聞「世界一、人が交わり価値を生む国、日本へ。」に投稿。
これは「未来面第23回」の紙面で、アイデア募集されたもの。
そして柄谷さんの提言が、採用され掲載された。
日経新聞サイト。投稿テーマは「会社トライやる」
是非、ご覧ください。
そして柄谷さんに励ましのメールを。
1時間の懇親会はあっという間にお開き。
締めはコーネル・ジャパン3期に参加している三井物産の小林将人さん。
食料・リテール本部食品流通部リテール食品室長。
小林さんは同志社大学ラグビー部キャプテンを務めたラガーマン。
見事な締めの挨拶だった。
コーネル大学RMPジャパン、
2月の商品問題編に入って、
俄然、加熱。
今、折り返し点。
しかしこれから7月までの講座は、
あっという間に過ぎていく。
濃密な時間、充実した交流。
「時間よ、止まれ!」
毎年、そう、叫びたくなる。
<結城義晴>